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2013年12月28日 (土)

「需要側と供給側」の2つの意味(2)

前回の続きです。

続いて、GDP(支出側)を見てみましょう。このGDP(支出側)には大きく分けて2つの推計方法が考えられます。ひとつは、

生産+輸入=国内総供給=最終消費支出+中間消費+総資本形成+輸出

という関係式が成り立ち、しかも、そのうち生産は前述の工業統計表を用いれば分かりますし、輸出と輸入は国際収支統計で把握できます。後は、最終消費支出、中間消費、総資本形成への配分比率は、これも産業連関表で把握することができます。

この式を少し変えてあげれば、

生産-中間消費=GDP=最終消費支出+総資本形成+輸出-輸入

となります。こうしてGDP(需要側)を推計することができます。

このとき、使っている主な統計は工業統計表という「生産側の統計」ですから、この推計方法は生産側統計を用いたGDP(需要側)の推計と言えると思います。この推計方法がコモディティー・フロー法と言って、わが国では主に年次推計(確報推計)で使われているもので、また、national accountsの体系で推奨され、各国で利用されている最も基本的な推計方法になります。

一方で、GDP(需要側)の推計方法については、別の推計方法も考えられます。それは、

GDP(需要側)=最終消費支出+総資本形成+輸出-輸入

ですから、家計調査や政府の決算書から最終消費支出を、また、法人企業統計やこれも政府の決算書から総資本形成、国際収支統計から輸出や輸入をそれぞれ推計することもできます。このとき、家計調査や法人企業統計は、「あなたはどれだけモノを買いましたか?」とか「あなたの企業は、どれだけ設備投資をしましたか?」というように、生産者でなく、需要側にどれだけモノを使ったかを聞く統計です。つまり「需要側統計」です。

このような推計が、いわゆる「需要側」と呼ばれている推計で、こちらは需要側統計を用いたGDP(需要側)の推計と言えると思います。そして、この推計方法は、かつての速報値(QE)の推計方法でした。

これまでの話で、GDP(生産側)とGDP(需要側)があり、さらに、GDP(需要側)については、「生産側統計を用いた推計」と「需要側統計を用いた推計」があることがお分かりいただけたのではないかと思います。需要側、供給側といったときに、このうちどれの話をしているのかによって、議論が全く異なってきます。著名エコノミストのレポートの中でも、この両者を混同した議論がたまに見受けられ、議論をややこしくしている印象があります。

続きは次回に。

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