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2012年3月31日 (土)

GDPとGNI

最近、ちょくちょくGNIについて質問を受けることがあるのですが、今回もその点についての質問ネタです。

まずは、いただいた質問(というか意見)から。

ブログを拝見しました。大変力作で面白く読ませて頂きました。

さて貴ブログを見つけたのは、赤羽景気探偵が最近のESP(電子版)で交易条件と成長率を絡めて記事を書いておられたのに触発されウーンとうなったからです。

小生も従来からRGDPの伸び率とRGNIの伸び率がかなり異なることは気になっており、成長率⇒RGDPと言わずにRGNIも見なくては経済の実相はわからないと考えていました。

今回改めて勘定表を眺めると名目値にはNGDPは支出アプローチ&生産アプローチがたっており両者間が統計上の不突合となっていますね。

一方実質値は付表の2に生産アプの実質値(というか指数ですが)があり、これを使ってPGDP(生産アプ)の伸び率が計算できます。

この両者、RGDP(支出アプ)とRGDP(生産アプ)の比較ですが、両者の開差と交易条件(伸び率にして交易利得/損失のほうが良いかもしれません)の間には一定の(理論的な)関係が導けるのではないでしょうか?

公式の値は支出アプの名目値及び支出側からデフレートした実質値になるのというのは精度の関係やSNAガイドライン(多分)を考えると当然の措置かと思います。しかし「実質付加価値」ということを考えると生産アプのほうがストン(なんといって良いか難しいのですが)と理解が進むような気がします。そうするとますます生産アプによるRGDPによって経済の実相を見るほうが良いのではなかろうかと思う次第です(コチラは多分交易利得/損失調整後のRGDPの動きに近いのでは?。

もっともQEの資料にも計算部はRGNIも交易利得も丁寧に掲載されているので、ひとえに使うほうが勝手にRGDPのみに注目するのが「悪い」のですが・・。

いろいろと貴重なご意見をいただいており、大変勉強になります。では、解説というか、コメントを順番に。。。

小生も従来からRGDPの伸び率とRGNIの伸び率がかなり異なることは気になっており、成長率⇒RGDPと言わずにRGNIも見なくては経済の実相はわからないと考えていました。

ご指摘の通りだと思います。GDPGNIの差は、海外からの所得の受取と支払が絡んでくるのですが、意外にこれが知られていません。

海外からの所得とは、例えば雇用者報酬や利子・配当などなのですが、なんでこれが含まれるのか意外に知られていないような気がします。海外からの所得の定義をおおざっぱに言ってしまうと、「労働力・金融資源・天然資源を海外の生産活動に使用させたことの対価として得られる所得」と言えると思います。

ですから、雇用者報酬(労働力)、利子・配当(金融資源)、賃貸料(天然資源)の海外とのやり取りが入ってくるわけです。

そして、

GNI = GDP + 海外からの純所得の受取

(=海外からの所得の受取-海外への所得の支払)

という構図です。ですので、海外への投資や出稼ぎ労働者が多いと、GDPよりGNIが大きくなってくるわけです。

という前置きはこれくらいにしておいて、公表資料で2010年からの名実のGDPGNIの伸び率を掲げてみようと思います。いずれも季節調整済前期比です。まず名目ですが、

GNI    GDP  差

2010

1-3  1.6   1.3  0.3

4-6  0.4   0.7 ▲0.3

7-9  0.4  ▲0.0  0.4

10-12 0.7 ▲0.7 ▲0.0

2011

1-3 ▲1.8  ▲2.1  0.3

4-6 ▲1.0  ▲1.2  0.2

7-9  1.3    1.4 ▲0.1

10-12 0.5  0.5 ▲0.0

続いて実質については、さらに「交易利得」が入ってきます。「交易利得」は、追って詳しく書いてみますが、今のところは、「交易条件の変化に伴う購買力の変化をとらえるもの」とでも思っておいてください。つまり、原油などの輸入材の価格が上がるとマイナスに寄与し、逆に下がるとプラスに寄与するものということです。

これを前提として実質についても見てみます。

GNI    GDP  

2010

1-3 1.3   1.5 ▲0.2

4-6 0.8   1.3 ▲0.5

7-9 0.9   0.6  0.3

10-12 0.3 ▲0.2 0.1

2011

1-3 ▲2.2 ▲1.8 ▲0.4

4-6 ▲0.4 ▲0.3  0.1

7-9 1.3   1.7 ▲0.4

10-12 0.2 ▲0.2 0.0

という感じです。

以上名実を見てみると、名目では概ね0.3程度で、GDIの方がやや高めに推移しているような傾向がありそうです。一方で、実質でみると、よりブレが大きく、名目と実質で符号が逆になってしまっているようなこともあります。

名目と実質の差は交易利得ですから、実質を見るというときは、交易利得の動きが大きく影響しているということになるのだと思います。

交易利得は、輸出品目と輸入品目の価格変化の影響を反映するものですが、日本の場合は、結局、原油価格の動きが一番効いてくるような気がします。念のため、こちらのブログ

http://ecodb.net/pcp/imf_usd_poilwti.html

からいただきましたWTIの推移を四半期平均して前期比で出してみますと、

2010/1-3 3.34

4-6   ▲0.98

7-9   ▲2.38

10-12  11.97

2011/1-3 10.38

4-6   9.14

7-9  ▲12.49

10-12  4.81

となっていまして、原油価格が上がっている、201010-12月くらいからは、GNIGDPの差について、実質の方がマイナス幅が大きくなっています。7-9月期は、原油価格の動きをみると逆に動きそうですが、この期は、震災の影響の反動で輸出が増えており、価格下落の激しい電子通信機械などの輸出が増えていますから、そちら(すなわち輸出デフレーターの下落)の影響で、同じく実質の方がマイナス幅が大きくなっていますね。

そう考えると、実は日本の交易利得は原油価格だけでなく、電子通信機器(パソコンとかテレビ)の輸出の影響も大きいのですね。ただ、この部分は、何となく日本のデフレーターの作り方に問題があるような気が(笑)

さて、本題に戻るとして、交易利得は傾向でみると、常に名目より実質の方がマイナス幅が大きくなっているということは、日本国内から輸出する製品は傾向的にデフレで、輸入する原油は大きく見ると上がっているということなんでしょうね。

その意味で、ご指摘の通り、「RGNIも見なくては経済の実相はわからない」というのはその通りだと思います。すなわち、我が国の生産活動の活性化という意味ではなく、我が国の所得は、実質化するとより伸び率が低くなっているということなのだと思います。

長くなってきたので、続きは次回に。

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