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2013年10月 4日 (金)

金融取引(5)

再び、GDPに戻ってみますと、キャピタル・ロスは2008年末で大幅に発生しているのですが、それによるGDPへの大きな影響はすぐには出ていません。ただ、民間最終消費支出が即座に減少しています。

そして、翌年になり、民間最終消費支出のみならず、民間総固定資本形成(民間企業投資+民間住宅投資)が大幅に落ち込み、在庫品増加も大幅に減っています。また、輸出も大幅に減少しましたし、これに前述の原油価格の下落により輸入は実質で増えるという事態が合わさり、外需は大幅なマイナスになっています。このうち、設備投資と在庫品増加については、リーマンショックによるキャピタル・ロスにより、国内消費及び輸出の落ち込みが予想され、設備投資を控えるとともに、在庫を取り崩したであろうことが想像できます。

その後2010年には、輸出も民間最終消費支出も回復し、これらの要因からGDPは4.7%の高成長となりました。民間最終消費支出の増には、自動車補助金などの政策要因もあったと思いますが、同時に、2009年、2010年と比較的大きな規模のキャピタル・ゲインが発生していることも見逃せません。リーマンショックで株価が大きく落ち込みすぎたので、その反動が出ているのだと思います。

ということで、ここまで見てきましたが、リーマンショックのような、お金面でのショック(具体的にはキャピタル・ゲイン/ロスの影響)は、GDPには間接的な影響しか与えていないことが分かります。

ただ、このようなことばかり書いていると、「では、GDPは、金融機関の経済活動が全く含まれていないのか?」という疑問と、GDPを経済指標として使うことに対する批判が出てきてしまうのではないかと思います。ですので、次回に、GDP(及びnational accountsの生産概念)における金融サービスの生産がどのように計測されるのかを触れて、この長い記事を終わりにしようと思います。

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