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2013年10月 3日 (木)

金融取引(4)

さて、それでは当初の話に立ち返って、リーマンショックの時に、これらの

①生産勘定【生産勘定/財貨・サービスの対外勘定】

②所得支出勘定【所得の発生勘定~所得の使用勘定まで】

③資本調達勘定【資本勘定・金融勘定】

④調整勘定【その他の資産量変動勘定~再評価勘定】

⑤貸借対照表

の5つの勘定に何が記録されていたか見てみましょう。

まず、①に当たるGDPです。実質GDPの伸び率及び寄与度をみてみましょう。

GDP(前年比、前年比寄与度)

1

これをみると、2008年からマイナス成長にはなっているのですが、2009年の方がマイナス成長率は大きいことが分かります。また、その内訳を見ても、2008年に主にマイナスになっているのは、民間最終消費支出であることが分かります。2009年になると、民間総固定資本形成(民間投資+民間住宅)や民間在庫品増加が大きなマイナスになっています。そして、2009年では輸出が大きなマイナスとなっていることも注目されます。

では、金融面で何が起こったのか見てみましょう。これは、ストック編の総合の「3.調整勘定」内にある「(3)再評価勘定」を使っています。

再評価勘定(単位:兆円)

2

これをみると、2008年に大きく金融資産(特に株式)の価格が下落したことが分かります。更に、2009年には、非金融資産(すなわち、固定資本や在庫品などの実物資産)の価格が大きく下落していることが分かります。

再評価勘定は、実は2つに分けることができ、「a.中立保有利得または損失」と「b.実質保有利得または損失」があります。言葉だけだと意味がわからないかもしれませんが、大雑把に言って、前者(a.)は、一般的な物価水準(GDPデフレーター)の変動に伴う資産価格の変動分を示し、後者(b.)は当該資産価格の再評価による資産価格の変動分を示します。

a.中立保有利得または損失勘定(単位:兆円)

3

b.実質保有利得または損失勘定(単位:兆円)

4

これをみると、2008年に金融資産の価格が下落したのは、(b.)の方であることが分かります。つまり、株価の下落に伴い、大きなキャピタル・ロスが記録されていることが分かります。なお、(a.)について、2008年だけプラスになっているのは、この年のデフレーターの動きに特徴があったためです。というのは、この中立保有利得の基準となるデフレーターは「年末値」になるのですが、それが公表データでは入手できませんので、毎年第4四半期のデフレーターを見てみましょう。

各年第4四半期のGDPデフレーター(前年比:%)

5

これをみると、GDPデフレーターは2008年だけ横ばいで、後の年は下落していることが分かります。GDPデフレーターが下落しなかったのは、輸入デフレーターが大きく下落しているためです。2008年末には、原油価格が大きく下落したため、輸入デフレーターが大きく下落し、また、本格的に民間最終消費支出や総資本形成のデフレーターが下落する(すなわち、リーマンショックの影響で需要が減少する)前だったので、このようなことが起こったのだと思います。

長くなりましたので、続きは次回に。

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