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2012年1月

2012年1月31日 (火)

人口減少

久々の質問ネタです。

質問は次のようなものです。

仮想的質問ですが、12年度以降、15~65歳人口が

11 ▲0.4

12 ▲1.3

13 ▲1.3

14 ▲1.4

と推移することになっている(社人研中位推計)のですが、このときのGDPに与える影響はどうなるんでしょうか?

非常に難しい質問です。

私は今まで、影響が分かりにくい話については、生産側と支出側の両側から見るとようにすることを心掛けてきました。そうすると、両者を整合的にバランスするための動きがよりクリアになってくるからです。

ただ、この質問については、ひょっとしたら分配面とのバランスも見ないと分からないかもしれません。が、それも含めて初めての試みとして、少し考えてみようと思います。

まず、1565歳ということですから生産年齢人口ということになります。この人たちが働いて、生産面では労働者として生産活動に従事し、分配面でみると雇用者報酬を受け取るわけです。

では、まず生産面でみましょう。生産側GDPは、

GDP(生産側)=生産 - 中間投入

です。この生産年齢人口の減少は、普通に考えると、生産の減少につながるように思います。というのは、思いっきりざっくりと考えると、生産をYとし、投入要素を労働投入量Lと資本投入量Kとすると、

 YFLK

という形です。で、普通に考えると、労働を投入すればするほど、産出は増えるでしょうから(日本の企業の場合、必ずしもそうでない職種も多々あると思いますが(笑))、Lがへるというのは、間違いなく生産の減につながるはずです。

この時中間投入も減るはずなのですが、ただ、中間投入は生産をするための原材料ですから、生産と同じ額が減るということは考えにくいですよね。(同じような割合又は固定経費もあるでしょうからもう少し少ない割合で減るんじゃないかとは思います。)

そうすると、やはりGDP(生産側)は減少するように思います。ただ、これが生産年齢人口当たりのGDPということになるとまたわかりません。というのは、労働力が基調になればその分資本投入が増える(すなわち、人でなくて機械化が進む)でしょうし、また、一部の学者さんが無責任にいう「技術革新」でもって、そもそもこの関数そのものが変わる(生産が増える)可能性があるからです。

そうすると、生産面だけでは次のように言えそうです。

①労働投入の減は、少なくともGDPの減少につながりそう

②ただし、資本との代替(機械化)や、技術革新によって、GDPの減少を少なくする効果もある

③②の効果が大きければ、生産年齢人口一人当たりのGDPで見た時は、どちらに転ぶかわからない

という感じでしょうか。

では、これが本当にうまくいくか、次回以降、支出面も見ながら考えてみましょう。

2012年1月29日 (日)

一般政府の勘定表(8)

では、フィンランドです。

1

2

こちらは、高負担、高支出の典型のような感じですね。社会保障費が思ったほど高くないというのも似ています。それにしても、今まで見てきた3国は何で、みんなこんなに雇用者報酬(公務員の人件費)が高いのでしょうか???

では確認のために最後のデンマークです。

3  4

ここはまた特徴的ですね。とにかくすべて税収で取ってしまうという感じに見えます。なんと50%近く税収です。

それにしても、雇用者報酬が大きいですね。その他の支出も大きいですが、いずれも中間消費です。

ここまで見てくると、北欧4国については、いずれもISバランスは安定しているのですが、それは、背景として負担が高い、特に税収が圧倒的に高いというのが分かります。

その一方で、実は社会保障費はそれほど高くなく、日本と同じくらいです。むしろ、ドイツやフランスなどの方が高いくらいなものです。これを見ていると、北欧4国が高福祉というのは、本当なのでしょうか?それとも、相当単価が低いということなのでしょうか???

以上、取り留めもなくなってきましたが、こうやって、各国を比較してみると、非常に面白いことが分かってきます。そして、各国の制度の違いがあるとはいえ、ある程度同じ土俵で比べることができるという点がnational accountsの有用性なのだということがよく分かりました。

2012年1月27日 (金)

一般政府の勘定表(7)

今回から、北欧4国、具体的には、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマークです。

が、データで注意があります。

今までのデータは、実は昨年のうちに調べようとしてOECDのデータベースから落としていたので、2005年からあるのですが、この4国は年明けに興味が出てきて追加で落としました。そして、年が明けたら2006年からしか落とせませんでした。ですので、この4か国については5年分のみのデータとなりますのでご了承ください。

まずは、スウェーデンから。

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なんと、ISバランスは黒字です。そして、税収が驚異の40%近くです。社会負担も10%ありますから、GDPの半分が税収などの負担ということになっています。

一方で社会保障費はそれほど多いようには見えません。そして雇用者報酬、その他の支出が非常に多いです。その他の支出は、やはり中間投入が非常に多いのですが、一方で政府自ら税金を支払っているという部分も非常に多いです。

そう考えると、高負担は間違いなのですが、思ったほど社会保障費が多くないというのは驚きです。

そしてその結果として、ISバランスはほとんどプラスを維持しています。

つづいて、ノルウェーです。

3

4

こちらはさらに収入がすごくて、ISバランスは驚異のプラス10%越えです。

しかも税収はスウェーデンほどではなく、それよりも財産所得の受け取りが大きいです。財産所得の支払いはそれほど大きくないので、ひょっとしたら、過去の社会保障のための積立金運用の利子が大きいのでしょうか???

次回は、残る2か国を見てみようと思います。

2012年1月26日 (木)

一般政府の勘定表(6)

続いて、いよいよわが日本も見てみましょう。

なお、日本については、OECDのデータだとなぜか国内の公表データと異なるので、当方で「国民経済計算年報」を組み替えて作ってみました。

なお、日本については年度の計数でして、また、組み換えのためには付表6だけでなく、付表7,8あたりも必要となってきます。これらのデータは本日公表されたばかりで、分析には間に合いませんでした。そこで、今の段階では21年確報(2009年度まで)のもので作っています。(作業が遅くて申し訳ありません。。。)

1   2

これを見ると、日本は非常にアメリカに似ていて、収入も支出も少ないということが分かります。中国に抜かれたとはいえ、世界第3GDPですから、政府のウェートも小さいということでしょうか。

また、内容についても特徴があり、収入については、税収が少ないです。アメリカよりも少ないくらいです。ただ、アメリカと比較して、社会負担が多いため、税と社会負担を合わせてみると、アメリカと同じくらいになっています。

一方で支出については、社会負担が多いわけですから、アメリカよりも社会保障費が多くなっています。この費用はイギリスよりも多いくらいです。それ以外の雇用者報酬や中間投入などは少ないのですが、全体のバランスとしては少し赤字という感じです。

なお、200620082009と突出して、資本移転の受け取りという項目がイレギュラーに増えている部分が気になります。これは、財融特会からの移転(いわゆる埋蔵金と言われるものです)があった年に、いきなり増えており、これが見た目でも2,3%くらいありそうですね。日本の場合GDPが大きいですから、2%でも10兆あります。

この影響を除くと、本当はもう少し悪いという感じなのですが、ただ、ギリシャやポルトガルなどと比べると、まだマシという感じがします。

それに、日本の場合、債務残高は相当あるのに、財産所得の支払い(利払い費を含む)が非常に小さいです。これは、低金利に相当助けられているということなのでしょうね。

アメリカと比較してみると、税収は確かに低いのですが、その分社会負担がありますから、突出して負担が軽いというわけでもないのかなと思います。ただ、アメリカと比較して、社会保障費はずっと多いわけですし、今後この経費は増えていくわけですから、その財源を何とかしないという意見を言われると、確かにその通りかなという気はします。

ただ、PIGS諸国と比べると、現在のフローはまだマシという感じに見えます。(ただし、過去からの債務残高がかなり高いですから、この利払い費が高騰しだした瞬間に、支出が増えるという怖さがあるのもご指摘の通りですね。)

では、次回以降視点を変えて、今後社会保障費が増えていくとして、その「社会保障費を税金で賄ってしまいましょう」という選択をした国々、具体的には北欧4国を見てみましょう。

2012年1月25日 (水)

一般政府の勘定表(5)

まずはeuroのお隣、イギリスです。

1 2

一目見ての感想なのですが、ここも言うほど良くはないですよね。。。

ISバランスという意味では、フランスやイタリアよりも悪いのではないかと思ってしまいます。ただ、内訳をみると顕著な特徴が出ていて、社会保障費が非常に少ないです。一方で、社会負担も少ないです。

税収は非常に高いので、これでもなぜ安定しないのかと考えると、その他の支出というのが非常に多いです。内訳を見てみると、中間投入が圧倒的に多いです。これは物件費などですが、イギリスは物価が高いという印象があるので、それがこういったところに出てきてしまっているのでしょうか。。。

一方、雇用者報酬などは、ドイツよりは高いとはいえ、フランスほどではありませんから、この中間投入さえなければという感じですね。

ちなみに、2008年に資本移転の受け取りと支払いが両建てで膨らんでいます。これは、何か外郭団体の処理などしたのでしょうかね(笑)

続いて、大西洋を渡ってアメリカです。

3 4

こちらも、バランスとしてはイギリスとそれほど変わらないように見えますが、アメリカの場合はGDPの額が大きいからか、そもそもの政府の支出、収入ともに圧倒的に低い割合です。

税収も少ないですが、それ以上に、イギリスよりも社会負担、社会保障費が少ないです。これを見ていると、政府の割合がGDPに比して少ないという感じがします。

フランスがやられるなら、このあたりの国も同じような感じがしますが、まずはeuro圏内ということなのでしょうか。。。

2012年1月24日 (火)

一般政府の勘定表(4)

PIGSの最後のS、スペインです。

この国は、初めの債務残高ではそれほどひどくなかったのですが、フローではどうなのでしょうか?

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スペインについては、驚異的なことに、2007年以前はISバランスがプラスですね。

これは、収入も40%程度なのですが、支出も40%未満と少ないからでしょうか。スペインについては、政府の支出が少ない代わりに、政府の収入(負担)も少ないということなのかと思われます。

ただ、スペインについては、2008年以降の税収の減が気になります。この年を気に、税収が数%少なくなり、一方で、支出が徐々に増えています。といっても、20082009年はリーマンショックの影響かもしれませんから、気になるのは税収の落ち込みでしょうか。

(この年、スペインは選挙があったようで、政権は変わらないものの、連立内閣となることを余儀なく慣れているようなので、減税でもしたのでしょうか?誰か教えていただけると助かります。。。)

スペインについては、この近年の財政バランスの悪化傾向が気になるくらいで、他のPIGS諸国よりも全然マシという気がします。

では、比較のため、最近格下げされたフランスについても見てみましょう。

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こちらは、収入も多いですが、支出がそれに輪をかけて多いですね。内容も、社会保障費も多いですが、雇用者報酬も多く、補助金なども非常に多いです。その他の支出については、こちらはイタリアと違って、純粋な中間投入(物件費)などです。

収入は、税収も社会負担もいずれも多いです。ただ、見ていると、公務員への支払いも、企業や家計などへの補助金も、社会保障も、物件費も、あらゆるものを多く使っている、非常に政府が大きな国という感じがします。

ただ、PIGSPIGよりはマシですが、スペインよりも良いという感じはしませんね。

では、次回は、気分を変えて、非EURO地域の諸国を見てみようと思います。

2012年1月22日 (日)

一般政府の勘定表(3)

ギリシア以外のPIGSです。

まずは、P、ポルトガルからです

1 2

こちらも、ギリシャに負けず劣らずですね。支出規模は、ギリシャとほぼ同じくらいですが、収入はギリシャより少し良いくらいでしょうか。ドイツと比べるとまったく少ないですね。また、雇用者報酬が多く、社会保障費が少ないという構造もギリシャに似ています。

ただ、税収はドイツと同じくらいあるのが見て取れます。ただ、社会負担がドイツと比べて少ないですね。

税収がある分、ギリシャより少しましという感じでしょうか。

また、ドイツにも言えることですが、2009年から、いきなり支出が増えていますよね。これは、リーマンショックの後の景気対策ということなのでしょうね。

続いて、I、イタリアです。

3 4

こちらは、ポルトガル、ギリシャほどISバランスは悪くないですね。よくよく見てみると、収入が前の2国と比べて相当あります。これは、ドイツよりも多いくらいです。

内訳をみても、税収が多いことがよく分かります。一方で、社会負担はドイツほどではありませんが、ポルトガル、ギリシャよりはあります。

では、なぜイタリアも財政が悪いのかとみると、こちらは支出がギリシャよりも圧倒的に多いですね。常に50%程度、これが財政悪化の主要因でしょう。

内訳をみると、ギリシャと同じく雇用者報酬が多く、社会保障費も少ないのですが、その他の支出というのが意外に多いのが気になります。この中身を見てみると、中間投入(物件費など)が多いのですが、政府自らが払っている税金が意外に多いことが分かります。自ら税金をかけて、収入と支出を膨らませているという、なんだかよく分からない感じですね(笑)

また債務残高もポルトガルより多いことから、財産所得の支払い(含む利払い費)が多いこともわかります。

では、もう一つのスペインについてはまた次回。

2012年1月20日 (金)

一般政府の勘定表(2)

さて、前回の続きです。

フローでの政府の勘定を見るため、General Government Accountsの中のGovernment deficit/surplus, revenue, expenditure and main aggregatesを用いてみます。

この勘定表は、SNAの勘定表とは少し異なり、政府の支出(Total General government expenditure)と政府の収入(Total General government revenue)をそれぞれ求め、その差額でもって、ISバランス(純貸出(+)/純借入(-)(Net lending (+)/Net borrowing (-)))を求めるという形になっています。

そこで、政府の支出を、

○雇用者報酬

○補助金、経常移転の支払い等

○社会保障費

○財産所得の支払い

○総資本形成

○資本移転の支払い

○その他の支出

に分けてみます。

そして、政府の収入を、

○税収

○経常移転の受け取り

○社会負担

○財産所得の受け取り

○資本移転の受け取り

○その他の収入

に分けてみます。

また、各国通貨単位が合いませんので、とりあえずGDP比でみてみようと思います。

まずは、問題のギリシャから。

グラフのプラス欄に収入項目、マイナス欄に支出項目を挙げています。

1 2

という感じです。

一見しただけでも、支出項目は40%以上で、年によっては60%に近いくらいまで出ていますが、収入は常に40%未満です。ですから、常にISバランスは、5%以上のマイナスとなっています。そして、この差は債務として積みあがってきているということでしょう。

ただ、これだけじゃよく分かりませんから、優等生グループの中の一番手、ドイツと比較してみましょう。

3  4

まず、一見して収入と支出のバランスが非常に良いですよね。支出が40以上、50%未満で安定しており、一方で、歳入も安定して45%程度ありますから、年によってISバランス赤字幅は出ますが、ギリシャとは数倍近い差がありますね。

また、財産所得の支払いというのは、支払利子を含みますが、その割合を見ても、ギリシャはドイツの倍以上あるように見えます。それだけ過去の債務の利払いで苦しんでいるという感じでしょうか。

そして、ドイツとギリシャを比較すると、支出はそれほど違わない(わずかにギリシャが多い)ですが、収入がドイツの方が圧倒的に多いです。その内容を良く比べてみると、税収、社会保障ともに、ドイツの方が数%程度高いように見えます。

また、支出が同じくらいと言っても、中身がやや違います。ギリシャは、雇用者報酬(公務員の人件費)が多い一方で、社会保障費がそれほど高くないのですが、ドイツは、雇用者報酬が少なく、社会保障費が高くなっています。

こういった実態を見ると、メルケル首相が「ギリシャがもっと財政改革(増税か歳出削減ですが)しないと、ドイツは助けない」と言いたくなる気持ちもよく分かります。(笑)

さて、まずは、極端な2つを見ましたので、次回以降、他のPIGSも見ていきましょう。

(注)以下、具体的に積み上げた項目です。

≪政府の支出≫

○雇用者報酬(GD1P: Compensation of employees, payable

○補助金、経常移転の支払い等(GD3P: Subsidies, payableGD7P: Other current transfers, payable

○社会保障費(GD62P: Social benefits other than social transfers in kind, payableGD631XXP: Social transfers in kind (via market producers), payable

○財産所得の支払い(GD4P: Property income, payable

○総資本形成(GP51P: Gross fixed capital formationGP52_P53P: Changes in inventories and acquisitions less disposals of valuablesGK2P: Acquisitions less disposals of non-produced non-financial assets

○資本移転の支払い(GD9P: Capital transfers, payable

○その他の支出(GP2P: Intermediate consumptionGD29P: Other taxes on production, payableGD5P: Current taxes on income, wealth etc., payable

≪政府の収入≫

○税収(GD2R: Taxes on production and imports, receivableGD5R: Current taxes on income, wealth etc., receivable

○経常移転の受け取り(GD7R: Other current transfers, receivable

○社会負担(GD61R: Social contributions, receivable

○財産所得の受け取り(GD4R: Property income, receivable

○資本移転の受け取り(GD9R: Capital transfers, receivable

○その他の収入(GP1XXR: Market output, output for own final use and payments for non-market output

2012年1月19日 (木)

一般政府の勘定表

少し前から見てみたかったのですが、時間が無くてなかなかできなかったことがあります。

それは、昨年来、ギリシャを発端として、EURO圏各国の政府債務が問題となっており、財政状況の悪い国を指してPIGSとか言われたりしていました。(日本も他人事でないとも言われていますが。。。)

で、これらの国が本当にどれくらい財政状況が悪いのかというのを、自分でデータでみていませんでしたので、何が起こっているのか、実際よく分からない状況でした。

そこで、今回、少し時間をかけて、各国の財政状況についてデータを落としてみてみました。

データソースは、OECDのデータベースから、ひたすら頑張って落としたものでして、特段標記が無いものは、その中のnational accountsの中の、General Government Accountsから持ってきたものと思ってください。

General Government Accountsの中に、Government deficit/surplus, revenue, expenditure and main aggregatesという勘定表があり、これが一般政府の部門別の勘定表になります。ここでは、中央政府とか、地方政府別にもあるのですが、今回は一般政府だけでまとめてみています。

途中で、いくつかの項目にくくって分析しますが、その内容はその際に個別に書きます。

まず、national accountsではなく、このOECDのデータベースの中に、中央政府の債務残高のGDP比というものがありますので、それから見てみましょう。

1

とりあえず、現在、危ないと言われているpigs(ここでは、ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペインとしています。本当はアイルランドだという説もありますが。。。)、対比する意味で、その援助側と言われているドイツとフランス(フランスも格下げされましたが。。。)、そして比較の目的で、イギリス、アメリカ、そして我が日本もいれております。

これを見ると、確かに言われる通り、pigsの中でも、ギリシャは突出して債務が多いということが分かります。また、それに続いてイタリア、ポルトガルと続いているのですが、スペインはそれほど悪いという感じがしません。むしろ、フランスの方が悪いくらいです。

また、実はイギリスがポルトガル並みに悪いということもわかります。アメリカも、スペインより悪いくらいです。そして、そもそも、日本は2009年までしかありませんが、もっと悪いです(笑)

というわけで、あくまでこれは中央政府だけのものなので、一般政府の債務ということだと異なるとは思いますが、それでも、ギリシャが真っ先に危機に陥ったというのはなんとなくわかります。

では、これは債務ですからストックの話です。ストックとはフローの積み重なりですから、フローでどのようなことがあり、このような状況になったのか、次回、もう少し細かく見てみようと思います。

2012年1月17日 (火)

専門家

先週末に、いろいろな方と意見交換を行い、いい刺激をいただきましたのでその話を少し。

まずは、いろいろと最近話題になっている季節調整について、時系列分析の専門の先生方に意見を伺う機会をいただきましたので、いろいろと話を伺ってきました。

内容については、別途書く機会があれば触れることもあるかと思いますが、それ以上に印象に残ったのが、これだけ高名な先生方が「公的統計の改善のために役に立ちたいと思っているので、力になれることがあれば言ってほしい」というように言ってくださったということです。

やはり、分析や政策立案の基礎となる公的統計について、質の向上が必要という気持ちはみなさん持っておられて、そのために専門的な知見を拝借させていただけるというのは、非常にありがたいですし、逆にそれだけの期待を集めるだけの統計を担当しているのだというプレッシャーも改めて感じました。それにこたえられるだけのアウトプットをこれからも出していかないといけないと、切に思いました。

そして、もう一つは、これは民間のエコノミストの方から質問があり、それについてお答えしているときに話がそれて、雑残交じりに話したことだったのですが、その方は、特に財政関係の日本の公的統計の少なさを嘆いており、一国全体の収支を把握できるようなデータを出していないのがおかしいとおっしゃっていました。そして、全体を把握している統計としてSNAをもっと深く調べて、客観的なデータを出せれば非常に意義があるのではないかと思って、分析しているともおっしゃいました。

この点については、私もまったく同感で、以前からこのブログでもSNAは『宝の山』だ、と言ってきました。ですので、エコノミスト、大学の先生皆さんで、是非こういった分析をしていただくのは、この国のためにも素晴らしいことだと思っております。

が、引き続き言われたことが、「用語など専門的すぎて、一般の人には分からない」ということでした。これについては、私も持論があり、「SNAは各国が同じ基準や用語で統一して推計し、公表しているという点の有用性があり、用語や計上方法がある程度複雑になっても良い。」と思っています。ただし、その専門的で分かりにくいSNAと経済を分析する人や一般の人たちの間をつなぐ、「SNAの専門家」という人が存在するべきだと思っています。

ただ、SNAというニッチながらマニアックな分野については、大学や民間企業だけで専門家が自然に生まれるとも思わないのです。そのため、SNAの推計担当に、経済の専門家やアカデミックなところから若いうちに来て、実際に推計を行い、その知見を持って、経済分析の分野に再び出ていく、というような人がもっと増え、SNAの中身と実際の経済分析を橋渡しできるような人が、ある程度は生まれなければいけないと思うのです。

専門家が圧倒的に少ない日本のSNAの分野では、今からでも遅くないので「SNAの専門家」グループを作る必要があるのではないでしょうか?

こういった雑談をしていたところ、質問をいただいたエコノミストの方も、意見に賛同してくれました。そして、「その橋渡しが自分たちの仕事だと思うが、あまりに人員が少なすぎて手が回らない現状もある」と実情も教えていただきました。

こういったことを伺うにつけ、やはり、SNAの推計担当部局において、もっと多くの部門から推計担当者を集めてくることで、SNAの専門家を育成するような形にしないといけないし、むしろ、それは政府としてやらなければいけない重要な仕事なのではないか、と思う次第です。

というわけで、意見交換を受けていろいろ思ったことでした。。。

2012年1月15日 (日)

フロー編(3)

続いて純貸出(+)/純借入(-)です。

これについては、昨年と同様、制度部門ごとの数字を3年ほど並べてみましょう。

       20年度  21年度  22年度

非金融法人  13.7兆円   34.4兆円  38.8兆円

金融機関   0.8兆円   1.9兆円  1.9兆円

一般政府  ▲16.5兆円 ▲42.9兆円 ▲40.7兆円

家計     12.5兆円  20.7兆円  17.0兆円

非営利    0.7兆円 ▲0.1兆円  0.8兆円

21年度、22年度の一般政府のマイナス幅がすごいですね。。。

21年と比べて22年度は、非金融法人がプラス幅を拡大し、家計がプラス幅を縮小していますが、これは土地の純購入の部分でして、貯蓄要因ではありませんので念のため。

(21年度はどういうわけか大幅に家計から非金融法人に土地を売っていることになっていました。確かに、21年度あたりは、再開発で大型物件がいっぱいできていましたので、その関係なのでしょうか???)

これを受けて、SNAの概念ではなく、参考値なのですが、一般政府のプライマリー・バランスについても出ていますので、そちらを見てみると、

         20年度   21年度   22年度

一般政府    ▲12.3兆円 ▲38.3兆円 ▲35.4兆円

中央政府    ▲10.2兆円 ▲30.6兆円 ▲27.0兆円

地方政府      4.4兆円  1.8兆円  ▲0.2兆円

社会保障基金   ▲6.5兆円  ▲9.5兆円  ▲8.2兆円

という感じです。

これをみると、前回書いたとおり、地方政府の支出は決して21年度と比べて少なくないことが分かります。ちなみに、21年度に比べ、22年度の中央政府が改善しているのは、税収の回復がやはり大きかったという感じです。

(財融特会からの繰入金が、21年度約7.3兆円、22年度約4.8兆円と減っていることを考慮すると、21年度はリーマンショック直後ということもあり、政府は相当支出をしていたのだと分かります。)

そして、上記の財融特会の移転減があるとはいえ、税収の回復があったのに、22年度の中央政府のPBが21年度からわずかの改善でしかないということを考えると、前述のとおり、22年度も家計への移転などの支出は引き続き多かったということになるのだろうと。。。

2012年1月14日 (土)

フロー編(2)

続いて家計貯蓄率については、21年度2.6%とほぼ変わらず22年度は2.5%でした。21年度は、消費支出が減ったにもかかわらず、可処分所得が増えて、貯蓄率が下がったと書きました。

22年度は、可処分所得、消費支出ともにほぼ変わらず、結局貯蓄率もほぼ変わらないという結果でした。

ただ、思い返してみると、21年度は、定額給付金が支給されており、また、家電エコポイントやエコカー補助金なども出されていましたし、税収も低く、社会負担も下がっていましたから、その影響で可処分所得が上がっていたのですが、22年度もあまり変わらないというのは本当だろうかと疑問に思われるかもしれません。

しかし、定額給付金はなくなりましたが、ほぼ同じ規模で子ども手当てが出ていますし、税収の回復(いわゆる間接税(生・輸税)については生産概念出てくるため、移転関係として出てくる税は直接税(所得・富税)のみです!!)は主に法人税でして、家計とは関係がありません、家電エコポイントもエコカー補助金も、22年度も年度の途中とはいえ相変わらず続いていました。社会負担は増えたとはいえ、現物給付をはじめとする社会保障給付もほぼ同じくらい増えています。そう考えると、実は22年度も21年度と政府から家計への移転は同じくらい出しているということが良く分かります。この点については、関心が深い方も多いと思われます、政府のISバランス、PBの部分でまた触れたいと思います。

2012年1月10日 (火)

フロー編

もう数週間ほど過ぎてしまいましたが、昨年末にフロー編を公表しています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kekka/h22_kaku/h22_kaku_top.html

そのうち、支出系列については少し書いています公表されたフロー編にはそれ以外の部分もありますので、少し触れてみたいと思います。

まず、繰り返しになりますが、支出側GDPについてですが、FISIMとインハウスソフトウェアなど新たな概念の追加があり、いずれもGDPをプラスにする要因となったものの、同じく概念変更があった固定資本減耗が足元になればなるほど下方改定となったこと、そして何より、産業連関表を反映した影響が下方改定に影響したことから、結果として足元の21年度のGDPの計数はそれほど変わりませんでした。

ただ、前述の下方改定要因については、いずれも『足元』だけ下方改定になっているので、過去の計数を見ると、FISIMやインハウスソフトウェアなどのプラス要因だけが効いてきますので、過去は上方改定となっています。

そして、確報として新たに追加された22年度は前年度比3.1%と3年ぶりのプラスでした。プラス幅は相当大きいのですが、20年度は▲3.7%、21年度は▲2.1%とリーマンショックの影響で大きく落ちていますから、その反動としては、まだ十分取り戻せていないという感じですね。実際に、実質の実額の水準を比べても、22年度の水準は511兆円と、リーマンショック前の19年度の水準である525兆円までは戻っていません。実際、17年度の507兆円くらいの水準です。

続いて所得を見てみても、支出側と同じく、2.0%と3年ぶりのプラスなのですが、20年度の▲6.9%、21年度の▲3.5%と比べると戻りは小さいという感じです。名目の水準が349兆円で、リーマンショック前の381兆円ですから、まだ1割近く戻っていないという感じです。

なお、昨年も書いたような気がしますが、国民所得とは、国民総所得(GNI)から、減耗と生輸税・補助金を除いたものなのですが、所得面の説明で、なぜこちらを使うのか、私にはいまいち不明です。ただ、昨年から私自身少し成長したのか、なんとなく理由も分かるような気がしています。

というのは、GDPは「国内総生産」なのですが、本来生産の分析でも「純生産」を使いたいはずなのです。ただ、「純」にするためには減耗を抜かなければいけないのですが、その減耗が非常にあいまいな概念であるため、それを抜くくらいなら「総生産」の方が良い、という考え方なのですから、「国民総所得」よりは「国民所得」を使いたいということなのでしょう。が、減耗があいまいということには変わりはないのですから、相変わらず疑問ではあるのですが。。。

2012年1月 7日 (土)

純貸出(+)/純借入(‐)(3)

前回までは、少しラフに書きすぎましたので、今回はもう少し正確にSNAの「純貸出(+)/純借入(‐)」を書いてみます。

まず、純貸出(+)/純借入(‐)」は、

純貸出(+)/純借入(‐)=貯蓄 -(総資本形成+土地の純購入+資本移転の純受取)

です。そして、貯蓄とは

貯蓄 = 可処分所得 - 消費支出

です。そして、一国全体でみると、可処分所得とは、おおざっぱに言って、

可処分所得 = GDP + 財産所得の純受取 + 経常移転の純受取

となります。

 ※経常移転とまとめましたが、ここには補助金や税、社会給付や社会負担も含めています。

ということは、分かりやすくするため、財産所得と移転を無視すると、一国の「純貸出(+)/純借入(‐)」の合計値は、

GDP - 消費支出 -(総資本形成+土地の純購入+資本移転の純受取)

ということになります。統計上の不突合は、

 GDP(支出側)=GDP(生産側)+統計上の不突合

という関係にあります。問題なのは、この可処分所得を求める部分のGDPは生産側なのですが、消費支出や総資本形成の部分は支出側なのです。ですから、すべてを支出側で合わせるためには、

純貸出(+)/純借入(‐)

= GDP(生産側)- 消費支出 + 統計上の不突合 -(総資本形成+土地の純購入+資本移転の純受取)

 = 貯蓄 - (総資本形成+土地の純購入+資本移転の純受取)+ 統計上の不突合

となってしまうのです。

というわけで、最後は分かりにくくなったと反省していますが、純貸出(+)/純借入(‐)と統計上の不突合の関係でした。

2012年1月 3日 (火)

純貸出(+)/純借入(‐)(2)

さて、続きです。

J-SNAでは、GDP=Y2つ種類があり、生産側(Y(s))と支出側(Y(d))があります。

ここで、

GDP = CP+CG + IP+IG + EX-IM

についてはJ-SNAでは、支出側について成り立ちますので、

 (Y(d)-CP-CG) - (IP+IG) = EX-IM

となります。一方で、

S = Y - CP-CG

については、分配側の話なのですが、J-SNAでは分配側と生産側が等しくなるようにしていますので、生産側のみに成り立ちますから、

S = Y(s) - CP-CG

となります。

統計上の不突合は定義上

 Y(d) = Y(s) +計上の不突合

ですから、

 (S)-(IP+IG) 統計上の不突合 = EX-IM

となるわけです。これが、付表19で統計上の不突合が出てくる理由になります。

2012年1月 1日 (日)

純貸出(+)/純借入(‐)

実は一年くらい前に質問を受けて、その時は軽く流してしまったのですが、最近まじめに考えて自分なりに良く理解できたことがあったので、今回はそれについて触れてみたいと思います。

それは、

制度部門別の純貸出(+)/純借入(‐)の合計は、海外部門の純貸出(+)/純借入(‐)と合計すると等しくなるはずなのですが、なぜ、ここで「統計上の不突合」を加えないといけないのか?

という質問です。

具体的には付表19になります。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kekka/h21_kaku/h21_kaku_top.html#c2

これを見ていただければお分かりいただけると思うのですが、

(1)非金融法人企業

(2)金融機関

(3)一般政府

  ・・・

(6)海外部門

(7)統計上の不突合

となっていて、これらをすべて合計するとゼロになるようになっています。

私はマクロ経済学をあまり勉強したことが無いのですが、マクロ経済学では、

家計貯蓄+企業貯蓄+政府黒字=経常収支

などと教えられるようですね。これも少し誤解を招く表現のような気がするのですが、GDP(支出側)で考えると、おそらく以下のようなことを言いたいのだと思います。

 GDP=CP+CG+IP+IG+EX-IM

 とします(在庫はIPIGに含まれることとします。)と

 GDP-CP-CG-IP-IG=EX-IM

です。ここで、GDPとして生み出された付加価値は、おそらく所得として国内に配分されるでしょうから、これをYとしてしまうと、

 (Y-CP-CG) - (IP+IG) = EX-IM

 S - (IP+IG) = EX-IM

となります。これはつまり、「一国全体の貯蓄と投資の差額は、海外部門の黒字と等しくなる」ということを表しているわけでして、まさしく、

家計貯蓄+企業貯蓄+政府黒字=経常収支

を言っているわけです。

※厳密には用語が統一されていないので、微妙にずれているのですがわかりやすさを優先してふわっと書いています(笑)

というわけで、J-SNAの付表19は、実はほぼこれと同じことを示しているわけなのです。

が、ここに「(7)統計上の不突合」が出てくると、「???」となってしまうのではないでしょうか。というわけで、この本題については次回また。

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