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2011年12月 7日 (水)

現実消費と消費支出(6)

前回までで、『政府最終消費支出』について細かく考えてみました。これでようやく、「消費支出」と「現実消費」の区別について解説する下地が整いました。(長いお話にお付き合いいただきありがとうございました(笑))

消費支出とは、「誰がその消費のための『対価を支払ったか』」に着目した概念であり、現実消費とは「誰が実際にその消費を行ったのか」に着目した概念です。

ですので、一番わかりやすい例で考えると、前回のテーマだった「現物社会給付」すなわち、「市場生産者が生産する消費財・サービスであり、かつ直接家計に対して提供されるものに対する政府の最終消費支出」は、

 ○対価を支払ったのは政府

 ○実際に消費を行ったのは家計

という典型例です。

つまり、「現物社会給付」の部分は、

①消費支出でみると「政府最終消費支出」

②現実消費でみると「家計現実最終消費」

となります。では、これ以外に、対価を支払う部門と、実際に消費を行う部門が異なっている例はないでしょうか?たとえば、国公立学校で行う教育は、授業料を取っているとはいえ、明らかにそれだけで賄えているとは思えません。ですので、その差額分は、明確に「政府最終消費支出」です。が、実際に消費しているのは、学校に通っている学生、生徒、児童であると思われますし、その消費している対象を特定することもできます(この場合は明らかに家計です。)。

一方で、実際に消費を行う部門が異なっているとはいえ、それが警察業務になった場合、その警察サービスを消費しているのはだれでしょうか???家計かもしれませんし、企業かもしれません。そもそも、政府も消費しているかもしれません。

というわけで、政府による生産に対する自己消費についても、2つの区別ができそうです。すなわち、前者の学校教育のように「個々の家計の便益のためのサービスに対する消費支出」と後者の警察のように「社会の大きな部分の便益のためのサービスに対する消費支出」の2つということになります。J-SNAでは、前者のことを「個別消費支出」、後者のことを「集合消費支出」と呼んでいます。

そして、このうち「個別消費支出」については、

 ○対価を支払ったのは政府

 ○実際に消費を行ったのは家計

ということになりますので、現実消費と消費支出で計上方法が異なってきます。つまり、

①消費支出でみると「政府最終消費支出」

②現実消費でみると「家計現実最終消費」

ということです。

これをまとめると、

 政府最終消費支出 = 政府集合消費支出 + 政府個別消費支出 + 現物社会給付

 政府現実最終消費 = 政府集合消費支出

となります。

そして、最後に付け足しなのですが、このように自ら生産したサービスを自己消費していると擬制しているのは、政府だけでなく「対家計民間非営利団体」も同じです。ですので、対家計民間非営利団体にも、現実消費と消費支出の違いがあるのですが、SNAでは、非営利についてはすべて「個別消費支出」とされていますので、非営利には現実最終消費というものがありませんで、すべて「家計」に行きます。

ということで、まとめると、

 家計現実最終消費 = 家計最終消費支出

+ 政府個別消費支出 + 現物社会給付

+ 非営利最終消費支出(=非営利個別消費支出)

となります。

というわけで、長々と書いてしまいましたが、現実消費と消費支出の違いについてでした。

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