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2014年1月

2014年1月15日 (水)

硬貨(訂正)

硬貨発行の記事についても、コメントをいただきました。ありがとうございます。

お忙しいところありがとうございました。やはり負債の増になるようですね。以下余談・・

そこで逆転の発想。さてアベノミクス第4弾。オリンピック記念硬貨を大々的に発行する。中身はアルミに金を貼る。原価1000円、額面表示価格10万円。意匠デザインは固定コストなので凝りに凝り洛陽の「市価」を高からしめる。これでプライマリーバランスの対GDP0.3%の向上を目指す。・・初夢に終わってしまうかな・・。

なるほど、ご指摘のとおり、政府の中間消費が少なく、かつ、額面の高い通貨を作った場合、「政府」の収支は改善しそうに見えます。

ですが、よく考えてみると、前回書きましたとおり、資金循環統計の解説書では、

一方、中央銀行の資産サイドでは、中央政府に対する債権を有すると擬制(その他資

産として計上)。

とありますから、前回の私の書いた内容が間違っているような気がします。具体的にどの場所かと言いますと、

そして、この通貨の販売代金を日本銀行からいただく必要がありますが、これは、いわゆる商品・非商品販売として受け取ることになるのでしょう。そして、その受け取り金額は、前述のとおり発行金額ですから、これが製造費を下回ると、政府最終消費支出として自己消費したという計上になるのだと思います。

というところでして、「この通貨の販売代金を「商品・非商品販売」として受け取る」という場所です。この部分、実物取引として、商品・非商品販売、金融取引として、現預金の増を念頭においていたのですが、資金循環統計の解説で、中央銀行が中央政府に対して債権を有すると書かれているわけですから、実際には、中央政府の側から見ると、金融取引として、現預金の増と負債の増が両建て計上されるような気がします。

ですので、恐らく、通貨を発行するだけ、生産コスト分だけ政府最終消費支出が増えて、政府の財政収支が悪化するということになるような気がします。

混乱したことを書いてしまい申し訳ございませんでした。。。。

なお、コメントにありましたような、一時的に財政収支を良化させる方法はほかにもあります。具体的には、財有特会の剰余金が一般会計に12兆円繰り入れられたことがあるのですが、これによってその年度(具体的には平成18年度)の財政収支が大幅に改善しています。

これは、統計の結果としてそうなるというのはやむを得ないと思うのですが、政策指標として用いるのであれば、見方に注意が必要なのではないかと思います。というのは、プライマリーバランスの改善は、ある程度の期間継続してその傾向が続くことを目標としている指標ですから、このような特殊要因て単発的に改善したとしてもあまり意味は無いのではないかと思いますが、いかがでしょうか???

(なお、この財有特会からの単発的な繰入金が、財政収支に影響を与えてしまうという計上方法そのものが、あまり適切ではないという、(非常にマニアックな)意見もあり、それはひとつの考え方としてありえると思っています。。。)

2014年1月14日 (火)

「需要側と供給側」の2つの意味(追加)(2)

さて、話を元に戻しますと、日本ではどの統計がどれだけQE推計で利用できているかということですが、URLを提示してくださいました、「推計手法解説書(四半期別GDP 速報(QE)編)」に、実は、結構細かいことが書いてあります。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

この参考4に、表になっています。「供給側推計」については、91品目ごとに、どれだけ生産されて、どれだけ最終消費支出に回って、という形で推計するのですが、その91品目をどの統計から持ってきて、その統計がいつ利用可能になるのか、そして、すべて利用可能でない場合には、どのようにして補外推計しているのか書いています。

これを見ると、「1 米麦」などは、いずれも「翌月下旬」までに公表されているので、翌々月中旬に公表される1次QEには利用できるということがわかります。一方で、生産動態統計などは、「翌々月中旬」となっており、実は3ヶ月目の統計は利用できていないことがわかります。但し、もちろん2次QEでは間に合います。

一方で、「需要側推計」を見てみると、家計最終消費支出の推計に用いられている家計調査は「翌月下旬」公表ですから、1次QEで間に合っていることが分かります。また、公的固定資本形成でたまに話題になる建設総合統計は「翌々月下旬」ということで、3ヶ月目は利用できていません。

「需要側推計」でやっぱり話題になるのは、民間企業設備の推計に用いている法人季報でしょう。これが「3ヶ月目の上旬」となっています。これは、2次QE公表にぎりぎり間に合うタイミングでして、逆に言えば、2次QEは法人季報(四半期別法人企業統計)を取り込めるタイミングで公表しているということなのです。

さて、以上のことを考えると、実は、日本では「需要側推計」だけでQEを推計しようとすると、今の2次QEのタイミングまで公表が遅くなってしまうということが言えるかと思います。なぜなら、民間企業設備の根拠となる統計が、それまでは全く取れないわけですから。。。

というわけで、「供給側推計」を取り込むことには、確報推計の推計方法に近づけることができる(といっても、基礎統計が異なるので、改定は避けられないのですが)ことに加え、1次QEの公表日を早めることができるというメリットもあったと評価できるのではないでしょうか?

2014年1月13日 (月)

「需要側と供給側」の2つの意味(追加)

追加でいくつかコメント及びご質問をいただきました。

 

 大変よくわかりました。この部分は、あまり書籍に記載されていない印象なので、大変勉強になりました。

 ちなみに、GDP統計はあくまで加工統計ですから、他の一次統計から組み合わせて作成されることになります。需要側だと、家計調査など、明らかに速報性の高いデータを取り込むことができます。一方、簡易コモディティフロー表はどの程度、速報性を含んだ情報(たとえば月次ベースで公表されるデータ)を取り込めているのでしょうか。この点が十分でないと、供給側を取り込むことの意味合いが薄れてしまう印象もある気がいたします。 

 下記をみると、そのあたりが、今ひとつピンとくる形で記載されていない章です。

 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

また、

 すいません。。

 「1) 確報推計のコモ法における91 品目分類の出荷額暦年値の定義に合わせ、月次又

 は四半期値の基礎統計から四半期別出荷額の動向を表す補助系列を作成する。」(P1

 http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

 という書きぶりをみると、月次あるいは四半期ベースで取得できるデータにしぼり、推計しているように思われますね。この文章だけだと、簡易版のコモディティーフロー法の推計を再現することは不可能に思われますね。もう少しわかりやすい&詳細な解説があれば、と思うのですが。。

コメントいただきありがとうございます。追加でいただきましたご質問、そのとおりですよね。「「需要側統計」よりも「供給側統計」が誤差が少ない」という意見があったとしても、その「供給側統計」がそもそも入手可能なのかという話は非常に重要な論点になります。

完全な蛇足になりますが、よく、「海外のGDP推計では、需要側統計なんて使っていない」ということを言う人もいます。しかし、その前提として、その方がおっしゃっている「海外」では、家計調査や四半期別法人企業統計のような統計が存在しているかどうかまで、遡って考えておられるのだろうかと思うことがあります。

ちなみに、私の知る限りでは、ユーロ圏のGDP推計は、ご指摘のとおり「供給側統計」を使った「GDP(生産側)」の推計がメイン(統計上の不突合が無いという意味)になっている印象があります。そして、GDP(支出側)の推計も、前述のコモディティー・フロー法(供給側統計を用いたGDP(支出側)の推計)であることがほとんどだと思います。

一方で、アメリカのGDP推計では、最終消費支出は、小売の流通業者にその販売額を聞く形の調査(Monthly Retail Trade and Food Services Survey)を使っています。ですので、必ずしも「供給側統計」とは言い切れないような気がします。

話がずれてしまいましたので、次回は話を戻します。。。

2014年1月 2日 (木)

硬貨(3)

ここまできて、ようやく1円玉の発行額の増加についての影響まで考える準備ができました。

まず、政府における活動を考えて見ましょう。まず、政府において、1円玉を製造しなければいけません。そのために、アルミニウムをたっぷり購入する必要がありますし、刻印する機械を稼動させる必要があります。それやこれやで、たっぷりとお金がかかります。これらはすべて、政府の中間投入(政府サービスを生産するための中間投入)として、政府最終消費支出に計上されます。(但し、アルミニウムについては、購入し、実際に使うまでの間に、原材料として貯蔵しておくことが普通でしょう。したがって、この間は、公的在庫の増(利用するときは減と中間投入の増)として計上されることになります。)

そして、この通貨の販売代金を日本銀行からいただく必要がありますが、これは、いわゆる商品・非商品販売として受け取ることになるのでしょう。そして、その受け取り金額は、前述のとおり発行金額ですから、これが製造費を下回ると、政府最終消費支出として自己消費したという計上になるのだと思います。

ですから、1円硬貨のように、貨幣価値より製造費が明らかに高そうな硬貨の場合、発行すればするほど、政府最終消費支出が増えていく形に(すなわち、政府の「純貸出(+)/純借入(-)」のマイナス)になるのではないかと思います。

最後に、この「アルミニウム」という資産の保有者がどの段階で移ることになるかと考えると、恐らく、通貨の発行段階までは、「アルミニウム資産」として、政府が保有しており、当該資産が「1円」の価値で売れた瞬間に、当該資産が消え、額面価値の「1円」だけ資産が増加(商品・非商品販売の増加)することになるのだと思います。生産コスト積み上げの段階と、商品・非商品販売の段階でわずかにズレが出ますが、制度上そうなっているのですから、これはやむを得ないのかなとも思います。

この部分も、直接担当したわけではないので、間違っておりましたら、担当のかた、是非ご指摘ください!!

2014年1月 1日 (水)

硬貨(2)

貨幣から、話が横道にそれてしまいましたが、元に戻りますと、

一方,「硬貨」つまり貨幣については,独立行政法人造幣局が製造した後,銀行券と異なり,日本銀行へ交付された時点で,国が「お金」として発行したことになる(「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」第4 条)。ただし,貨幣も日本銀行の窓口から世の中に送り出される点は銀行券と共通している。

とあります。これを見ると、貨幣については、造幣局が製造した後で、日本銀行へ「お金」として(強制的に)売り渡しているということになります。ということは、通常であれば、貨幣というお金を作った後で、日本銀行に強制的に売り払った段階で、政府には、貨幣の対価として日本銀行から受け取った資産の増が計上され、日本銀行(公的金融)には、資産の増として貨幣が、(対価は負債に乗るような支払いをするとは思えないので、通常は)資産の減としてその貨幣引取りの支払い対価が計上されるはずです。

が、よく分からないので、資金循環統計の解説書を調べてみました。

https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/data/exsj01.pdf

これには、

[現金の発行主体]

現行の制度において、日本銀行券の発行主体は日本銀行であり、貨幣の発行主体は国である。しかし、資金循環統計においては、日本銀行券と貨幣を同等に扱うため、両者とも中央銀行が発行したものとみなし、同部門の負債に計上している。両者を同等に扱うのは、日本銀行券と貨幣が相互に互換性を持つためである。

とされ、その注では、

一方、中央銀行の資産サイドでは、中央政府に対する債権を有すると擬制(その他資産として計上)。

とされています。これはすなわち、資金循環統計(そして恐らく同じくJ-SNA)では、政府から貨幣を引き取った段階では、「お金」として計上せず、紙幣と同じく、市中銀行が貨幣を受け取った段階で、中央銀行の負債として計上し、同時に、中央銀行の資産と政府の負債が同額だけ増加するという形になっているということだと思います。

前置きだけで長くなってしまいました。。。

続きは次回に。

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