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2014年2月

2014年2月26日 (水)

時系列

早速、コメントをいただいてしまいました。


発掘に汗かく宝の山・・・・付表の2に産業別のoutput,value-addedが載っています。ところが一年一枚のシートで時系列のデータを作るには「串刺し」ソフトを検索して加工しなければなりません。


この表、名目と実質があり、時系列でみると各産業でvalue/output比率や実質の同比率(生産性の指標として使えます)が計算でき、結果の数値が時をおって減っていることに驚かされるものですからもっと注目されてよい表かと思うのですが、時系列にするのにひと手間必要なものですから利用者はhesitateするでしょうね。


洛陽の紙値を高からしめるために時系列もすぐDLできるとよいですね。また「産出額」、「総生産」というのもまるで判じ物ですね。これじゃ「商品」を探している人を混乱に陥れるだけですね・・。


コメントをいただきありがとうございました。


全く耳の痛いご指摘で、本当にそのとおりだと思います。付表2もそのとおりだと思いますが、それ以外にも同様の指摘をされることがよくあります。


私は、個人的に財政分野の分析をすることが多かったことから、付表6などは馴染み深いのですが、それを一度見ていただければお分かりいただけますとおり、右から「中央政府」、「地方政府」、「社会保障基金」、「合計」と一年ごとに並んで、時系列になっているんです。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h24/tables/24s6_jp.xls

これが、「中央政府」だけの時系列、「合計」の時系列、と作るのが面倒くさいという指摘を受けたことがあり、「確かになぁ」とうなずいた記憶があります。


ただ、この表については、「中央政府」の時系列を簡単に見たいというユーザーと同じくらい、各年の一般政府の内訳(すなわち「中央政府」、「地方政府」、「社会保障基金」)が見たいというユーザーもいるのだと思います。


national accountsは、時系列、内訳、産業別などあらゆる面での比較が可能であるゆえに、表の作り方が難しくなる傾向があるのではないかと思います。例えば、付表2でも、「各産業」×「各項目(産出、中間投入等)」のクロスで二次元です。これを時系列であらわそうとすると三次元です。三次元のものを二次元の紙で表すというのはほとんど不可能に近いのではないかと思います(笑)


これを根本的に解決するためには、n次元でデータベース化して、あらゆる切り口でデータを取り出せるようにすることしかないのではないかと思っており、これができれば素晴らしいと思うのですが、これだけ複雑な構造になっており、しかも、2,3年毎に改定があるデータでこのようなデータベースを作るというのは(特に予算の面で)非現実的なような気もしております。そもそも、eurostatoecdなどの国際機関のデータベースでも、付表2クラスの細かさでデータベースにはしていなかった気がしますし。。。


というわけで、現状は、まだ、national accountsは、「マニアのための遊び道具」の域を出れていないというのが現実なのだろうなと思っております。(これは日本に限らず、世界的にそうだと思います。)そして、これをもう少し使いやすくするためにも、この「マニア」たちが、便利な使い方を紹介することが大切なのではないかと思っています。一部の「マニア」のものだったコンピュータが、いまや世界中の誰もが使えるような機会になったように、national accountsも、経済学を生業とする人のみならず、経済活動をする人誰もが気軽に見れるような「公共財」になればよいなと思う次第です。。。

2014年2月17日 (月)

宝の山

この前の訂正記事を受けて、面白いコメントいただきました。


世の中実態なしのうまい話はないということなんでしょうね。ところで先日SNA年報を見ていて付表7で「埋蔵金」がかなり判明することがわかりました。資本移転の公的金融等⇒一般政府の所です。脚注を虫眼鏡を使いながら辛抱強く読むとここに貴重な情報が「埋蔵」されていました。もっとも外為特会からの移転は政府内なので出てきませんが・・。SNAって素晴らしいですね。


このコメントは、恐らく付表7ではなく、付表6(一般政府の部門別勘定)についてのことだと思うのですが、このあたりの付表の(注)についてコメントをいただけるとは、またマニアックですね(笑)


この付表6については、かなり前から、一部の人(政府の財政関係の分析をする人等)の間では、非常に重宝されていた表で、12年基準改定(直近の基準改定は17年基準ですからその前です)からは、要望が多かった「プライマリー・バランス」という項目を参考として公表しています。

(これはまたマニアックな話なのですが、プライマリー・バランスはnational accountsのマニュアルでは出てこない指標でして、むしろ、IMFが主導している政府財政統計のマニュアルでようやく出てくるものだったと記憶しています。


この表は、一般政府については、決算の各項目を丹念に積み上げていったものですので、ご指摘のとおり、平成18年の財融特会から一般会計への剰余金の繰り入れなどは、統計の結果に大きな影響を与えることから、何でこうなったのか注書きをつけるようにしています。

例えば、この平成18年の例で言うと、


「平成18年度については、「平成18年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律」に基づく財政融資資金特別会計(公的金融機関)から国債整理基金特別会計(一般政府)への繰入れが資本移転(受取)(12兆円)として計上されている。」


という感じです。公表資料が膨大で、なかなか慣れていないと目につき難いのですが、実は
national accountsは、いろいろな情報が入っている宝の山なのだと思っています。


また、この付表6は、あくまでnational accountsの勘定で組み上げられていますから、まずはじめに、生産があり、その後、分配があり(所得支出勘定)、固定資本の取得・譲渡があり(資本調達勘定)、その裏で金融取引がある(資本調達勘定の金融取引部分)という形になっています。ですので、ぱっと見では、政府の支出がどれだけあり、政府の収入がどれだけあり、netでどうなっているのかというのが分かりにくくなっています。


そこで、平成17年基準改定から、付表6(2)として、IMFの政府財政統計マニュアルの区分に揃えた勘定表を作るようになりました。これは、収入と支出、非金融資本への支出が人目で分かり、非常に使いやすいのではないかと思います。(私が担当していたころよりも、ずっと過去の年まで遡っていただいており、今の担当者の方のご苦労がしのばれます。本当にお疲れ様です。)


さらに、ご指摘のありました付表7では、政府の支出がかなり細かい分類まで分けて掲載されていたります。しかも、この分類はcofog(Classification of the Functions of Government:政府の機能別分類)という国際基準に従っていますから、各国も同じようなものを公表しており、これによって、国際比較に使うこともできます。


今回は、政府関係ばかり書いてしまいましたが、national accountsは、ほかにもいろいろ有用な情報が入っており、本当に使いどころのある統計だと思います。

2014年2月16日 (日)

推計手順

ご質問をいただいておりました。


 
大変勉強になりました。ありがとうございました。

 もし時間があったらでよいのですが、GDPを推計していく行程の具体的な記載をいただけないでしょうか。たとえば、どの程度分業しているとか、どういう時間軸で進んでいくのか、といったことは、外からはまったくみえません。海外に比べ日所に少数でやっているという声もききますし、また、いわゆる国2の方が支えている部分も少なくないともききました。


ありがとうございます。確かに、どのように推計しているのかというのは分かりにくいかもしれませんね。。。


大まかな考え方をみるために、一番分かりやすいのは、年次推計の推計マニュアルだと思います。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/chap_1_2012.pdf


これのP1に図1-1があるのですが、これが一番分かりやすいかと思います。


今回はGDPというご質問でしたので、具体的に関わってくるのは、四角で囲われた「コモディディー・フロー法」というところと「付加価値法」というところ、それに、「国内総生産(支出側名目)」とあるところ及びその左に3つほど「対家計民間非営利推計」、「財政推計」、「海外推計」というところも関係があります。更に、実質化という意味では、右上にある「基本単位デフレーター」と書いている部分は、正しくデフレーターを作成するという意味で関係があります。


そして、どのように分担しているかと言うと、この「コモディディー・フロー法」、「付加価値法」でそれぞれのユニットとなります。この2つのユニットは、現在は同じ課になっていますが、昔は別の課であったこともあり、体制と言う意味では別のユニットとみた方が良いかと思います。(もちろん、相互調整は必要ですが。)


そして、この「コモディティー・フロー法」による推計値を元に、GDP(支出側)を仕上げていくためのユニットが一つあります。ここに、コスト積み上げでないと推計できないため、財務諸表等から推計していく部門(「対家計民間非営利部門」及び「政府部門」)
(注)とBOPの組み換え等が必要な「海外部門」も加わって一つのユニットになります。このコスト積み上げの部分は、当然、「コモディティー・フロー法」、「付加価値法」の推計にも必要ですから、この両ユニットに反映するとともに、自らのユニット内で作るGDP(支出側)の推計にも使います。


(注)コスト積み上げについて


例えば、政府部門は、市場価格が存在しないため産出額を測定するために、


政府の算出 = 雇用者報酬+中間投入+固定資本減耗+生産・輸入品にかかる税


として推計します。こうして生み出された政府の産出額は、誰も消費支出してくれませんから、政府自らが消費したものと計算します。これに、「他の部門が生産したものを政府が消費支出した部分(現物社会給付)」を加え、「政府が戦災したものを他の部門が消費支出した部分(商品・非商品販売)」を除いたものが政府最終消費支出になります。


この辺りの詳細は、
http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/post-c4a1.htmlをご覧ください。


そして、GDP(生産側)は、「付加価値推法」推計のユニットで作成されます。

こうして出来上がった、GDPの名目値を実質化するために使う、デフレーターを作るためのユニットが必要になります。


というわけで、大体「①コモディティー・フロー法ユニット」、「②付加価値法ユニット」、「③GDP支出側統合ユニット(含:「対家計民間非営利部門」及び「政府部門」)」、「④デフレーター作成ユニット」の4ユニットに分かれて分業しているという感じかと思います。そして、流れとしては、まず、③のユニットから、「対家計民間非営利部門」及び「政府部門」に関する情報を、①と②のユニットそれぞれに提供し、①、②がそれぞれの推計をします。②のユニットにより、付加価値法推計によるGDP(生産側)はこうして完成し、①のユニットによるコモディティー・フロー法推計の値を使い、「対家計民間非営利部門」、「政府部門」及び「海外部門」の推計値を統合し、GDP(支出側)ができるという感じです。更に、④のユニットが作成したデフレーターを用いて、GDP(生産側)、GDP(支出側)の実質値が推計されます。


現状はこの体制で推計しています。


が、これがベストなのかと言うと必ずしもそうではないという異論もあると思います。私個人も、①のユニットと、③のGDP支出側推計値統合ユニット、は一緒に仕事をしてしまった方が良いのではないかと思っています。ただ、③のうちの、「対家計民間非営利部門」及び「政府部門」はまた別のユニットとして切り離した方が良いかなとも思います。この部分は、政府の個別の制度を良く理解している必要がありますし、少し①とは異なる専門性が必要な気もしますので。(もちろん、これはあくまで私の個人的な意見なので、いろいろ異論はあると思います。)


また、人員数についていうと、おそらく少ないと思います。アメリカの主席統計担当官経験者の話を聞いたことがあるのですが、アメリカでは連邦政府だけで統計に携わる人は6000人いて、これでも減らされており足りないと言っていました。当然、これはnational accountsだけでないので単純に比較はできませんが、日本は数十人ですから、もっと苦しい状況にあると思います。また、人員のタイプについても、いろいろな職種の方、他省庁や民間企業から出向等でいらしていただいている方と、たくさんいらっしゃいます。本当に職人芸の世界なので、職種等に関係なく優秀な方のお力で何とか推計できているという感じだと思います。


前述のとおり、職人芸の世界ですので、できれば、national accounts推計の職人と言うような専門家がたくさん出てくればいいとは思うのですが、この面でもいろいろと難しい問題があります。なぜなら、「national accounts」という世界が、非常にニッチな世界なので、この世界の専門家(しかも推計面で)になったからと言って、それほどメリットが無いのです(笑)。ですので、この分野の専門家になろうという意欲を持たれる方も非常に少ないのが現状なのではないかと思います。


何とかこの現状を改善するために、まず、national accountsの有用性、こんな分析ができますよ、といったメリットを広めて、それによって、推計担当者にとっても魅力的な仕事になるようにできればと考えております。。。

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