« 供給側と需要側 | トップページ | 資本調達勘定(2) »

2013年12月 9日 (月)

資本調達勘定

いろいろとご質問をいただいているのですが、いずれも難しくてなかなかお答えできておりませんで申し訳ありません。

まずは、こちらのご質問から。

資本調達勘定は、フロー編は国内金融取引を相殺して計上しているのに対し、ストック編は期末貸借対照表に合わせて国内金融取引を相殺せず、金融資産・負債の変動分を計上していると思うのですが、資本調達勘定は基本的には取引時点の取得価格で計上されているのにも関わらず、どうして変動分のみ統合勘定で計上することができるのですか?

資産負債の期首残高と期末残高の変動分が資本調達勘定と調整勘定に計上されていることは、理解できるのですが、もし取得価格で資産負債にそれぞれ計上してしまった場合、取引時点の取得価格は、購入価格+変動分となり、期末貸借対照表に加算した時に2重勘定になってしまうような気がします。

土地購入(純)は購入額-売却額なので変動分が明らかなのはわかりますが、株式等の金融資産はSNAの概念上、どのように計上しているのか、教えていただきたいです。

私が直接担当していた部分ではないので、ご質問の趣旨に沿ってちゃんとお答えできるか自信が無いのですが、順を追って、考えてみたいと思います。

まず、国民経済計算部のHPから、「統計の見方」というマニアックな内容を見てみましょう。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h22/sankou/pdf/usage.pdf

これを見ると、フロー編については、

3)資本調達勘定

③ 金融取引勘定においては、海外との取引のみが、対外資産の変動、対外負債の変動として計上され、海外に対する債権の変動がバランス項目となっている。これは、国内の金融取引は統合されることにより相殺され、海外との取引のみが残ることによるものである。

ストック編については、

金融資産・負債残高は、現金・預金、貸出・借入、株式・出資金、株式以外の証券等を対象として、各制度部門との関連を明らかにするため、制度部門間の取引を相殺しない結合方式によって計上しており、制度部門別勘定の合計が統合勘定と一致し、制度部門別勘定の「金融資産・負債残高の差額」の合計が、対外純資産に一致する。

とあります。つまり、フロー編では、関心事項が「各制度部門における資産・負債の動き」が見たいだけですので、その統合版である統合勘定でも、海外との取引による資産・負債の動きだけ、分かりやすく計上しているということかと思います。

なお、この国内の「金融取引は統合されることにより相殺」というのは、国内の各部門の「資産」だけの増減を合計すれば海外との取引以外は消えるということではありません。

それを分かりやすく記するために、ひとつ例を挙げてみようと思います。

国内の各部門間の取引において、ある部門が株式を購入し、その代金のために借入をしたとします。この場合、その部門では、資産・負債が両建てで増えています。一方で、当該株式を売った部門は、株式という資産が減ると共に、現金という資産が同額増えています。(その背景にある貸し出しについては、貸出をした部門は、債権という資産が増えると同時に、現金という資産が減っています。)これは、一国全体で資産-負債のバランスは変化させませんが、資産、負債ともに増えています。

一方で、こういった取引の動きを、各資産ごとに見てみようと考えると、ストック編のように相殺しない方法とせざるを得ないと思います。

長くなってきましたので、続きは次回に。

« 供給側と需要側 | トップページ | 資本調達勘定(2) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559179/58728393

この記事へのトラックバック一覧です: 資本調達勘定:

« 供給側と需要側 | トップページ | 資本調達勘定(2) »

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31