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2015年1月17日 (土)

原油価格の下落

2つもご質問をいただいていたのにしばらくご回答できておりませんでした。


景気動向指数の構成項目はどのような基準に基づき選定しているのでしょうか?(この点については開示されていますでしょうか)?なんとなく、この変数は一致しているだろう、という決め方はしていないはずですが。


また、7か月前との比較をするのにも特別意味があるのでしょうか。3か月後方移動平均や6か月後方移動平均というとなんとなくわかるのです(これはこれで突っ込めるのですが)、あえて7か月を使ってコメントするのはなぜだろうとおもいます。

Http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/201410Psummary.pdf


申し訳ないです、この分野は私も担当したことが無くてお答えするだけの知識がありません。


HPを探してみましたところ、「景気動向指数の利用の手引」というものがあり、そこで「統計の作成方法」も書いてありましたので、以下にURLを付けておきます。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html#link005


続いてもう一つのご質問です。


現在原油価格がすごく落ちています。これが実質GDPに与える影響について質問があります。


もともと原油の輸入が20兆円あり、ここで原油価格が半分になったとすると、それだけで名目GDP10兆円押し上げられる(名目GDP500兆円とすると2%押し上げられる)ことになると思います。まず、この理解は正しいでしょうか?

次に実質GDPについても、原油価格の半減そのもので同じくほぼ2%の押し上げがあると考えてよいのでしょうか?


  お手すきの時にでも教えて頂けると幸いです。


原油価格、本当にすごく下落してますね。これは経済的には非常に大きいことだと思っており、いろいろなところで影響が出てきそうです。それとは別に、あくまで統計の作り上GDPにどのような影響が出るかという点を考えてみましょう。


まずGDPを支出側、生産側両方から見てみましょう。


GDP(支出側) = 最終消費支出 + 総資本形成 + 輸出 - 輸入

GDP(生産側) = 生産 - 中間投入


となります。


以下の影響では、輸入数量は不変とします。原油を直接最終消費する人はなかなかいないと思いますので、すべて中間投入だったとしましょう。また、ガソリン、灯油などの最終消費となる財の輸入もわずかではあり、これらの価格も下がっているはずなので、厳密にはこちらの影響もあるのですが、ここでは原油以外のものは考えないことにしましょう。


まずは名目です。価格と数量に分ける必要が無いので、10兆円単純に減ったとすると、


GDP(支出側) =最終消費支出 +総資本形成 +輸出 -輸入(10兆円)

GDP(生産側) =生産 -中間投入(10兆円)


となり、支出側、生産側ともに10兆円増えることになります。


ただ一点注意しなければいけないのは、原油をそのまま使って終わりという経済主体って存在しなくて、どの経済主体もその原油を使って何か最終財を製造しているはずです。例えば一番わかりやすい例で言えば、原油を精製してガソリンや灯油を作っているはずです。この時、この経済主体はこれらの製品の価格を低下させないでしょうか?


もし、中間投入が10兆円低下し、その中間投入を使って作っている最終消費財(必ずしも最終消費財となるわけでは無いのですが、ここでは話を単純化してそう考えましょう)の販売価格をすべて10兆円低下させたらどうなるでしょうか?その場合、


GDP(支出側) =最終消費支出(10兆円) +総資本形成 +輸出 -輸入(10兆円)

GDP(生産側) =生産(10兆円) -中間投入(10兆円)


となり、支出側、生産側ともに変化はありません。


続いて、実質で考えるとどうなるかですが、この場合、それぞれの項目を「価格×数量」に分解しないといけません。


GDP(支出側) =最終消費支出(価格×数量) +総資本形成(価格×数量)

+輸出(価格×数量) -輸入(価格×数量)

GDP(生産側) =生産(価格×数量) -中間投入(価格×数量)


となります。ここで輸入の価格部分が10兆円だけ変化する場合は、


GDP(支出側) =最終消費支出(価格×数量) +総資本形成(価格×数量)

+輸出(価格×数量) -輸入(価格(10兆円)×数量)

GDP(生産側) =生産(価格×数量) -中間投入(価格(10兆円)×数量)


となり、この実質値は、


GDP(支出側) =最終消費支出(数量) +総資本形成(数量)

+輸出(数量) -輸入(数量)

GDP(生産側) =生産(数量) -中間投入(数量)


となり、変化はありません。


ちなみに、この時のデフレータを見てみると、輸入価格が下落して、最終消費財に転嫁しない場合は、GDPデフレータは上昇することになります。このあたりの話は何度か「ホームメードインフレ」の話の中でふれたとおりですが、そこでは「輸入価格が上がった時」の議論でしたが、今回の油価下落の時はその逆の動きになります。

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コメント

原油価格の質問をした者です。丁寧な解説ありがとうございます。

原油を中間投入として使って作っている最終消費財の販売価格を下げるケースは特に盲点でした。GDPは奥が深いです。

7ヶ月前との比較を行うのは、推測ですが、景気基準日付を決めるときに参考とするブライ・ボッシャン法において、「山や谷が系列の終了時点から6ヵ月以上離れていること」というルールが存在するからではないでしょうか。

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