« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月

2013年11月24日 (日)

直接投資

ちょっとしたことで、直接投資について調べる機会がありました。

今、私は統計作成部署とは違う部署にいるのですが、過去の経験からご質問をいただくことがたまにあります。そのご質問がまた非常に難しい、池上氏では無いですが『良い質問』でして、お答えするのに一生懸命しらべる必要があるものばかりで、いつも勉強になります(笑)

今回の直接投資についていただいたご質問は、eurostatのデータについてです。

そのご質問に入る前に、まず、データを見ていただきましょう。

こちらは、eurostatが作っている、貿易と直接投資のハンドブックです。
http://epp.eurostat.ec.europa.eu/cache/ITY_OFFPUB/KS-FO-12-001/EN/KS-FO-12-001-EN.PDF

こちらの後ろの方に、データ集があるのですが、その93-94ページに、EU27カ国に対する海外からの直接投資残高の国別データが載っています。そのうち94ページのインドネシアの欄がマイナスの値になっています。

○直接投資『残高』が負値になることってあるのでしょうか?

というのが今回のご質問でした。

直接投資の「フロー」が負値になることは良くあります。それは、実行した直接投資を引き上げるときなどがあるためです。この直接投資の「フロー」の積み上げがストックですが、そのストックがマイナスになることなんてあるんだろうか?と私も直感的に思いました。

そこでいろいろ考えたのですが、まず私が思ったのは、「fair value」への変換の影響ではないかと思ったということです。national accountsbalance of paymentでは、これらの統計は「book value」ではなく「fair balue」で記録することが推奨されています。「fair value」は、普通に訳すと「時価」となりますが、本来市場価格が存在しないものを「時価」にするわけですから、少しニュアンスが違ってくるという印象もありますが、本題ではないのであまり深入りしません。

話を元に戻すと、行った直接投資の価値が毀損し、時価で見るとマイナスになったということなのかとまずは考え、そのようにご質問をいただいた方には回答しました。

ただ、なんとなく気になったので、eurostatの質問コーナーにメールを送って聞いてみました。そうしたら、本当に1,2時間で回答が帰ってきて、しかも、その答えは私の予想とは違うものでした。

その答えは、

eurostatのデータは、各国から集めているので、自分のところでは本当のところは分からない。

②したがって、ご指摘のとおり、fair valueの影響の可能性もあるが、違う可能性もある。参考までに、OECDの直接投資推計マニュアルの該当部分を抜粋します。

として、以下の抜粋を送ってくれました。

2) How to interpret negative values for FDI flows and positions?

 Negative values in transactions may indicate disinvestment in assets or discharges of liabilities. In the case of equity, the direct investor may sell all or part of the equity held in the direct investment enterprise to a third party; or the direct investment enterprise may buy back its shares from the direct investor thereby reducing or eliminating its associated liability. If the financial movement is in debt instruments between the direct investor and the direct investment enterprise, it may be due to the advance and redemption of inter-company loans or movements in short term trade credit. Negative reinvested earnings indicate that, for the reference period under review, the dividends paid out by the direct investment enterprise are higher than current income recorded (if that is the decision of the board of managers) or that the direct investment enterprise is operating at a loss.

 Negative outward investments resulting from the directional principle applied to fellow enterprises relates to disinvestment by the resident ultimate controlling parent who receives funds from non-resident subsidiaries. Negative inward investments represent net claims of a resident subsidiary (who has a non-resident ultimate controlling parent) on non-resident fellow enterprises.

 The changes in FDI positions are affected by the accumulated flows and hence may also result in negative values, but mainly for other capital (e.g. when the loans from the direct investment enterprise to the parent exceed the loans ? or even the original capital ? given by the parent to the direct investment enterprise. It could be the case where conduits or treasury companies are involved). This is particularly important when FDI statistics are presented on a directional basis given the significance of inter-affiliate transactions and positions in debt.

ものすごく長くて読みにくいのですが、要は、最後のパラのところがストックの話で、

①フローの積み上げだから、ストックもマイナスになりうる

②ただその場合は、大抵(mainly)別の資産が影響している。

③例えば、子会社から親会社への貸し出しが、親会社の貸し出しはおろか、出資額すらを超えている場合。この場合は、トンネル会社やファンドを経由しているかもしれない。

ということです。

つまり、直接投資は、親子会社間の融資も含みますから、子会社から親会社に融資したりした場合は、マイナスのフローになります。ただ親会社の出資額を超える融資ができるのは変だと思いますが、この場合は、トンネル会社やファンドを経由して、親会社からの出資額が少なめに計上されている可能性があると言うことのようです。

直接投資は、10%出資で親子関係になりますが、海外ファンドを通じて、残り90%を出資していても、そちらは把握できず、計上されてない可能性がありますから、確かにこのような可能性はあるのかもしれません。

また、これは知り合いの人に教えていただいたのですが、実際問題として、資金調達のためだけに現地法人を少額の資本金で設立し、当該現地法人が、現地で調達した資金を、親会社に貸し出すということはありそうで、その場合、直接投資残高がマイナスになるということもありそうです。

ということで、いろいろ調べたことで今回も勉強になりました。ご質問いただいた方、丁寧なお答えをいただいたeurostatのスタッフの方をはじめ、ご協力いただきました皆様、どうもありがとうございました。

2013年11月17日 (日)

季節調整(ご質問についての回答)

いろいろとコメント、ご質問をいただいておりました。

まずは、

 ありがとうございます。大変勉強になりました。

たしかに、日本のQEは毎回季節調整が変わるので、データがコロコロつかい、使いにくいというのは結構耳にします。一方で、直近しか変更しない米国みたいなケースもあるのですが、本質的には日本のほうが悪くない対応をしているという考えには共感するものがあります。

 一方で、少し長いスパンでの分析を考えると、季節調整というのはあまり問題にならないケースが多い印象です。回帰分析をするなら、ダミーをいれることなどの対応が可能です。GDPの確報値の四半期データには季節調整のデータがなかったように記憶しておりますが、このこともそれを表しているように思います。

そのように季節調整には一定の問題がある中で、前期比で問題になるGDP統計の季節調整の値がちょっと動いただけで、マーケットが結構反応することもあるので、なんだかな、と思ってしまいます。

コメントいただきありがとうございます。

ご指摘のとおり、長いスパンでの分析、特に過去のデータを見るときは、暦年、年度で見ることが多いので、やはり季節調整値が気にされるのは足元だけですよね。ですので、速報値だけ季節調整値が公表されるという形なのかと思います。といっても、速報値も、確報値が公表されている期間については、確報値がそのまま入っているのですが(笑)

結果が少し動いただけでマーケットが動いてしまうのは、それだけ関心を持っていただいているということでありがたいという面もあるのですが、ご指摘のとおり、そこまでマーケットが過剰に反応しなくてもと思うこともあります。(QEは速報値と言いながらも、実は、1ヶ月半~2ヶ月前のデータですし。。。繰り返しになりますが、これは、それだけ経済統計のアンカーとしての役割を高く期待されているということなので、ありがたいことだと思っています。)

続いて、

 あと、QEは支出面から作成しているわけですが、QEの計算方法の詳細は公開されているのでしょうか。すなわち、QEは内閣府にいない人間も、完全に再現できるようなものなのでしょうか。

QEの計算方法については、解説マニュアルが出ています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

そして、確報の推計についても、解説マニュアルが出ています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/kaisetsu.html

では、これでもって完全に再現できるかというとそれは微妙です。というのは、多くの方が勘違いしているのではないかと思うのですが、QEだけ再現するということはできないのです。何を言っているかというと、QEは、確報の値の延長推計ということなのです。つまり、確報の値を、公表されている基礎統計で延長推計しているというのがQEなわけで、その基礎としての確報の値が重要になってきます。

では、確報はどういうことになっているかというと、まず、コモディティー・フロー法という推計方法で、財貨・サービスの需要・供給を推計するのですが、これは、工業統計表の2000品目の分類でそれぞれ推計しています。これ以外にも、この分類を基礎にして、デフレータを作らなければいけませんし、非市場財は工業統計表からでは取れませんから、特に政府の生産・消費については、決算書から積み上げる必要があります。

それやこれやと考えると、正直、完全に再現するのは難しいと思います。私も、今は推計担当部局にはいませんが、私に再現してくださいといわれても、絶対にできません(笑)まず、上記の作業を行うための体制(人員も含め)を作る必要があることから、大手のシンクタンクなどの組織が本気でやらないと(恐らく100人規模?)無理ですし、かといって、そのシンクタンクがその体制を組むメリットがどこにあるかということを考えると、現実的には「完全に再現」というのは難しいかなと思います。ですが、これらの推計方法の公表資料で、ある程度の推計はできると思います。

以前、このページにも書きましたが、こういう背景を考えても、やはり、ベンチマークとして、統計作成部局が公表する意味は大きいのだなと思っています。

最後になりますが、

あと、今、思い出したのですが、季節調整をかけるときに、年率に直してからかけるべきか云々も、議論されていなかったでしたっけ。ここについてもしご意見があれば、拝聴できれば幸いです。

これについては、2つの論点があると思います。「年率に直してからかける」の意味ですが、

①原系列を4倍にしてから季節調整ソフトをかける

②季節調整をかけた系列の前期比伸び率を4乗する

のどちらの意味かによって異なります。①については、Xシリーズは、基本的に季節指数を乗ずるものですから、すべての計数を4倍しても結果は変わらないのではないかと思います。②については、以前もこのページで書かせていただきましたが、08SNAマニュアルでは、「どちらもあり!」という感じで書かれていました。私も、「どちらもありかな」と個人的には思うのですが、ただ、特に途上国では季節調整値すら出していない国も多く、その場合、前年同期比でみるのですが、この前年同期比と比較的、規模感で似てくるのは、前期比年率だと思います。こういった背景で、前期比年率を使うことが多いのではないかと、個人的には思うようになりました。

というわけで、コメント、ご質問ありがとうございました。

2013年11月16日 (土)

国際動向

前回の記事でも少し書きましたが、現在の仕事の関係で、アメリカの統計の専門家(アメリカのセンサス局や国連の統計局などで勤務経験あり)の講義を聴講する機会がありました。

非常に興味深い話が多く、勉強になりました。アメリカの統計が、分散化されていて、全部で14の省庁が作成しており、その取りまとめ役としてOMB(US office of management and Budgetが機能しているという話など、アメリカの統計の話も楽しかったのですが、それよりも、統計の今後という話が面白かったです。

(ちなみに、これだけだとアメリカの統計は日本と似ているのですが、アメリカでは、このOMBChief Statisticianという人がおり、この人は統計作成経験のある人がついているようです。

統計の今後については、

統計セクターは、調査、改革、職員のリクルートの面で劣勢に立つ。

商業データの優位が高まり、政策当局も、そちらをより注目するようになる。しかし、「ベンチマーク」としての統計の役割は有用。

○統計部局に今後求められることはより高度なデータの提供ではなく、基礎データの適時性それらのデータの統合になる。

○そして、統計作成部局による、適切な利用方法のアドバイスは有用。

という話があり、なるほどな~、と思いました。また、

今後統計担当への政策当局からの要望もより高度に変わってくる。どこまでやるべきか、やらないべきかの線引きは微妙。例えば、統計作成当局が、「予測」をするべきか!というのは難しいし、答えもない

○但し、「予測」をしないとしても、統計作成当局が「分析」をしてはいけないわけではない。

ともいっており、本当に納得でした。GDP作成部局が、将来のGDPを予測するということはありなのか?とか、基礎統計が出た段階で、一部項目だけでも統計を出すとかできないのか?とか、統計メーカーだったときに悩んでいたことそのままでした。

この部分、答えは無いものの、少なくとも、基礎データの使い方とか推計がどのようになっているのかということの説明という面では、(元)統計メーカーの役割は変わらないと思っておりますので、この面で、少しでも役に立つことができればと思っております。

2013年11月12日 (火)

季節調整

季節調整についてのご質問をいただきました。

GDP統計において季節調整は極めて重要ですが、季節調整のかけ方(なぜこのような次数を選んだのか等)は公表されていますでしょうか。

貴重なご指摘ありがとうございます。本当に、季節調整は、かけ方(特にダミー変数の入れ方)によって、結果がかなり変わってしまいますから、数字の解釈においては非常に大きい影響がありますよね。私も、今は「メーカー」から「ユーザー」に変わってしまいましたので、「ユーザー」として、季節調整の重要性をより感じる今日この頃です(笑)

日本はまだ季節調整について頑張って真面目にやっている方だと個人的には思うのです(特に、今回ご指摘のGDP統計や、日銀の統計などは頑張っている印象があります)が、海外では、季節調整は統計作成者の本来業務ではない、という意識があるのではないかと思うほどひどい結果だったりします。そもそも、途上国では季節調整結果すら出していないし、某先進国(D国)は、代々季節調整があまり得意では無い様で、X12の独自改良バージョンを使っていたりと、いろいろなことがあります。

最近では、他国の統計の季節調整結果があまりに結果が信用できないので、自分でモデル選定・ダミーの選定までやって、自分で季節調整を行おうかと考えているくらいです。ただ、季節調整は、確かに、やる気になれば分析する側で、「自分が適切と思う」季節調整を行うこともできるので、上記の各国が「季節調整は統計作成者の本来業務か?」というスタンスでこられてしまっても、「まあ、確かに自分でできるし。。。」と思ってしまう面もあります。

ただ、これは、どこかで書こうと思っているのですが、先日、アメリカの統計作成部局を数多く(アメリカも、日本と同じく、「分散型」の統計作成になっています)渡り歩いてきた専門家の先生の講義を聴く機会がありました。その講義の中で、「これから、統計以外の情報がたくさん入手できるようになり、情報収集(統計調査)の面での困難が高まり、統計作成に対する役割が大きく変わってくる。それでも、統計には「ベンチマーク」としての役割は依然として求められる。」という話があり、私も全く同感でした。

その意味で、やはり、季節調整結果も、ひとつの「ベンチマーク」として、統計作成者が公表する意味は大きいのではないかと思います。(これに対して、統計ユーザー側が、「このような季節調整のあり方の方が適切ではないか」という対案を出し、ユーザーとメーカーが切磋琢磨してよりよい公共財としての「統計」を作り上げていくという形になればすばらしいのですが。。。)

さて、話は戻りまして、わが国のQE(四半期GDP速報)では、季節調整についての説明は、「推計手法解説書(四半期別GDP速報(QE)編)」http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/reference1/h17/pdf/kaisetsu20130730.pdf

というものがあるのですが、この中のP33以降に書いてあります。

そして、結果の概要のページに「季節調整用ARIMAモデル設定一覧」という資料を掲載しており、ここに、各系列のモデル・ダミー等の情報が出ています。

一応、ここに一通り書いてあるのですが、考え方としては、

①X12-ARIMAを使っている。

②GDP全体に季節調整をかけているわけではなく、それぞれの項目(耐久財とか、サービスとかいうレベル)で季節調整をかけ、それを積み上げている。

③モデルのうち、階差は基本的に1として、在庫は0とする(在庫自体が、ストック系列の1期階差なので)

④ARとMA部分は、012から選択し、AICを最小化するものを選ぶ

⑤季節調整モデルの見直し等は原則毎年の年次推計の際に行う。ダミー等の追加、変更も基本的にこのときに行う。

という感じです。

Xシリーズは、簡単に言ってしまうと移動平均ですから、新しく1年のデータが追加されたときに、モデル・ダミー等を見直すというのは、理にかなった方法かなと思います。

また、以下は個人的な感想ですが、モデルの変更はそれほど結果に大きな違いは無かったと思います。それよりも、ダミーのほうが影響は大きくて、ダミーについては、そのような異常な値となっている背景が明らかで、ちゃんとそのダミーのt値が十分に大きい場合には入れるようにしていました。このあたりも、以前、このHPでも書きましたように、アメリカのIPで突如行われた、「リーマンショック後の季節調整系列がきれいにでないので、少し特殊なやり方でスムーズにしてみました」みたいなやり方よりも、真面目に頑張っているという印象です(笑)

それに、毎回すべての期間、季節調整をかけなおすというのも、ものすごく真面目なやり方だと思います。新しい結果が出たのに、過去の季節調整値を固定しているというのは、実は毎期の結果を歪めていることになるわけですから。(もちろん、それによって、過去の値が変わってしまうことの煩わしさも、統計ユーザーの立場としては良く分かります。。。)

最後に、何でGDP全体でなく、個別項目から季節調整をかけているのかというご質問(というか、X12なら、ある程度まとめて季節調整をかけたほうが、ブレが少なくてうまくかけられるはず、というご指摘かもしれませんが(笑))があるかもしれません。そのご指摘はそのとおりで、そういった意見もあると思います。が、そうすると、寄与度の積み上げができなくなります。GDPの推計結果の内容分析の利便性と、ある程度ブレが少なくなるように各系列をまとめることを考えると、このくらいの系列で季節調整をかけるというのが「ベンチマーク」としてはありなのではないかという気がしております。(もちろん、いろいろな意見もあると思いますし、将来的には変わっていくこともあると思います。。。)

2013年11月 6日 (水)

政府の範囲(ご質問)

前回、政府の範囲というテーマについてUPしたところ、以下のご質問をいただきました。

SNAでは、特別会計を含めた一般政府債務が記載されていますよね。このあたりはどうかんがえればよいでしょうか。対象となる範囲を定めるということは、非常に深淵なテーマですね。

全くご指摘のとおりで、この政府の範囲というのは、非常に深遠なテーマです。実は、政府に限らず、national accountsではありとあらゆるものの「範囲」をどのように定めるのかというのは重要なテーマでして、他の有名な例では、「生産の境界」というものがあります。

これは、今のnational accountsのスタートになる「生産」とはどのようなものが入るのかということがテーマでして、具体的には

○ある地域で、(養殖でなく)魚が大量発生したが、この魚は生産されたことになるのか?

○ご近所組合で、近くのどぶ掃除をしたが、この活動は生産されたことになるのか?

○自分の持ち家のペンキを自分で塗りなおしたが、この活動は生産されたことになるのか?

といったようなことでして、これはこれで非常に難しい、深遠なテーマになってきます(笑)このあたりは、以前書いたことがありますので、そちらを見ていただくとありがたいのですが(http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-cd38.html)、それはそれとして、今回のご質問である、政府の債務等についてです。

実は、私自身も資産・債務の方は直接担当したことがないので、データを見ながらの推測になるのですが、ストック編の付表7.(1)の負債残高を見ると、負債の中に、「政府短期証券」と「国債・財融債」があり、前者はすべて一般政府の残高に、後者は、平成23年度末で、約116兆円が公的金融、約650兆が一般政府に入っています。

財融債とは、財政投融資特別会計の国債ということで、残高も財融特会に詰まれています。特別会計財務書類を見ると、

https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/special_account/zaitou/

平成23年度で、公債が約110兆円あります。

また、財務省のHPにある、公債残高の数字を見ると、

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/004.htm

平成23年度末で残高は670兆円です。

これを見る限り、公的金融にたまっているのは、財融債、一般政府にたまっているのは国債と見て良いのではないかと思います。(もし間違っていたら誰かご指摘ください!!)

というわけで、ご質問にありました、

特別会計を含めた一般政府債務が記載されていますよね。

の趣旨を私なりに想像するに、「政府に入っていない特別会計があるのに、すべての政府の債務が「政府」に入っていませんか?」ということかと思います。

これに関しては、上記を前提とすると「yes」ということになります。一般会計の債務として国債は計上されていますが、一般会計は「一般政府」ですから、これらの残高は一般政府に詰まれることになります。

また、同じような話ですが、一般会計で計上されている各省庁の人件費は、すべて「一般政府」に計上されます。これらの職員が「一般政府でない」特別会計の業務をやっていることも当然あると思います。が、人件費が「一般会計」に計上されている以上、そのようになります。

(ちなみに逆のパターンもあり、国の職員の人件費が「特別会計」から出ている例もあります。その特別会計が「一般政府」でなければ、政府の人件費には詰まれません。しかし、その職員が、その「特別会計」の業務以外のことをやることもたまにはあると思います。)

ただ、このあたりは、私の個人的な感覚では、ある程度の割りきりが必要な部分ではないかなとも思います。というのは、職員本人に「あなたの行った業務は、何%が一般会計の業務で、何%で●●特別会計の業務ですか?」と聞いたところで本人も分からないと思いますし。その意味で、前回書いたとおり、national accountsは「BSを含む財務書類が作れる範囲で分けます」と言っているのですから、それぞれの会計に計上されている支出、債務を計上するということは、それほど違和感は無いのではないかと思いますがいかがでしょうか?

« 2013年10月 | トップページ | 2013年12月 »

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31