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2012年3月

2012年3月31日 (土)

GDPとGNI

最近、ちょくちょくGNIについて質問を受けることがあるのですが、今回もその点についての質問ネタです。

まずは、いただいた質問(というか意見)から。

ブログを拝見しました。大変力作で面白く読ませて頂きました。

さて貴ブログを見つけたのは、赤羽景気探偵が最近のESP(電子版)で交易条件と成長率を絡めて記事を書いておられたのに触発されウーンとうなったからです。

小生も従来からRGDPの伸び率とRGNIの伸び率がかなり異なることは気になっており、成長率⇒RGDPと言わずにRGNIも見なくては経済の実相はわからないと考えていました。

今回改めて勘定表を眺めると名目値にはNGDPは支出アプローチ&生産アプローチがたっており両者間が統計上の不突合となっていますね。

一方実質値は付表の2に生産アプの実質値(というか指数ですが)があり、これを使ってPGDP(生産アプ)の伸び率が計算できます。

この両者、RGDP(支出アプ)とRGDP(生産アプ)の比較ですが、両者の開差と交易条件(伸び率にして交易利得/損失のほうが良いかもしれません)の間には一定の(理論的な)関係が導けるのではないでしょうか?

公式の値は支出アプの名目値及び支出側からデフレートした実質値になるのというのは精度の関係やSNAガイドライン(多分)を考えると当然の措置かと思います。しかし「実質付加価値」ということを考えると生産アプのほうがストン(なんといって良いか難しいのですが)と理解が進むような気がします。そうするとますます生産アプによるRGDPによって経済の実相を見るほうが良いのではなかろうかと思う次第です(コチラは多分交易利得/損失調整後のRGDPの動きに近いのでは?。

もっともQEの資料にも計算部はRGNIも交易利得も丁寧に掲載されているので、ひとえに使うほうが勝手にRGDPのみに注目するのが「悪い」のですが・・。

いろいろと貴重なご意見をいただいており、大変勉強になります。では、解説というか、コメントを順番に。。。

小生も従来からRGDPの伸び率とRGNIの伸び率がかなり異なることは気になっており、成長率⇒RGDPと言わずにRGNIも見なくては経済の実相はわからないと考えていました。

ご指摘の通りだと思います。GDPGNIの差は、海外からの所得の受取と支払が絡んでくるのですが、意外にこれが知られていません。

海外からの所得とは、例えば雇用者報酬や利子・配当などなのですが、なんでこれが含まれるのか意外に知られていないような気がします。海外からの所得の定義をおおざっぱに言ってしまうと、「労働力・金融資源・天然資源を海外の生産活動に使用させたことの対価として得られる所得」と言えると思います。

ですから、雇用者報酬(労働力)、利子・配当(金融資源)、賃貸料(天然資源)の海外とのやり取りが入ってくるわけです。

そして、

GNI = GDP + 海外からの純所得の受取

(=海外からの所得の受取-海外への所得の支払)

という構図です。ですので、海外への投資や出稼ぎ労働者が多いと、GDPよりGNIが大きくなってくるわけです。

という前置きはこれくらいにしておいて、公表資料で2010年からの名実のGDPGNIの伸び率を掲げてみようと思います。いずれも季節調整済前期比です。まず名目ですが、

GNI    GDP  差

2010

1-3  1.6   1.3  0.3

4-6  0.4   0.7 ▲0.3

7-9  0.4  ▲0.0  0.4

10-12 0.7 ▲0.7 ▲0.0

2011

1-3 ▲1.8  ▲2.1  0.3

4-6 ▲1.0  ▲1.2  0.2

7-9  1.3    1.4 ▲0.1

10-12 0.5  0.5 ▲0.0

続いて実質については、さらに「交易利得」が入ってきます。「交易利得」は、追って詳しく書いてみますが、今のところは、「交易条件の変化に伴う購買力の変化をとらえるもの」とでも思っておいてください。つまり、原油などの輸入材の価格が上がるとマイナスに寄与し、逆に下がるとプラスに寄与するものということです。

これを前提として実質についても見てみます。

GNI    GDP  

2010

1-3 1.3   1.5 ▲0.2

4-6 0.8   1.3 ▲0.5

7-9 0.9   0.6  0.3

10-12 0.3 ▲0.2 0.1

2011

1-3 ▲2.2 ▲1.8 ▲0.4

4-6 ▲0.4 ▲0.3  0.1

7-9 1.3   1.7 ▲0.4

10-12 0.2 ▲0.2 0.0

という感じです。

以上名実を見てみると、名目では概ね0.3程度で、GDIの方がやや高めに推移しているような傾向がありそうです。一方で、実質でみると、よりブレが大きく、名目と実質で符号が逆になってしまっているようなこともあります。

名目と実質の差は交易利得ですから、実質を見るというときは、交易利得の動きが大きく影響しているということになるのだと思います。

交易利得は、輸出品目と輸入品目の価格変化の影響を反映するものですが、日本の場合は、結局、原油価格の動きが一番効いてくるような気がします。念のため、こちらのブログ

http://ecodb.net/pcp/imf_usd_poilwti.html

からいただきましたWTIの推移を四半期平均して前期比で出してみますと、

2010/1-3 3.34

4-6   ▲0.98

7-9   ▲2.38

10-12  11.97

2011/1-3 10.38

4-6   9.14

7-9  ▲12.49

10-12  4.81

となっていまして、原油価格が上がっている、201010-12月くらいからは、GNIGDPの差について、実質の方がマイナス幅が大きくなっています。7-9月期は、原油価格の動きをみると逆に動きそうですが、この期は、震災の影響の反動で輸出が増えており、価格下落の激しい電子通信機械などの輸出が増えていますから、そちら(すなわち輸出デフレーターの下落)の影響で、同じく実質の方がマイナス幅が大きくなっていますね。

そう考えると、実は日本の交易利得は原油価格だけでなく、電子通信機器(パソコンとかテレビ)の輸出の影響も大きいのですね。ただ、この部分は、何となく日本のデフレーターの作り方に問題があるような気が(笑)

さて、本題に戻るとして、交易利得は傾向でみると、常に名目より実質の方がマイナス幅が大きくなっているということは、日本国内から輸出する製品は傾向的にデフレで、輸入する原油は大きく見ると上がっているということなんでしょうね。

その意味で、ご指摘の通り、「RGNIも見なくては経済の実相はわからない」というのはその通りだと思います。すなわち、我が国の生産活動の活性化という意味ではなく、我が国の所得は、実質化するとより伸び率が低くなっているということなのだと思います。

長くなってきたので、続きは次回に。

2012年3月26日 (月)

アクティビティー(3)

前回の続きです。

制度部門と活動別分類の話について、93SNAそして08SNAの議論でも、不十分だと思う部分があると思うわけです。具体的には、先ほど出した例は、政府(つまり非市場生産がメイン)が、一部ホテルサービスという市場生産を行っているという例を出したのですが、逆の場合はどうなるかということが想定されていないのです。つまり、公的企業が一部だけ非市場生産をしている場合、どのように計上するかというのがわからないのです。

非市場生産は、自己消費する必要があります。が、自己消費できる制度部門は、一般政府と対家計民間非営利団体だけなのです。そう考えると、その非市場生産部分については、無理やり「一般政府」又は「対家計民間非営利団体」に制度部門でも格付けするか、その生産財は少ないだろうから「市場財である」と整理するかのいずれしかなくなるのですが、マニュアルでこの部分が明確に書いてあるのを、寡聞にして知りません。

というわけで、マニアックな論点を長々と書いてしまいましたが、こういった計上方法の根本の部分について、日本においてももっと理解が深まればよいのに、と思う次第です。

2012年3月25日 (日)

アクティビティー(2)

さて、前回は、部門分類と活動別の話をしましたが、これまでの話でよくお分かりいただけると思うのですが、当然のことながら、制度部門とアクティビティーは一対一で対応するとは限りません。つまり、ユニクロの販売部門、生産部門は、アクティビティーでは別に分割させるのですが、制度部門(正確には制度部門に含まれる制度単位)で見たら単一の単位です。

そして、公的格付けというのは前述のとおり制度部門です。というのは、最低限「B/Sを含む完結した勘定が作れる」という状況にないと、市場性の評価を下すことも難しいですし、ユニクロという会社を見ないと、政府に支配されているかどうかなどわかりません。。。

そう考えると、制度部門でみた、「民間と公的と政府」というものと、アクティビティーはそれぞれ入り組んだ関係になってきて、例えば、制度部門で民間に含まれるものが、アクティビティーでみて、農林水産業をやっていたり、建設業をやっていたりという形になります。

ここで少し話が脱線するのですが、閣議決定されている「公的統計の整備に関する基本的な計画」というものがあり、その中で、J-SNAJ-IOについて

○公的部門の分類について、総務省を始め関係府省等の協力を得て、93SNAの改定で示された判断基準に即して格付けを見直すとともに、統一化を図る。

と書かれているのですが、この文章は意外に深い意味なのではないかという気になってきます。どういうことかというと、格付けはあくまで制度部門でしかできませんから、『SNAは制度部門で格付けを見直しなさい』、そして、『その制度部門と整合が取れるように、アクティビティー単位に切り分けて、IOに反映しなさい』というようにも読めるわけです。

(もしここまで考えて、(そして、J-SNAJ-IOの担当者がここまで理解して)当該文章を書いていたとしたら素晴らしいのですが、必ずしも現状はそうではないように見えます。。。(笑))

さて、話を戻して、制度部門と活動別が入り組むことが前提とされている体系であるとして、その場合はいろいろな話が出てきます。

たとえば、「政府部門に分類されているけど、非市場財・サービス(防衛、治安維持など)の生産とともに、一部ホテル事業を行っている」というような組織があった場合は、制度部門では「一般政府」に含まれるものの、アクティビティーで見たときには、非市場生産である「政府サービス生産者」とホテル事業については「サービス業」に分類されるわけです。これ自体は非常に単純な話だと思います。

が、今のJ-SNAでは、政府部門、非営利部門の非市場生産がある部分については、この入り組んだ対応関係を認めておらず、すべて一対一となると仮定してしまっています。これは、推計担当者の立場からしても非常に困ったことなのですが、それは前述の議論を見る限り、どう考えてもおかしな話ですよね。

さらに、93SNAマニュアルを見ると、生産活動については、この「制度部門」と「アクティビティー」のクロス」での勘定を作ることが望ましいと書かれていまして、やっぱり、両者が入り組んでくることを前提としているようにしか思えません。

一足とびに、このクロス表を作れというのは難しいにしても、SNA及びIOという体系が、このような考えのもとに作られているんだ、ということ自体が(推計担当者自身にも)理解されていないように思います。J-SNAJ-IOは、なんだか、93SNA導入の時に完全に国際潮流から取り残されているような気がします。

とはいえ、93SNAマニュアルが完ぺきというわけでもなく、いろいろ疑問もあるのですが、それについてはまた次回に。

2012年3月22日 (木)

アクティビティー

SNAでは、民間と公的(政府)などに格付けをしているのですが、その単位は「制度部門」です。ですので、「制度部門分類」という言い方をするのですが、その「制度部門」とは何かというと、「それ自身の権利により、資産を所有し負債を負い、経済活動の従事し、他の主体との取引にかかわることができる経済主体」をグループ分けしたものでして、よく見る「非金融法人企業部門」、「金融機関部門」、「一般政府部門」などの分け方のことです。

誤解を恐れずにおおざっぱに言ってしまうと、この前者の「経済主体」という単位は最低限「B/Sを含む完結した勘定が作れる」ということが条件でして、基本的に会計や勘定単位ということになります。(ですので、会社組織でみると、会計単位という感じでしょうか。。。)

ところが、SNAは、生産から分配、消費、そして資本蓄積までの、一国の経済活動を総合的にとらえようとする勘定ですから、この制度単位という切り口ではうまく表現できない場合があります。というか、スタートの生産の部分がうまく表現できません。

どういうことかというと、単一の企業、特に大企業では、会計は一つでも、多種の異質な生産活動を同時に行っています。たとえば、具体名を挙げてしまうと、ユニクロは衣料品を生産、販売していますが、海外で衣料品を生産するという活動、お店で販売するという活動など多種多様な活動を行っています。

となると、これを会計単位でみて、「ユニクロ」としてくくってしまうと、衣料品生産という側面や販売という側面まで混じってしまい、非常にわかりにくい構造となってしまいます。生産活動を分析するためにも、この分け方だけでは不十分でしょう。

そこで、SNAでは生産については、別の分類も用いることを提言しており、具体的には生産活動の類型ごとに分類することとしています。これが「活動別分類」いわゆるアクティビティーの話です。このアクティビティーごとの分け方が、いわゆる「製造業」とか「卸売・小売業」とか「サービス業」などの分類です。

そして、93SNAでは、生産の計上については、制度部門とアクティビティーの両方で表章することを提言しているのです。

こういったことを見るにつけ、システムとしては「本当によくできたシステムだなぁ~」と思うのです。

長くなりそうなので、続きは次回に。

2012年3月18日 (日)

連鎖

ずいぶん前に質問をいくつかいただいていました。

今回はその関係をいくつか。

たまにですが、2006年を100とした物価水準を計算する国があり、国際比較をするうえで、困ることがあります。この場合、たとえば、変化率を算出し、2005年を100としたうえで、掛け合わせるという対応で問題ないのでしょうか。また、4Qベースであると、100となるタイミングがないのですが、どのように計算しているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

これについては、連鎖であれば、ご指摘の通り水準調整だけで大丈夫です。

よく誤解されるのですが、「連鎖の場合、『常に基準年が前年となる』ものですから、基準年は存在しない」と思われているようなところがあります。これは、一面正しくもあり、一面ちょっと誤解もあり、という感じです。

というのは、「品目のウェートの基準」という意味での「基準年」は、確かに毎年変わるのですが、名目=実質(すなわちデフレーター=100)となる年という意味での基準年(これを『参照年』といいます)は別途存在します。

現在は、平成17年(2005年)基準ですので、連鎖の『参照年』も2005年です。ですので、2005年がデフレーター=100となるように調整(または、2005年で名目値=実質値となるように実質値を水準調整し、名目値/実質値×100で計算)してあげれば、連鎖は比較できます。

※連鎖は、基本的に伸び率以外に意味がありません。ですから、逆に言えば、『参照年』を統一さえすれば、直接比較できることになります。

一方で、固定基準については、「品目のウェート基準」という意味での基準年が異なってしまうので、水準を動かしただけでの直接比較というのは、厳密な意味ではできないのですが、まあ、比較のためにはよくやってしまいますよね。。。(笑)

続いて、「Q4ベース」という部分ですが、第4四半期のデフレーターが100となっているということでしょうか?あまりそういうような例は知らないのですが。。。

日本の場合、第4四半期重複法と言って、第4四半期と翌年の第1四半期を接続するように計算していますが、あくまで基準は暦年ベースです。(オーストラリアやニュージーランドは予算年度ベースのようですが。)

さらに、第4四半期重複した後も、各四半期の合計値が暦年値と等しくなるように計算していますので、前述のとおり、『参照年』をそろえるだけで十分だと思います。

さらに質問をもらっていたようで。。。

税収の生産弾力性は内閣府のマクロモデルがわかりやすく示したものですよね。

できれば、このブログで解説してほしいです。

申し訳ないですが、私、そういうのを担当したことがないので、コメントのしようがなく。。。

お恥ずかしい限りです。

ただ、この税収弾力性の話って、結局どのようにモデルを組むかという話のような気がしますが。。。

直感的には、SNAでいう、「生産・輸入品に課される税」と「所得・富等に課される税」で説明するべき項目が異なってくるような気がします。(生産・輸入品に課される税は、消費税などの生産・消費に伴って支払われる税ですから、比較的安定しており、それこそ人口変動などと関連がありそうですし、所得・富等に課される税は所得税などの所得に課される税ですから、ブレが大きく、それこそ所得などと関係がありそうな気がしますよね。。。)

※なお、SNAの「生産・輸入品に課される税」、「所得・富等に課される税」には、企業からの納付金や強制的な手数料なども含まれていますので、ご注意を。

2012年3月15日 (木)

10-12月期2次QE(4)

続いて公需です。

公的固定資本形成は、▲2.5%から▲2.2%へと上方改定になりました。これは、建設総合統計の3か月目を反映したことの影響です。が、これくらいの幅だと寄与度では全く影響してきません。

そして、政府最終消費支出は、0.3%から0.4%へとわずかに上方改定になっていますが、これも端数処理の関係です。寄与度でみると0.1のままで変わっていません。わずかですが上方改定となったのは、やはりいつもの通り現物社会給付のデータが追加されたことが原因です。

これらを合わせて公需は、▲0.2%から▲0.1%とわずかな上方改定です。が、全体に与える影響はほとんどありません。

引き続き外需ですが、こっちは

輸出 ▲3.1% (1次▲3.1%

輸入   1.0% (1次  1.0%

と全く変わっていません。

最後にデフレーターを見ると、

前期比で

0.3% (1次▲0.2%

前年同期比で

1.8% (1次▲1.6%

という感じでいずれも下方改定ですが、これは前述のとおり、生動の3か月目を入れたことで、価格下落の激しいテレビの最終需要が増えていることが主な原因です。

というわけで、法季に尽きる感じの今回の2QEでした。

2012年3月11日 (日)

10-12月期2次QE(3)

引き続き民需です。

民間最終消費支出については、わずかに上方改定でした。といっても、端数処理の関係ですので、寄与度では出てきません。一応見てみると、0.3%から0.4%への改定ですが、寄与度ではいずれも0.2です。

ちなみに、名目でみるとほとんど変わっていません。これは何があったかというとデフレーターということになるのですが、3か月目の生動等を入れたことで、テレビなど価格下落の激しい品目が上方改定となり、価格が上昇しているガソリンや、価格が安定している自動車などが下方改定になりました。その結果デフレーターが下落してしまったという感じです。

形態別に見てみると、

 耐久財 ▲0.8% (1次 ▲1.9%

 半耐久財 ▲0.4% (1次 ▲0.2%

 非耐久財 0.7% (10.9%

 サービス 0.7% (10.6%

という感じです。耐久財の上方改定が目立ちます。これはテレビが原因です。非耐久財が下がっていますが、これはガソリンが原因です。

こういった内訳の改定はありましたが、民間最終消費支出トータルとしてはほとんど変わりませんでした。

民間住宅は、1QEの▲0.8%から▲0.7%へとわずかに上方改定となりました。

これらを総合して、民間需要は0.1%から0.5%へ上方改定となりました。

2012年3月10日 (土)

10-12月期2次QE(2)

はじめに、民需から見ていきましょう。

まずは、やっぱり民間企業設備投資から見ないといけないでしょうね。。。

こちらは、1QE1.9%から4.8%と3%近い上方改定です。これは、法人企業統計の設備投資が大幅なプラスでしたので、これを取り込んだ影響です。

4-6月期、7-9月期と1QEでプラスだったものが、法季が弱くて下方改定ということが続いていました。それも、どちらの期も法季を反映した結果符号が逆転してしまうという感じでした。

それが今回は一転して、法季が大幅増。。。

実際の法季の動きを見てみると、ソフトウェアを除いた全産業については、前年同期比では

201010-12月 4.8

20111-3月  3.4

4-6月    ▲8.2

7-9月    ▲11.0

10-12月    4.9

という感じです。1-3月期、4-6月期(といっても前半だけだと思いますが)は供給制約などの問題もあったでしょうから、設備投資が落ち込むのはよくわかりますが、7-9月期でさらに落ちて、10-12月期で急回復というのは、何となくよくわからない動きですね。ただ、企業に聞いた結果がそうだというのですから、実際に設備投資をしたのでしょうね。

新聞報道などを見ると、建設業や自動車製造業の設備投資やコンビニなどの出店などが増えているということでしたので、全般的な動きということなのでしょうか。(それにしても、7-9月期以降の設備投資がすべて10-12月に入ってしまっているような感じもしますね。)

一方で、供給側の統計については、生動と特サビの3か月目がはいるのですが、こちらはいずれも下方改定でした。が、いかんせん、法季の上方改定幅が大きすぎました。。。

前回までは、「生動と法季の動きが逆方向なのは困る」と書いていたのですが、今回は、「同じ方向でも、ここまで水準が違うと困る」という感じです。

続けて法季関係の在庫も書いてしまいましょう。

在庫については、珍しくARIMA予測が当たり、ほとんど変わりませんでした。こちらは、リーマンショック以後の予測精度の低さから大分改善してきたという印象です。

それ以外の民需についてはまた次回。

2012年3月 8日 (木)

10-12月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html

まず冒頭、今回は久々『やられた!』という感じのQEとなってしまいました。私の言い訳めいたことを聞かされても、誰もうれしくないと思いますが、31日の8:50分にHPで法季の設備投資の数字を見た瞬間に、頭の中が真っ白になったくらいです。。。

言い訳については追々書かせていただきますが、今回のQEで、1012月期の実質季節調整済前期比は▲0.2%で、1次QEから上方改定となりました。1次QEは▲0.6%でしたから、0.4%の上方改定です。

上方改定要因は、皆さんご存知の通り民間企業設備でして、これだけでほぼすべての改定をはじき出しています。幸か不幸か、今回は他の項目はほとんど変わらなかったので、この民間設備投資の改定がすべてGDPの動きに影響する形となっています。

1QEでも▲0.6%と比較的低かったので、上方改定といっても▲0.2%と符号が変わらなかったことが救いでしょうか。。。

内外需の寄与度でみても、内需0.5%、外需▲0.6%1次の内需0.1、外需▲0.6)ということで、いずれも符号は変わっていません。が、1次と比べてずいぶん内需が好調だったという印象になっています。完全に、「外需要因でのマイナス」という感じになっていますね。。。

内需が上方改定した要因は、完全に民間企業設備で、これは法季の反映がほぼすべてです。一方で、供給側の3か月目については、生動や特サビなどが反映されて改定されるのですが、こちらは下方改定に効いてくれました。特に外付けのソフトが下がってくれたのは不幸中の幸いでしょうか。

愚痴ばかりになってしまっても仕方ないので、一応最後に全ての項目の改定状況を見ますと

GDP ▲0.2% (1次 ▲0.6%)

民間最終消費支出 0.4% (1次 0.3%)

民間住宅 ▲0.7% (1次 ▲0.8%)

民間企業設備 4.8% (1次 1.9%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.3) (1次 (0.3)

政府最終消費支出 0.4% (1次 0.3%)

公的固定資本形成 ▲2.2% (1次 ▲2.5%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 ▲3.1% (1次 ▲3.1%)

輸入   1.0% (1次   1.0%)

という形になりました。

なお、他の項目も、上方改定になっているように見えるものもあるのですが、これはいずれも端数処理の関係で切り替わってしまったとかもともとウェートも小さいものばかりなので、全体にはほとんど影響はありません。ですから、今回は完全に『設備投資だけ』といっても過言でない感じでした。

個別項目の詳細については次回以降に。

2012年3月 7日 (水)

財政部分(4)~補足②:スペインについて~

以前、PIGS諸国を見た時に、

ただ、スペインについては、2008年以降の税収の減が気になります。この年を気に、税収が数%少なくなり、一方で、支出が徐々に増えています。といっても、20082009年はリーマンショックの影響かもしれませんから、気になるのは税収の落ち込みでしょうか。

(この年、スペインは選挙があったようで、政権は変わらないものの、連立内閣となることを余儀なく慣れているようなので、減税でもしたのでしょうか?誰か教えていただけると助かります。。。)

とかきましたところ、ご教示いただいた方がおりまして、どうも、20082009年と、スペインは結構な減税をしているようなのです。2008年は所得税と法人税を減税しており、2009年は相続税の免除と、付加価値税の還付を前倒して行っているようです。

これも景気対策の一環なのだと思いますが、景気対策として、政府支出でばら撒く国と、減税で行う国と非常にバラエティーに富んでいますね。

そして、スペインは、元々政府支出が多い国方の国ではなかったのですが、そういう国の方が減税に向かうというのは非常に面白い傾向ですね。

さらに気になる点は、「付加価値税の還付」が税収減に入っているということだと、スペインでは税収は、「税収-還付金」で計算しているんでしょうか?非常に気になります。

というわけで、財政の国際比較についての補足でした。

※ スペインの情報をご教示いただきました、N研究員にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

2012年3月 4日 (日)

財政部分(3)~補足~

前回、各国比較をやったのですが日本は2009まででした。

このたび、付表7,8も含めて2010まで出ましたので、それを組み替えて日本の一般政府の部門別勘定を見てみようと思います。

また、基準改定で少し計数が変わっていますので、それも含めて20052010年までの比較という形でやってみようと思います。

まず、図は以下の通りです。

2

2_3   

基準改定があったとはいえ、あまり傾向に大きな違いはなく、収入も支出も少ないという感じです。また、一年延びたとしても、その傾向も変わらず、税収が回復し、支出も、雇用者報酬やその他の支出が主に減っていますが、それでも「純貸出(+)/純借入(-)」は結構大きなマイナスです。

社会保障費の伸びが例年に比べると小さく、一方で社会負担は増えていますので、こういったこともあって、「純貸出(+)/純借入(-)」のマイナス幅は、前年度比でみると少し縮小しています。

ただ、社会保障費の伸びが例年より小さかったのは、前年が失業給付などで社会保障費が増えていることの反動もありますので、今後、もっとすごい勢いで増えていくんでしょうか???

ただ、PIGS諸国と比べると、歳出も歳入も低い状況で、歳出の増加要因が社会保障費ということも明らかですから、冷静に考えると、即座に「日本はPIGSよりも問題だ!」という雰囲気でないような気もします。が、このまま、社会保障費等の増加に対する対応を示さない限り、「日本は問題だ!」とすぐ変わってもおかしくはないでしょうね。

とはいえ、それでもPIGS諸国よりは歳出割合も少ないので、問題は少ないような気がします。気になるのは、これで国債金利が上がりだしたときですが、そのような雰囲気に即座になるのかなぁ、という疑問もあります。何しろ、国民の大多数は銀行等に預金をしており、その預金でもって銀行等は、投資先が無いがゆえに国債を買いあさっているという状況ですから、金利が上がったら、みんな争って買ったりするんじゃないかという気すらします(笑)

というわけで、取り留めもなくなってきましたが、日本の22年度についてまで含めた比較表でした。

2012年3月 3日 (土)

財政部分(2)

続いて、大きく分けての2つ目である、政府関係の勘定に追加・変更を加えた件です。これは2項目あり、一つは勘定の追加で、一つは勘定の細分化です。

追加した方について具体的に言うと、今まで一般政府の部門別勘定(イメージとして、生産勘定から資本調達勘定まで一貫した勘定)を出していたのですが、これはあくまでSNAの部門分類で出していました。

これについて、IMFが作っている政府財政統計(以下「GFS」)というのがあるのですが、そちらの分類に合わせてSNAの計数を組み替えた勘定表を公表しました。

これは、元々は、公的統計の整備に関する基本的な計画という閣議決定文に、「政府財政統計について、総務省始め関係府省等の協力を得て、主要項目の推計及び公表に取り組む。」と書かれていることから、このような勘定表を公表することになりました。

ただ、SNAGFSについては、やっぱりそもそもの目的が微妙に異なるというのは、今回作成してみて痛切に感じました。というのは、SNAはやはり「一国全体について、経済活動を細かく分析するため、いくつかの段階ごとに勘定を分けて(所得支出勘定、資本調達勘定など)公表している」ものなのに対し、GFSは基本的に「政府部門の財政状況を分析したいので、政府部門で一括して、支出、収入をまとめて勘定にしている」というものですから、やっぱり見え方も違うわけです。

更に、SNAは、政府以外も分析するわけですから、帰属家賃、固定資本減耗、FISIMなどの帰属計算や概念上の計算も多くあるわけです。ですが、GFSでは、「実際に出したものを把握したい」という考えですから、こういった帰属計算などは入れたくないわけです。

前述の閣議決定をしたときに、こういった「SNAGFSの違い」ってちゃんとわかって、ああいう文章を書いていたのだろうかという疑問がどうしてもでてきてしまいます(笑)

さて、2つ目ですが、こちらは政府の活動別分類についてです。こちらはちゃんと国連の基準でして、政府の支出をすべて目的別に分類するということになっています。(Classification of the Functions of Government:以下「cofog」)

ですが、この分類というのは、当然大分類から小分類まであり、大分類としては110までの10分類(通常1桁目と言います)、中分類として110の大分類ごとにさらに510分類くらいあります。(通常2桁目と言います)

今までは、この大分類までしか分類していなかったのですが、17年基準改定後は、中分類まで分類するようにしました。

ちなみに、小分類である3桁目というのもあるにはあるのですが、さすがにここまで分けて公表している国は、私は見たことがありません(笑)

というわけで、財政関係で大きく変わったのは、今回はこれくらいです。

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