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2014年10月21日 (火)

デフレーター

ご質問をいただいておりました。


 質問です。


 名目GDP=国内需要+輸出―輸入

 =国内需要(国内製品)+国内需要(輸入品)+輸出―輸入

と分けた場合は、国内需要(輸入品)-輸入=0ですので、名目GDPは輸入品価格の変動の影響を受けず、したがって、GDPデフレーターは不変なのではないでしょうか? マンキュー『マクロ経済学Ip.47にも「日本で製造されてアメリカで販売されるトヨタの乗用車の価格の上昇は、アメリカの消費者が購入したのでアメリカのCPIには影響するが、アメリカのGDPとは無関係である。」と書かれています。


ご質問いただきありがとうございます。


何度もこの場で書いてきました通り、


 GDP(生産側)
  生産 - 中間投入


であり、


 国内総供給 = 生産 + 輸入 - 輸出

国内総需要 = 最終消費支出 + 総資本形成 + 中間消費


ですから、一国全体でみると、中間消費=中間投入ですから、


 GDP = 生産-(生産+輸入-輸出-最終消費支出-総資本形成)

    = 最終消費支出+総資本形成+輸出-輸入 = GDP(支出側)


となることが分かります。


ご質問いただいた式では、


 国内需要
 = 最終消費支出 + 総資本形成


と定義されているのだと思いますが、厳密には、国内総需要と言ったら中間消費も含まれます。そして、このデフレーターの話を考えるときには、実は中間消費が重要になってきます。


いただきましたご質問では、


日本で製造されてアメリカで販売されるトヨタの乗用車の価格の上昇は、アメリカの消費者が購入したのでアメリカのCPIには影響するが、アメリカのGDPとは無関係である。


と引用されています。この部分、乗用車が例として挙げられているのは非常にポイントでして、乗用車の場合、個人が購入したら最終消費支出ですし、企業が購入しても総資本形成でして、恐らく「中間消費」になることはないでしょう。その場合、記述はその通りです。


但し、これが「半導体」のように、間違いなく「中間消費」となる財の場合はどうなるでしょうか?


これを輸入した「半導体」を使って「iphone」を作っていると考えて、先ほどの式を、生産側、支出側から見てみましょう。支出側でみると、iphoneはどこにでも入りうるのですが、便宜的に最終消費支出されたと考えましょう。すると、


 GDP(生産側) = 生産(含:iphone)-中間投入(含:半導体)

国内総供給 = 生産(含:iphone)+輸入(含:半導体)-輸出

国内総需要 = 最終消費支出(含:iphone)+総資本形成+中間消費(含:半導体)


ですから、


 GDP(支出側) = 生産(含:iphone)-(生産(含:iphone)+輸入(含:半導体)

-輸出-最終消費支出(含:iphone)-総資本形成)


 GDP(支出側) = 最終消費支出(含:iphone)+総資本形成

+輸出-輸入(含:半導体)


となります。


ここで、半導体の価格が上がったとします。その時に、iphoneが価格を変更しなかったとします。すると、輸入デフレーターの上昇はGDPデフレーターに対してマイナスに効きますから、GDPデフレーターは下落することになります。


一方で、半導体の価格が上がった時に、iphoneに完全にその分を価格転嫁した(簡単に行ってしまうと、名目GDPが全く変わらないように最終消費支出が増えた)としますと、この場合はGDPデフレーターは変化しません。


これまで見てきたとおり、GDPデフレーターは、輸入品の価格上昇分を超えた部分だけ、最終需要(最終消費支出、総資本形成、又は輸出)の価格を上昇させた場合に上昇することが分かります。これが、GDPデフレーターがホームメイド・インフレの指標と言われる理由になります。


iphoneを中間消費=中間投入した場合は、それだけではGDPデフレーターは変化しませんが、そのiphoneを使って生産した何かが、最終的には最終需要に回るでしょうから、結論は同じことになると思います。


ということで、お答えになっておりますでしょうか?

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コメント

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-d812.html
これをみると、GDPデフレーターは、名目GDPと実質GDPを計算して、そこから算出されるとあります。各インフレ指標から、GDPデフレータを計算して、実質GDPを算出する方法もありえるかとおもいます。なぜこのような方法をとっているのでしょうか(外から見ると少し回りくどい気がします)。

国民経済計算の研究というと、あまりイメージがないのですが、国内で代表的な学者というと誰になりますでしょうか(若手で研究されている人はいるのでしょうか)

現在原油価格がすごく落ちています。これが実質GDPに与える影響について質問があります。

もともと原油の輸入が20兆円あり、ここで原油価格が半分になったとすると、それだけで名目GDPは10兆円押し上げられる(名目GDPを500兆円とすると2%押し上げられる)ことになると思います。まず、この理解は正しいでしょうか?
次に実質GDPについても、原油価格の半減そのもので同じくほぼ2%の押し上げがあると考えてよいのでしょうか?

お手すきの時にでも教えて頂けると幸いです。

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