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2012年4月 7日 (土)

GDPとGNI(4)

交易利得について続きです。

以前も引用しましたが、93SNAの以下の記述をみると、興味深い(というか、よく考えると当然の)事実がわかってきます。

16.149. 実質所得を解釈する際には、次の2つの点を銘記する必要がある。

a)実質所得は、ある選ばれた参照年次の価格水準と関連付けることによって測定される。実質値は独立しては存在しえない。それらは参照年次の選択に応じて変化する。

b)実質所得はある選ばれたニュメレールに対する購買力の変化を測定する。かくして、それはニュメレールの選択にも依存する。

a)に書いてあることは、実質所得(したがって交易利得も)ある基準年と比較してどうなったかということを示しているだけのものです、と書いてあるわけです。ということは、交易利得の実額には(すなわちプラス、マイナスも)まったく意味がないわけです(笑)

以前、某大手証券会社のエコノミストの方が、「交易損失の額が○兆円に達しており、これはGDPの○%分の所得が失われている」と書いていましたが、これなど典型的な誤解ですよね(笑)

交易利得の実額をみて、「マイナスだ」と言ってどうするんだと・・・

繰り返しますが、「交易利得は、ある基準時点と比較しての大小関係を見ないと意味がない」というものですので、実額を見ることに意味はありません。

ただし、ある基準時点との比較に意味があるということは、実質で見たGDPGNIの伸び率には影響しますので、そういった見方が必要となるわけです。一応ご注意を。。。

と本題に戻りますが、前回は交易利得の定義まで書いたのですが、一点重要な論点が抜け落ちています。それは

○では、Iについての「純輸出」の実質化のためのデフレーターはどうしたらいいんだろうか?(すなわち、ニュメレールの選択はどうしたらいいんだろうか・・・)

ということでして、93SNAの記述のスタートである「明確なあるいは議論の余地のないニュメレールの選択方法がないことが多いので」というところに戻ってきてしまっているわけです(笑)

ただ、93SNAは、この点でも主に3つの選択肢を示しており、各国はその中から各国事情に合わせてニュメレール・デフレーターを選択することになっています。

93SNAが推奨する選択肢は以下の3つでして、

①貿易収支が負である場合は輸入デフレーター、逆である場合は輸出デフレーターを 採用

②輸出デフレーターと輸入デフレーターの加重平均を採用

③輸出入とは関係しない内需デフレーターを採用

となります。我が国は②を採用しています。

この部分、マニュアルでも決められていませんし、そもそも価値判断があるので難しい論点があるのは理解しております。そして、いろいろな議論の末、我が国のニュメレール・デフレーターとして②を採用しているのでしょうが、私の意見としては、ニュメレール・デフレーターは③とするほうが、その本質にあっているのではないかと思います。

というのは、あくまで所得(I)の実質化なのですし、日本の場合は、得た所得の支出先って、ほとんど国内生産物についてですよね?(大分輸入品も増えてきていますが。)

となると、やっぱり、内需デフレーターを使うことがbetterなのではないかと思うのですが。。。

と、話がずれにずれまくったので、次回質問に戻ってこの記事を終わりにしようと思います。

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