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2012年2月 7日 (火)

人口減少(3)

生産側については、

①労働投入の減は、少なくともGDPの減少につながりそう

②ただし、資本との代替(機械化)や、技術革新によって、GDPの減少を少なくする効果もある

③②の効果が大きければ、生産年齢人口一人当たりのGDPで見た時は、どちらに転ぶかわからない

となります。さて②として、GDPの減少が少なくなる場合はどうなるでしょうか?

 GDP(支出側)=最終消費支出+総固定資本形成+輸出-輸入+在庫品増加

ですから、生産側でみると、人口が減るにも関わらず、最終消費支出がそれほど減らないようにするか、総固定資本形成を増やしていくしかありません。

在庫品増加というのもありますが、これって、ただ単に売れ残ったものが積み重なっているだけですから、常に在庫品を積み増し続けるなんでことは構造的に不可能です。

それとも、輸出に依存して、どんどん海外に売り出していきましょうか。といっても、製品については韓国、中国などの追い上げが激しく(もう追い抜かれていますか?)、しかも、これだけ人件費が高く、「細部まで作り込まないと納得しない」日本製品が、今以上に海外でシェアを増やすことは考えにくくないでしょうか。それくらいなら、企業も現地生産に入っていくでしょうから、日本生産の生産物の輸出がそれほど増えるとは思えません。

となると、最終消費支出か総固定資本形成しかありません。

ここで分配面に戻ってもらいたいのですが、先ほどの

GDP(分配側)= 雇用者報酬 + 営業余剰 + 固定資本減耗 + 生・輸税

から見ると、雇用者の絶対数が減ると、一人当たりの賃金を増やさない限り営業余剰に回ります。ですので、内部留保として積み増しておけば、総固定資本形成の原資は増えると思います。

が、このような構造、長続きしますかね?通常、固定資本形成、将来の生産のための投資ですよね?それが、将来生産するのは将来の設備投資のための生産がメインです、なんて、なんだかねずみ講みたいです(笑)

もう一つ考えられるのは、最終消費支出と総固定資本形成の中に出てくる、「政府部門」の存在です。ここで、政府の最終消費支出と総固定資本形成(すなわち設備投資)を増やすとうことが考えられます。が、そのためには分配面で出てきた、生・輸税を増やして政府が使うということを増やさないといけません。つまり、一生懸命政府が、設備投資をしたり、社会保障費で使ったり、さらに言えば公務員の人件費などに使うわけです。

こんな世の中にしたいですか???私は嫌です。(笑)

といっても、社会保障費はこれから増えるでしょうから、ある程度は政府による最終消費支出は増えてきます。この中で生・輸税の増加を最低限にするためには、他の経費、公務員の人件費や政府による固定資本形成などについて、メリハリをつけて削減をする必要があるでしょう。

さて、選択肢の一つではある政府部門の増大という方法を取りたくなければ、最終消費支出のうち、民間部門に頑張ってもらうしかありません。ですか、雇用者報酬の総額は減るわけですから、その財源がありません。

そこで、営業余剰として企業に入ったお金が、配当として家計に回る部分を考えてみましょう。この人たちが、今後たくさん消費してくれるということなら、生産側でバンバン技術革新や機械化を進めて、生産を増大させてくれてもバランスが取れます。

が、この配当として所得を得ている人はどういう人でしょうか。おそらく、ある程度の資産を持っている富裕層でしょう。

少し前に話題になった藻谷さんの本では、「この富裕層の多くは生産年齢人口ではなく、それより上の世代で、この人たちはまったく消費しない」としています。この文章の前半については私も賛成なのですが、後半の「まったく消費しない」というのが、今後も引き続き同じなのかという点は、私にはまだ疑問です。そんなに、高齢者が消費していないか、そしてこれからの高齢者が消費しないものかどうか、というのは、一度専門的な調査が必要なのではないかと思います。

というのは、「生産を増やした時に、同じだけ国内需要がついてくるようにする」ためには、

①雇用者報酬を受け取る生産年齢世代

②配当所得を受け取る富裕層

のどちらなのか、ということが分からないと対策が立てられないわけです。

①が消費をするということでしたら、営業余剰を通じて②の人にお金が流れる構造を変える政策を考える必要がありますし、②ということでしたら、企業が内部留保を抱えず、配当として支払うということを促進する政策にすればいいわけです。

藻谷さんは①の立場に立っているということで、論理は一貫していると思います。が、その前段階の「どっちにお金を渡した方が使ってくれるのだろうか?」という分析が実は必要なのではないかという気がしております。

そしてもう一つ、増税をして政府の支出が増える(大きな政府化)ということも、(一人当たり)GDPを増やすという目的の達成ためにはあり得えるシナリオです。実際に、北欧などはこのパターンなのだと思います。

こういったものを含め、まず、今後の日本がどの方向に進みたいのか、という骨太の議論が必要とされているのではないかという気がしております。

※ 本件の質問について、H主任研究員からアイディアをいただきました。非常に面白い質問をいただきましたH主任研究員にお礼を申し上げます。ありがとうございました。なお、本文中の意見にかかる部分は私の個人的な意見であることを補足しておきます。

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