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2015年2月 9日 (月)

三面等価(3)

以下は蛇足になります。GDP(支出側)の構成項目の一つに総固定資本形成というものがありますが、なぜ「総」がつくかというと、「固定資本減耗」による固定資本の減少分が考慮されていないためです。ですので、当然net(純)でみた固定資本の増加分が資本調達勘定の資産の増加に反映されます。


ただ、これの前述のとおり固定資本減耗を控除するのは資本調達勘定なので、何故か「純固定資本形成」という言葉はあまり聞きません。そうは言っても、具体的に「固定資本」がフロー勘定でみて変化する分は「総固定資本形成」から「固定資本減耗」を引いたものです。(これにストック勘定で、価値変動分とその他の変動分(災害で毀損してしまった等)が加わります。)


ちなみにこのように考えることもできます。GDPは一定期間に国内で生み出された付加価値の合計ですが、付加価値を計算するという観点からすると、生産にかかったコストは中間投入だけでなく、固定資本減耗分もコストであると考えることもできます。ですので、国内総生産(gross domestic product)ではなく、国内純生産(net domestic product)という概念もあり、それは定義上、


NDP = 生産 - 中間投入 - 固定資本減耗


になります。国内純生産に生産側、支出側、分配側という区別はあまり聞かないのですが、便宜的に作ってみると、


NDP(支出側) = 最終消費支出+総資本形成-固定資本減耗+輸出-輸入

NDP(分配側) = 雇用者報酬+営業余剰+生産・輸入品に課される税


となります。


本来こちらが生産物の指標として正しいという意見はあるのですが、やはり固定資本減耗はあくまで目に見えない推計物ですから、これで各国の生産活動を評価する指標が左右されるのは良くないだろうという意見が今のところ一般的で、そのためGDPが一般的に利用されています。


ちなみにこうしてみると、GDPNDPも、あくまで「ある一定期間に増えた付加価値の増加分」であって、それが生産面からみた直接的な定義であり、使用側は「その増えた付加価値がどのように使われているか」、分配側は「その増えた付加価値がどのように配分されているか」ということを概念的に見ているものだということが分かります。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
いつも大変丁寧な説明をしていただき、大変感謝しています。
ところで、今回頂いていた回答の中に、GDP支出面の 「在庫品増加」 という項目が少しでてきたのですが、在庫品増加は 「物の売れ残り」 のことだと思うのですが、「サービスの売れ残り」 の場合は、GDPではどのように考えたらよいのでしょうか?

書き込みが前後してしまいましたが、前回の固定資本減耗に関する質問では、最終的に以下のような疑問に達していました。

「GDPには2つの固定資本減耗がでてくるように思える。 一つは企業・生産者が設備投資に支払う固定資本減耗。 もう一つは消費者が購入する消費財に含まれている固定資本減耗。」

でも、頂いていた回答: 「減価償却というものは、設備投資を複数年にわたって費用計上しましょうというものですから、当年度の減価償却分以外はすべて過去に行った設備投資に対するものです。」 を読んで、納得することが出来ました。
この2つの固定資本減耗は、それぞれ支払う時期が違う・・・ ということなのですよね。

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