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2013年2月15日 (金)

政府最終消費支出(5)

長々と書いてきましたが、さて、はじめに戻りましょう。問題は「政府最終消費支出」を「行政サービスのコスト」と見てしまって良いかという点でした。

ここまで長々とご覧いただいた方は、「政府サービス生産のコスト」なんだから、むしろ「政府サービスの生産額」をそのまま使ったほうが良いのではないか?という突っ込みを期待していたとしたら残念(笑)ですが、私の突っ込みはそこではありません。というのは、「政府サービス」の生産コストから、授業料等で受け取っている対価を引くというのは、「まあ、かかったコストの一部は自ら賄っているんだから、引くというのは考えとしては有り得るよね!」って私は思います。

問題はそこでは無くて、一つ目の突っ込みは「政府サービス」の生産コストとして入っている「固定資本減耗」ってモノが入って良いのか?というところです。固定資本減耗とは、減価償却費のようなものと考えていただければ分かりやすいと思いますが、「過去の固定資本形成を現在使ったものとしてみなす分」です。これを入れてしまって、本当に「『現在の』行政サービスのコスト」って言ってしまって良いでしょうか???

特に、これって近いうちに達成するべき目標として使うわけで、それが「過去の政府の固定資本形成の額」によって決まってしまって良いのかという疑問があります。そもそも、「現在の政府の固定資本形成の額」は別途加えられていますよね。ということは、二重計上では???という突っ込みすらできてしまいます(笑)。

というわけで、この表は各国比較なので、全部の国に同じ処理をすれば、恐らく結果は大して変わらないと思われますので(笑)、本当に議論の本質には関係ないのですが、統計の観点からは思わず突っ込みを入れてしまいました(笑)

さらに、もうひとつ突っ込みがあります。それはは、「政府最終消費支出」だと、「年金」とか「生活保護」などのお金の給付(「現物社会移転以外の社会給付」)や、少し前にあった「エコカー補助金」のような移転費用って、全く含まれていないのですよね。これって入れないで良いのかなという面もあります。

ただ、この現金給付や移転費用とかは、「政府サービスのコスト」というよりは、ただ単にお金が流れているだけ、という感じもしますし(特に、「年金」などの場合は、「年金保険料」から「年金給付」にまわしているだけですし)、移転費用などをどこまで入れるか考えてもややこしくなるだけなので、入れないという考え方はあると思います。ただ、それなら、同じように保険料で賄っている部分がたくさんあり、実際には代金を払っているだけの医療や介護の現物給付も入れてしまって良いのか?という疑問は出てきます。

そう考えると、私はこの「政府サービスのコスト」として使うとしたら、

①政府最終消費支出から、固定資本減耗を除き、また、現物社会給付等も除いてします。

 (これはすなわち、「純粋に政府サービス」にかかるコストを評価し、移転経費などのただ単にお金を配るというものは含めないという考え方。)

②政府のすべての支出額を計算し、そこから固定資本減耗を除く。

のいずれかなのかな、という気がしています。

ちなみに、②の考え方は、IMFが主導して各国整備を進めさせている「政府財政統計(government fiscal statisticsGFS)」の考え方で、そちらの統計を見ると、この「政府のすべての支出額」取ることができます。

なお、日本の「国民経済計算」でも、あくまで「GFSの区分」にそろえて表を公表しています(付表6-2))。そして、その額を見ると、2011年度で、政府最終消費支出は「967740億円」、②の政府の支出は「2662533億円」と結構な差があります。

というわけで、完全な「本質とは外れた」突っ込みですが、SNAの考え方が分かりやすい例と思って、突っ込んでみました。

(注)この日本の国民経済計算の中のGFS区分に揃えたという表も、厳密なGFSではなく、SNAならではの帰属計算や固定資本減耗が含まれており、IMFが求める「実際に政府が支出している額はいくらなんだよ!」というものとは微妙に違いますので、ご注意を。これはあくまで、SNAであって、それを組み替えただけですので。。。

 

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コメント

いつも勉強させていただいております。今回のシリーズも大変興味深く拝見させていただきましたが、SNAの概念の整理として少し確認させていただくコメントします。

「現物社会給付等」と「現物社会移転」の区別が良く分かっていないのですが、もし両者をイコールと考えて良いならば、政府最終消費支出から現物社会給付等を除く、ということは、現物社会移転=個別消費支出ですので、即ち現実最終消費(現実集合消費)を対象にする、というお考えだと捉えて宜しいのでしょうか? そうしますと、
 現実最終消費=調整可処分所得(純)-貯蓄(純)
の関係にありますので、そこからさらに固定資本減耗を除くということは、貯蓄(総)=貯蓄(純)+固定資本減耗ですから、計算上は「調整可処分所得(純)-貯蓄(総)」に相当する、という認識で宜しいのでしょうか?

また、政府最終消費には生産・輸入品に課される税も含まれていますが、税は結局のところ政府の収入なので、それもコストからは除外するという考え方もあるように思われますが、その点はいかがでしょうか?

以上、突然の不躾な質問で恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。

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