国際動向
前回の記事でも少し書きましたが、現在の仕事の関係で、アメリカの統計の専門家(アメリカのセンサス局や国連の統計局などで勤務経験あり)の講義を聴講する機会がありました。
非常に興味深い話が多く、勉強になりました。アメリカの統計が、分散化されていて、全部で14の省庁が作成しており、その取りまとめ役としてOMB(US office of management and Budget)が機能しているという話など、アメリカの統計の話も楽しかったのですが、それよりも、統計の今後という話が面白かったです。
(ちなみに、これだけだとアメリカの統計は日本と似ているのですが、アメリカでは、このOMBにChief Statisticianという人がおり、この人は統計作成経験のある人がついているようです。 )
統計の今後については、
○統計セクターは、調査、改革、職員のリクルートの面で劣勢に立つ。
○商業データの優位が高まり、政策当局も、そちらをより注目するようになる。しかし、「ベンチマーク」としての統計の役割は有用。
○統計部局に今後求められることは、より高度なデータの提供ではなく、基礎データの適時性とそれらのデータの統合になる。
○そして、統計作成部局による、適切な利用方法のアドバイスは有用。
という話があり、なるほどな~、と思いました。また、
○今後統計担当への政策当局からの要望もより高度に変わってくる。どこまでやるべきか、やらないべきかの線引きは微妙。例えば、統計作成当局が、「予測」をするべきか!というのは難しいし、答えもない。
○但し、「予測」をしないとしても、統計作成当局が「分析」をしてはいけないわけではない。
ともいっており、本当に納得でした。GDP作成部局が、将来のGDPを予測するということはありなのか?とか、基礎統計が出た段階で、一部項目だけでも統計を出すとかできないのか?とか、統計メーカーだったときに悩んでいたことそのままでした。
この部分、答えは無いものの、少なくとも、基礎データの使い方とか推計がどのようになっているのかということの説明という面では、(元)統計メーカーの役割は変わらないと思っておりますので、この面で、少しでも役に立つことができればと思っております。
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