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2013年11月17日 (日)

季節調整(ご質問についての回答)

いろいろとコメント、ご質問をいただいておりました。

まずは、

 ありがとうございます。大変勉強になりました。

たしかに、日本のQEは毎回季節調整が変わるので、データがコロコロつかい、使いにくいというのは結構耳にします。一方で、直近しか変更しない米国みたいなケースもあるのですが、本質的には日本のほうが悪くない対応をしているという考えには共感するものがあります。

 一方で、少し長いスパンでの分析を考えると、季節調整というのはあまり問題にならないケースが多い印象です。回帰分析をするなら、ダミーをいれることなどの対応が可能です。GDPの確報値の四半期データには季節調整のデータがなかったように記憶しておりますが、このこともそれを表しているように思います。

そのように季節調整には一定の問題がある中で、前期比で問題になるGDP統計の季節調整の値がちょっと動いただけで、マーケットが結構反応することもあるので、なんだかな、と思ってしまいます。

コメントいただきありがとうございます。

ご指摘のとおり、長いスパンでの分析、特に過去のデータを見るときは、暦年、年度で見ることが多いので、やはり季節調整値が気にされるのは足元だけですよね。ですので、速報値だけ季節調整値が公表されるという形なのかと思います。といっても、速報値も、確報値が公表されている期間については、確報値がそのまま入っているのですが(笑)

結果が少し動いただけでマーケットが動いてしまうのは、それだけ関心を持っていただいているということでありがたいという面もあるのですが、ご指摘のとおり、そこまでマーケットが過剰に反応しなくてもと思うこともあります。(QEは速報値と言いながらも、実は、1ヶ月半~2ヶ月前のデータですし。。。繰り返しになりますが、これは、それだけ経済統計のアンカーとしての役割を高く期待されているということなので、ありがたいことだと思っています。)

続いて、

 あと、QEは支出面から作成しているわけですが、QEの計算方法の詳細は公開されているのでしょうか。すなわち、QEは内閣府にいない人間も、完全に再現できるようなものなのでしょうか。

QEの計算方法については、解説マニュアルが出ています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

そして、確報の推計についても、解説マニュアルが出ています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/kaisetsu.html

では、これでもって完全に再現できるかというとそれは微妙です。というのは、多くの方が勘違いしているのではないかと思うのですが、QEだけ再現するということはできないのです。何を言っているかというと、QEは、確報の値の延長推計ということなのです。つまり、確報の値を、公表されている基礎統計で延長推計しているというのがQEなわけで、その基礎としての確報の値が重要になってきます。

では、確報はどういうことになっているかというと、まず、コモディティー・フロー法という推計方法で、財貨・サービスの需要・供給を推計するのですが、これは、工業統計表の2000品目の分類でそれぞれ推計しています。これ以外にも、この分類を基礎にして、デフレータを作らなければいけませんし、非市場財は工業統計表からでは取れませんから、特に政府の生産・消費については、決算書から積み上げる必要があります。

それやこれやと考えると、正直、完全に再現するのは難しいと思います。私も、今は推計担当部局にはいませんが、私に再現してくださいといわれても、絶対にできません(笑)まず、上記の作業を行うための体制(人員も含め)を作る必要があることから、大手のシンクタンクなどの組織が本気でやらないと(恐らく100人規模?)無理ですし、かといって、そのシンクタンクがその体制を組むメリットがどこにあるかということを考えると、現実的には「完全に再現」というのは難しいかなと思います。ですが、これらの推計方法の公表資料で、ある程度の推計はできると思います。

以前、このページにも書きましたが、こういう背景を考えても、やはり、ベンチマークとして、統計作成部局が公表する意味は大きいのだなと思っています。

最後になりますが、

あと、今、思い出したのですが、季節調整をかけるときに、年率に直してからかけるべきか云々も、議論されていなかったでしたっけ。ここについてもしご意見があれば、拝聴できれば幸いです。

これについては、2つの論点があると思います。「年率に直してからかける」の意味ですが、

①原系列を4倍にしてから季節調整ソフトをかける

②季節調整をかけた系列の前期比伸び率を4乗する

のどちらの意味かによって異なります。①については、Xシリーズは、基本的に季節指数を乗ずるものですから、すべての計数を4倍しても結果は変わらないのではないかと思います。②については、以前もこのページで書かせていただきましたが、08SNAマニュアルでは、「どちらもあり!」という感じで書かれていました。私も、「どちらもありかな」と個人的には思うのですが、ただ、特に途上国では季節調整値すら出していない国も多く、その場合、前年同期比でみるのですが、この前年同期比と比較的、規模感で似てくるのは、前期比年率だと思います。こういった背景で、前期比年率を使うことが多いのではないかと、個人的には思うようになりました。

というわけで、コメント、ご質問ありがとうございました。

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コメント

ありがとうございます。勉強になりました。
これから、この推計方法を熟読しますが、すごい手間がかかりそうですね。。
そういえば、以前GDP統計の推計ミスがあってGDP推計をするためのメンバーが増強された、という報道があった気がします。今は100人くらいの体制で計算しているのでしょうか。

ちなみに、民間におけるGDP予想推計の人数のイメージですが、2-3人でやっているという印象です。外資だと、1人+若手/アシスタントくらいでやっているのでは、と思います。私自身、推定を当然したことはないので、印象の領域をでないのですが、簡単な何十本もある単純な回帰式を回して推定しているような印象です。

これはずうずうしいですが、QEの推定について簡単でよいので(また時間があるときでよいので)御解説いただければ幸いです。

QEは、基本的には、Y=C+I+G+CAで計算するが、供給側を簡単なコモディティーフロー法で算出して、消費などは需要側と統合して、算出するという方法をとっているのですね。輸出入のように、国際収支統計をそのまま使ってしまう部分もあるのですね。

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