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2013年2月20日 (水)

「現物社会給付等」と「現物社会移転」(2)

「現物給付」と、「個別的非市場財・サービスの移転」の区別についてです。再び、内閣府HPを引用させていただくと、

現物社会給付(Social Benefits in Kind

 93SNAにおいては、一般政府から家計への医療保険給付分及び介護保険給付分は現物社会移転の一項目である「現物社会給付」として記録している。また、現物社会給付は、社会保障基金が家計に対して払い戻しを行う形での「払い戻しによる社会保障給付」と、関連するサービスを直接受給者(家計)に支給する形での「その他の現物社会保障給付」に細分化して記録している。

個別的非市場財・サービスの移転(Transfers of Individual Non-market Goods and Services

 「個別的非市場財・サービスの移転」は、「現物社会給付」とともに「現物社会移転」を構成する項目であり、家計に対して、無料または経済的に意味のない価格で、一般政府または対家計民間非営利団体といった非市場生産者が行う財・サービスの提供をいう。具体的には、一般政府から家計に移転される(一般政府から家計向けサービスの費用として支出される)、児童保護費等負担金(公立保育園分)や、対家計民間非営利団体から家計に移転される(対家計民間非営利団体が、サービスの費用の一部もしくは全額を家計に負担させず、補助金や寄付金などの収入により賄って行うサービス)私立保育園の経営費、美術館や動物園の運営費などが含まれる。 なお、この移転のうち、一般政府から家計への移転額は一般政府の個別消費支出に計上される。また対家計民間非営利団体から家計への移転額は、対家計民間非営利団体最終消費支出に等しい。

とこれは分かりにくいですね(笑)ですので、93SNAマニュアルにおけるこの両者の違いを大雑把に書いてしまうと、

 現物社会給付:政府が、他の民間セクターから(より正確にいうと「市場財」)を購入し、それをそのまま家計に(ただで)あげるもの。

 個別的非市場財・サービスの移転:政府が、自ら(より正確にいうと「非市場財」)を生産し、それを家計にあげるもの。

ということになります。「政府が自ら生産したものか」、「政府が他の市場財・サービス生産セクターから購入したものか」ということが最大の違いです。

(注)なお、08SNAマニュアルでは、ここの部分が少し変わっています。政府が他のセクターから購入した財・サービスを移転する場合でも、「個別的非市場財・サービスの移転」に入る可能性があるのです。実は、「等」についても、この話に関係してきます。

  前述のとおり、政府が、自ら生産したものでなく、他のセクターが生産したものを購入し、それをただで再配分する場合は、93SNAマニュアルではそれはすべて「現物社会給付」に入るとされています。

  一方で、93SNAマニュアルでは、「社会保障給付」のうち、社会保障基金が給付するものでないものを「社会扶助給付」というのですが、これは「基本的に社会保障」関係のもののみとされています。

  この場合、「じゃ、社会保障基金じゃない政府が他の民間セクターから『社会保障関係でない財・サービス』を購入して、それをそのまま家計にあげていた場合はどうなるんだよ?」という疑問が出てきます。それがJ-SNAでは「等」として現れているわけでして、この扱いについては、いろいろな観点から整理するべき論点があるのですが、マニアックなのでここでは省略します。

  なお、08SNAマニュアルでは、この矛盾が少し解消した記述になっており、政府が他のセクターから購入した財・サービスを移転する場合でも、「個別的非市場財・サービスの移転」に入る可能性があるのです。ただ、そうはいっても、まだ細かい部分でいろいろと難しい部分があり、最終的にどのように計上するのがbestかという点で、依然として論点が残っていることは事実なのです。

  というわけで、完全な蛇足でした。参考までに、マニュアルの関係部分を以下に記しておきます。

93SNAマニュアル

9.79. 政府単位および対家計非営利団体は、また、市場生産者が生産する消費財・サービスであり、かつ直接家計に対して提供されるものを購入する。政府単位または対家計非営利団体の役割は、その財貨またはサービスの支払いを行なうこと、およびそれが現物社会移転として家計に対して分配されることを保証することに限定される。政府単位または対家計非営利団体は、そのような財貨・サービスのそれ以上の加工には関係しない。また、その支出は、中間消費ではなく最終的なものとして取り扱われる。また、この方法で分配された財貨またはサービスの価額は、現物社会扶助給付を含めて現物社会給付として記録される。

8.83. 社会扶助給付は、社会保険制度によって普通は対象範囲とはされない事象または状況に応じて支払われる経常移転を含まない。したがって、社会扶助給付は干ばつ、洪水または地震のような自然災害に応じてなされる現金または現物による移転は対象としない。そのような移転は別にその他の経常移転として記録される。

長くなりましたので、続きは次回に。

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