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2012年4月 1日 (日)

GDPとGNI(2)

今回改めて勘定表を眺めると名目値にはNGDPは支出アプローチ&生産アプローチがたっており両者間が統計上の不突合となっていますね。

一方実質値は付表の2に生産アプの実質値(というか指数ですが)があり、これを使ってPGDP(生産アプ)の伸び率が計算できます。

この両者、RGDP(支出アプ)とRGDP(生産アプ)の比較ですが、両者の開差と交易条件(伸び率にして交易利得/損失のほうが良いかもしれません)の間には一定の(理論的な)関係が導けるのではないでしょうか?

この点については少し誤解があるような気がします。というのは、支出側アプローチは、

GDP(支出側)= 最終消費支出 + 総資本形成 +輸出 - 輸入

の個別の項目で実質化しており、

GDP(生産側)= 生産 - 中間投入

でもって実質化しているだけだからです。両者の開差に交易利得/損失の関連性があるということになると、何かしら輸出や輸入のデフレーターの動きが、GDP(生産側)の動きとあっていないということになりますが、それは少なくとも『理論上は』あり得ないのではないかと思います。

というのは、

生産(=産出額(output))+ 輸入- 輸出

= 国内総供給

= 最終消費支出+ 総資本形成+ 中間消費(=中間投入)

ですから、

生産 - 中間消費(=中間投入)= 最終消費支出+ 総資本形成+ 輸出- 輸入

となり、これが正しくGDP(生産側)とGDP(支出側)が一致するという理由になります。

さて、これを実質化することを考えると、

名目GDP(生産側) = 生産Q×P - 中間投入Q×P

名目GDP(支出側) = 最終消費支出Q×P + 総資本形成Q×P

 + 輸出Q×P - 輸入Q×P

となりますので、それぞれの項目のPを取ってあげたものが実質値となります。

が、特に輸入がわかりにくいようなので、そこを特出しして考えてみましょう。

名目GDP(生産側) = 生産Q×P - 国内生産物の中間投入Q×P

 - 輸入生産物の中間投入Q×P

というのはわかりやすいと思います。ここで、支出側を出す前に、国際総供給から考えてみましょう。

生産+ 輸入- 輸出 = 国内総供給

= 最終消費支出+ 総資本形成+ 中間消費(=中間投入)

  = 国内生産物に対する最終消費支出 + 輸入生産物に対する最終消費支出

   +国内生産物に対する総資本形成 + 輸入生産物に対する総資本形成

   +国内生産物に対する中間消費(の中間投入) + 輸入生産物に対する中間消費(の中間投入)

ということになります。そうすると、

名目GDP(支出側) = 国内生産物に対する最終消費支出Q×P

 + 輸入生産物に対する最終消費支出Q×P

            + 国内生産物に対する総資本形成Q×P

+ 輸入生産物に対する総資本形成Q×P

+ 輸出Q×P - 輸入Q×P

です。ここで、輸入については、最終消費支出に対するもの、総資本形成に対するもの、中間投入に対するものに分けることができますから、

名目GDP(支出側) = 国内生産物に対する最終消費支出Q×P

           + 輸入生産物に対する最終消費支出Q×P

            + 国内生産物に対する総資本形成Q×P

+ 輸入生産物に対する総資本形成Q×P

+ 輸出Q×P

- 輸入生産物に対する最終消費支出Q×P

- 輸入生産物に対する総資本形成Q×P

- 輸入生産物の中間投入Q×P

          = 国内生産物に対する最終消費支出Q×P

           + 国内生産物に対する総資本形成Q×P

+ 輸出Q×P

- 輸入生産物の中間投入Q×P

となります。これを生産側GDPと比較してみると、

名目GDP(生産側) = 生産Q×P - 国内生産物の中間投入Q×P

           - 輸入生産物の中間投入Q×P

です。ここで、生産から中間投入を引いたものは、最終需要(すなわち、最終消費支出と総資本形成と輸出)に等しいわけで、この両者って同じことを言っているにすぎません。

念のため実質を見ると、

実質GDP(生産側) = 生産Q - 国内生産物の中間投入Q

 - 輸入生産物の中間投入Q

実質GDP(支出側) = 国内生産物に対する最終消費支出Q

           + 国内生産物に対する総資本形成Q

+ 輸出Q

- 輸入生産物の中間投入Q

と、どちらも変わらないことがよくわかります。交易利得に入る前に、この「名目だろうが実質だろうが、GDP(生産側)とGDP(支出側)は等しい」ということを理解していただけると話が分かりやすいと思いますので、長々と書いてしまいました。

というわけでまた次回に続きます。

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