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2013年6月

2013年6月29日 (土)

貯蓄(4)

さて、いよいよ本題です。

国民所得から法人に関する所得を差し引いたものを個人所得(PIPersonal Income)といいます.

PINI-(法人企業利潤)-(純利子)+(個人利子所得)

個人所得から個人税を差し引くと,各個人が自由に使うことができる所得,個人可処分所得が得られます.個人可処分所得から,消費や貯蓄に割り当てられるので,経済問題を考える上で重要な指標となります.

(個人可処分所得)=PI-(個人税)

このあたり、既にお答えいたしました通り、個人所得という概念をnational accounts上は見たことがありません。そもそも、68SNA以降は、制度部門として「非金融企業」、「金融機関」、「一般政府」、「家計」、「対家計民間非営利団体」の5つの制度部門に分けており、法人企業利潤という概念は見たことがありません。(恐らく、非金融企業と金融機関を控除するということなのかと思いますが。。。)


以前にURLを書きました歴史的資料(68SNA以前)をみると、「個人業種所得」や「法人所得」などの項目があるので、これも、この当時の概念から継続している表現なのではないかと思います。


ですが、national accoutsの中では「個人可処分所得」という概念は出てこないので、正直お答えしにくいのです。が、制度部門別で考えれば、「家計」の「可処分所得」は当然あります。そして、そこから「家計最終消費支出」を控除した「貯蓄」も当然存在します。これは制度部門別の所得支出勘定に掲載されています。これは「家計」の「貯蓄」ですから、J-SNA年報のポイントでは「家計貯蓄」と書かれていますが、意味はそのままですよね(笑)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/h23/sankou/pdf/point20121225.pdf

というわけで、なかなかお答えが直接でなくて申し訳ないのですが、個人という言い方はしませんが、制度部門別でみた「家計」の可処分所得から最終消費支出を控除すると、「家計」の貯蓄になります、ということでお答えになっておりますでしょうか???

2013年6月27日 (木)

貯蓄(3)

続きまして、

国民総所得から,固定資本減耗を差し引いたものが,市場価格表示の国民純所得(NNINet National Income)といいます.市場価格には,消費税などの間接税などが含まれています.NNIから間接税を差し引いたものを要素費用表示の国民純生産,または,国民所得(NINational Income)といいます.

NNIGNI-(固定資本減耗)

NINNI-(間接税)


この部分、『総』概念のものから固定資本減耗を差し引いたものが、『純』概念ですから、国民純所得(Net/National Income, net)というのもその通りです。但し、今英語でも国民純所得を書きました通り、ここのあたり何だか日本の表章が分かりにくいような気がしております。というのは、日本で国民総所得というもの、英語では(Gross/National Income, gross)となっており、N
ational Income(国民所得)という概念は、本当はSNAマニュアル上は、『総(gross)』と『純(net)』の区別があるだけで、それ単独で特別な定義があるもののようには思えないのです。

恐らく、68SNAの時代、又は昔の「国民所得計算」時代を引きずった概念としてこれが存在しているのではないかと思うのです。というのは、J-SNA年報の主2に国民所得、国民可処分所得についての表が出てくるのですが、ここに上記の説明に関する項目が表章されているのですが、いずれも「国民所得(要素費用表示)」、「国民所得(市場価格表示)」となっており、このような表章はSNAマニュアルでは見たことが無く、正直、私もなぜこのような表章になっているのか疑問でした。


そこで、68SNA以前に導入していた「国民所得計算」の表章を見てみました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kakuhou/files/rekishi/sna_top.html

すると、そこでは「国民所得」は、間接税(この概念も実は古くて、93SNAでは「生産・輸入品に課される税」と概念が変わっています)を除いたものをそのように定義しているようなのです。ところが、先ほども書きました通り、SNAマニュアル上は、国内総生産も国内総所得もひとしくて、当然、「間接税」を引くような形にはなっていません。


そこで、当時からの継続性のために、「過去からの「国民所得」は(要素価格表示)ですよ」、「国内総生産、国内純生産と等しい「国民所得」は(市場価格表示)ですよ」と分かりやすくしようとして、このような表章になっているのではないかと想像します。(当時からの経緯を知らない方は、返って分かりにくくなっている可能性がありますが(笑))


なお、以下は完全に蛇足です。


この「歴史的資料」を読んでみて、私も大変勉強になったのですが、恐らく、68SNAを導入する前は、「国民所得計算」と言うだけあり、本当に所得面の積み上げから推計していたようなのです。そして三面等価で考えると、これは生産概念とも等しいわけですから、このようにして「GNP」(あえて、「GNP」と書きます)を推計していたのだと思います。所得から推計するわけですから、この場合「国民」概念がメインになるのは自然な流れのような気がします。


一方で、68SNA以後のSNAでは、生産概念がすべての出発点に変わっています。これは、産業連関表、コモディティー・フロー法等の開発というものが大きいのだと思います。そして、このすべての出発点が生産になっている、というのが現在は「GDP」がメインとなっていることにつながるのではないかと思います。

※現在、私は担当部局を出てしまっており、当時の経緯を十分に調べることも不可能なので、憶測が入ってしまい申し訳ありません。当時の経緯をご存じの方など、逆にご教示いただけますと幸いです。


まだまだ続きます。。。

2013年6月26日 (水)

貯蓄(2)

さて、ご質問のHPを拝見させていただきましたが、この流れに沿って少し考えて行きたいと思います。

国民総所得(GNIGross National Income)とは,国民(海外の国民も含める)全体の所得の合計を表したものです。

GNIGDP+(海外からの純所得)

GNI 68SNA まで使用されていた GNP の概念を再定義したものであるので,GNP=GNI が成立します。

この部分、その通りなのですが、少しご説明の内容があっさりしすぎているような気がします。GNPとGDPの関係については、以前、


http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-fa25.html


でも書いたことがあるのですが、私の理解では、

●生産概念は、あくまで国内概念(一国の領土内ということ)でしか直接とらえることができないものであり、したがって、生産活動を示す指標であるGDPは、やはり『国内概念』であることが適切なのだろう。

●一方で、生産された付加価値(GDP)について、誰に配分されているかという点で見ると、海外との所得の支払、受取を通じて「国民」概念に調整することはでき、93SNAにおいて、GNIとして整理されたのは適切な整理なのだろう。


ということになります。


ですので、GNPに馴染みがある方には違和感があるかもしれませんが、私個人としては「GNP」という言葉を前面に出すのは違和感があります。(前述の通り、本当に「国民概念」での生産なんてとらえることができるのか?という疑問があるためです。)


長くなりそうですので、次回に続きます。。。

2013年6月25日 (火)

貯蓄

しばらく見ておりませんで、ご質問をいただいていたことに気づきませんでした。申し訳ございません。

いただいたご質問は、

はじめまして。

「家計最終消費支出」 と、「個人可処分所得」 の関係について教えてください。

下記ページの下の方に、「個人可処分所得」 についての説明があります。

http://keizai.okomeda.net/lec/macro/sna03.html

esri太郎さんのこちらの記事には、

> そして、『可処分所得-最終消費支出』で定義される「貯蓄」が最後のバランス項目として出てきます。

とあります。

ということは、「個人可処分所得」 から 「家計最終消費支出」 を引いたものも、同様に貯蓄の類になるのでしょうか?


いただいたご質問で触れられていたHPを拝見させていただきました。その中に書いている国民所得統計という言葉から想像するに、ずいぶん昔からの経緯が込み入った話のように思います。私もその当時の経緯は余り分からなくて、まずは調べながら考えてみようと思います。

まず、私自身、個人所得(PI)というものは、J-SNAでも、現行の93SNA、最新の2008SNAでも出てきたのを見たことがないので、ひょっとしたら昔の「国民所得統計」のころの概念なのかなと想像します。Private Incomeで検索すると、アメリカのNIPAsnational income and product accounts)が出てきまして、やっぱり昔の国民所得統計に近いのかなと思ってしまいました(笑)


また、国民経済計算部の用語解説にも「国民所得勘定」という項目があるのですが、恥ずかしながら申し上げると、実は、私はこの内容を理解しておらず、また、前述のとおりSNAマニュアル等でこの用語を見たことが無いのです(笑)

(アメリカの場合は、正式にはNIPAsと言って、名前からもお分かりいただけますとおり、「所得勘定」がかなり重視されている印象があり、実はNational Accountsをそのままというわけではないのです。もちろん、ほとんど整合性は取れているのですが、微妙に違うところがあり、たまに戸惑うこともあります(笑))


少し長くなりそうですので、続きは次回以降に。

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