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2011年12月

2011年12月28日 (水)

17年基準改定(支出系列)(5)

そして、育成資産ですが、これは、肉牛など「一回限りの産出物を生産する動植物」について、産出するまでの期間は、仕掛品在庫として計上するということなのですが、その推計方法を、「実際に今回これだけ出荷されたのだから、過去はこれだけ仕掛品在庫として存在していたはずだ」と考えて推計する方法に代えたということです。

(ということは、逆算的に計算することとなるため、将来値は予測になるわけで、次の基準改定で実際の値が分かった後で遡ることになるという、構造になっています。今後、これも基準改定の改定内容の一つになるということでしょうか。。。。)

最後は、実額にあまり影響する部分ではないのですが、公的部門の格付けの見直しです。これは、今まで公的部門に格付けする基準が、国際基準と比べて限定的であると言われており、それを17年基準ではより国際基準に合った形としました。

そのため、たとえばNTT3社とかが、民間企業から公的企業に変更となったため、支出系列で言うと、今まで民間企業設備に入っていたものが、公的固定資本形成に入るようになりました。ただ、一国全体での総固定資本形成額には影響はありませんが。。。

なお、完全に蛇足ですが、公的部門の格付けについては、個人的に一家言あります。というのは、私は、今の部署の前に、会社法の親会社、子会社関係の規定を勉強する機会があって、その時に「その経営を支配している」というものについて、いろいろ調べたということも影響しています。

よく、公的部門の格付けについて、12年基準は「所有かつ支配」だったのが、「所有又は支配」に変わった、というような言い方をしています。これは、会社法(世界中でも一般的なルールですが)における、親会社、子会社規定の考えを誤解させる言い方だと思います。

会社法では「その経営を支配している」と言いますが、英語では「general policyを支配している」ということが、親会社と子会社の関係の定義です。「財務諸表規則」(内閣府(金融庁)所管)というのがあるのですが、そこでは「財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)」となっています。

これは何を言っているかというと、結局のところ、株式会社における株主総会を支配しているかどうかということになります。では、なぜ、株主総会を支配していると子会社かというと、株主総会は、代表取締役、取締役といった経営者の選任権を持っているからなのです。

そう考えると、結局のところ、この「●●を支配」というのは、取締役の首根っこをつかんでいるかどうかを見る、という考えが背景にあるわけです。具体的に、その会社の経営の実務を行っているのは、株式会社では取締役会です。そして、その取締役会の過半数を握れば、その会社の経営を支配できます。こういう状況になれば、「親会社と子会社の関係」にあると考えられるわけです。

その点、株主総会を支配しているというのは分かりやすくて、すべての取締役の選任権を有してきます。そして、株主総会を支配するためには、過半数の株式(議決権あり)を持っていればいいわけです。

が、今の考え方を背景にすると、会社の支配形態は、別に株式を過半数持たなくても、何らかの形で、取締役会を操れればいいわけです。特に政府の場合は、取締役全員の認可権を持っていたりするので、そういった形での支配も十分あり得ます。

そう考えると、過半数の株式を保有しているという「所有」という形態は、あくまで「支配」の一形態であり、「所有又は支配」という形で並列的に並べるのはおかしな感じがします。

なお、どのような状況であればgeneral policy、委員会設置会社以外の株式会社の場合は取締役会ですが、これを支配しているとみるかは、状況によって変わってくる、非常に線引きの難しいものです。ですので、おそらく、国際的に「かっちり」と決まっているようなルールは無いと思います。(日本の会社法、財務諸表規則は、かなり厳密に決めている方だと思います。)

このような状況で、J-SNAでは、この「general policyの支配」を、①株式の所有による支配、とその他の支配として②取締役会構成員の選任権を有しているか(これはあくまで委員会設置会社以外の株式会社の例で、法人形態によっては、取締役会が実質ひとりということも有り得て、その場合はその人の選任権を有しているかということだけが判断基準になります。)、という2つで決めることとした、ということが、今回の公的格付けの見直しの内容なのです。

ですので、私の考えでは、「所有、またはその他の形式による支配」というのが正確だと思っています。

というわけで、一部ややどうでも良いことまで書いていしまいましたが、今回の基準改定における、新概念等の内容についてでした。

2011年12月27日 (火)

17年基準改定(支出系列)(4)

それ以外の新概念等です。

まずはインハウス・ソフトウェアになります。

93SNAでは、受注型のソフトウェアに加えて、自社開発(インハウス)のソフトウェアも固定資本形成にするとされているのですが、J-SNAではこの部分についてはまだ導入していませんでした。それを今回の基準改定から反映しています。

具体的には、会社で自分でSEさんを雇って、自分でプログラムを組んで、自社専用のソフトとか作ったりしますけど、それをきちんと「固定資本」として計上しましょうということです。

では、12年基準ではどうだったかというと、それはSEさんがただ単に働いているだけで、「何も生み出していなかった」という整理になります。ですので、17年基準改定では、インハウス・ソフトウェアの分だけ生産及び付加価値(=GDP)が増えることとなります。

後は、固定資本減耗と育成資産です。

固定資本減耗は、上記でも出てきた「固定資本」が時とともに徐々に擦り減っていくということを表している、会計でいう「減価償却」のようなものです。ただ、SNAでは、「固定資本減耗」は「減価償却」とは異なり、買った時点の資産価値ではなく、現時点の資産価値をもととして、擦り減っている額を計算することになります。というのは、SNAでは「固定資本減耗」というものは、『生産のための費用』であるからなのです。

何を言っているかというと、SNAとはもともとスタートは、一国全体で何を投入して何を生産しているのか、という生産勘定がスタートにあるわけです。その生産のための投入要素として「固定資本減耗」があるわけですから、その減耗は、当然、「生産が行われた時点の価値」で計算するべきということになります。

12年基準改定では、この固定資本減耗を「生産が行われた時点の価値」(すなわち『時価』ということ)で計算するというのは、一部(具体的には道路やダムなどの社会資本の減耗)だけしか取り入れておりませんでしたが、17年基準ではこれを全面的に導入しました。

なお、固定資本減耗が支出系列(GDP)などに影響してくるのは、コスト積み上げで計算している政府と非営利だけなのですが、これについては、12年基準と比較して、17年基準では足元(直近年)の方がずいぶん小さくなっています。これは、固定資本減耗の計算方法を、定額法から定率法に変更したことが効いていて、支出系列に限って言えば、『時価』ということの影響は小さかったような気がします。

2011年12月25日 (日)

17年基準改定(支出系列)(3)

続いて、今回の基準改定を機に、新たに追加した概念についてです。

まずはFISIMなのですが、これは、正式名称は「間接的に計測される金融仲介サービス」と言いまして、その名の通り、金融仲介サービスを何とかしてSNAでも計上しようという試みから出ている概念です。

何をしようとしているかというと、これは、金融業の生み出しているサービスとは、具体的に「どれくらいの額なのか?」という疑問が根本にあるわけです。例えば、私が銀行に口座を持っていて、そこからお金を引出したり、逆に預けたりします。この時、私が銀行に払っているお金というと、たとえば時間外に引き出した時の手数料くらいです。では、銀行が生み出しているサービスは、その手数料だけで計測してしまってよいかというと、そんなことは無いわけです。

銀行は、私の預けている預金を、他の企業に貸し付けるなどし運用し、利息等を取っているのですが、この活動そのものも、サービスそのものです。こういったサービスを金融仲介サービスというのですが、この金融仲介サービスがいくらかというのを計測する手段がなかなかありません。

そこで、SNAでは、ざっくりいうと、「金融機関は、相対的に安い金利でお金を集めて、相対的に高い金利でお金を貸して利益を上げているのだから、運用利子率(貸出等の利子率)と調達利子率(預金等の利子率)の差額分を、金融仲介サービスの生産額であるとしましょう」ということなのです。

具体的な計算方法は公表資料を見ていただければと思いますが、こういった概念をJ-SNAでも導入したということになります。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/gaiyou/sakusei17/kijun_kaitei17.pdf

ただ、導入したというのも少し誤りで、12年基準でも、金融機関の生産額は、FISIMではなく、帰属利子という形で「生産」はされていました。ただ、今までは、それをすべて仮設部門の「中間消費」にしていたので、付加価値(GDP)への影響は出てきませんでした。

それが17年基準では、それを家計とかが最終消費支出するという形にしておりますので、GDPにも影響が出てきます。具体的には、FISIMのうち、最終消費(家計最終消費支出、純輸出、政府・非営利の中間消費)に影響が出てくる分だけ、GDPが増えることになります。

今回、FISIMを導入というのは、そういう意味で『導入』と言っているわけです。

2011年12月24日 (土)

17年基準改定(支出系列)(2)

続きまして、基準改定が支出系列に与える影響です。

まず、17年産業連関表を見てみます。

http://www.stat.go.jp/data/io/005index.htm

どの表でも良いのですが、とりあえず一番大きな表を見てみましょう。そこでは、「粗付加価値部門計」という項目があり、具体的には505.9兆円あるのが分かります。付加価値ですから、これがGDPに見えるのですが、産業連関表の場合、家計外消費支出というものがあり、これは具体的には企業が行っている消費支出なのですが、SNAではこれは中間消費扱いになります。ですので、それを粗付加価値から引いてあげる必要があります。

そうすると、家計外消費は16.8兆円ですので、引くと、489.1兆円になります。これが、「国内総生産(生産側)」という部分なのですが、SNAにおけるGDPと同じ概念になります。

一方で、12年基準におけるJ-SNAGDPは、2005暦年で501.7兆円でした。ですので、実際の額は少しずれるとしても、17年産業連関表を反映したことで、方向性としてはGDPの実額は減少する方向に行くということは想像できるのではないかと思います。

ということで、これが、『本来の意味での』17年基準改定反映の影響になります。

ただし、今回は、これに加えて、FISIMの導入、インハウス・ソフトウェアの導入など、多くの変更を行っています。次回以降は、それについても少し触れてみようと思います。

2011年12月20日 (火)

17年基準改定(支出系列)

QEの話も尽きてきましたので、今回のQEで反映した基準改定の話を少し。

まず、「基準改定とは何ぞや?」というところからです。

今回の事前アナウンスなどで、FISIMの導入とかインハウス・ソフトウェアの導入とかそういう特殊要因が先に出てしまっていたので、そういうものを入れるのが基準改定と思われてしまっている面があるのですが、本来的には基準改定とはそういうものではありません。

この場でも何度か書いたことがあると思うのですが、J-SNAにおける支出側の推計は、コモディティー・フロー法という推計方法による推計値が基礎となります。(コモディティー・フロー法が基礎であるのは、J-SNAに限ったものではなく、SNA全般的にそうですが。。。)

コモディティー・フロー法とは、2000品目以上の財・サービスごとに、その生産から利用までを流れでみるもので、

①ある財・サービスがこれだけ出荷されている

②この財・サービスは、これだけ中間消費され、これだけ設備投資され、これだけ家計で最終消費されるはず

として、それぞれの財・サービスごとの設備投資、家計最終消費支出などを推計し、それを合計してGDPを求めるという方法です。

では、②の「これだけ家計で最終消費されるはず」という「これだけ」はどのようにして求めるのでしょうか???

これは、J-SNAの場合は産業連関表を用いています。日本の産業連関表は、各国とは異なり、各産業の投入構造を直接聞いて(調査して)作成しています。投入構造を裏返す(縦でみていたものを横で見る)と、産出したものがどのように使われているかという見方ができます。

つまり、「何を投入して、何を算出したか」というのが完全に把握できれば、産出したものから、他の財・サービスの生産のために投入したものを除けば、残りは付加価値、すなわちGDPになるということです。そうすれば、生産したものについて、どれだけが中間投入に回り、家計消費に回り、また設備投資に回るのか、ということが、財ごとに比率が分かることになります。

J-SNAでは、コモディティー・フロー法による推計に、この産業連関表の比率を用いています。ただ、悲しいことに、この産業連関表は、大々的な調査を行うものですので、毎年は存在せず、5年に1度しかありません。具体的には西暦で末の数字が05の年、すなわち、2000年とか2005年になります。

今回は、「平成17年(2005年)基準改定」なのですが、それは、この産業連関表について、2005年のものを反映させたというものなのです。この基準改定までは2005年であっても、上記の配分比率は2000年の産業連関表のままでしたが、今回の基準改定でこの比率が2005年のものに大きく変わることとなります。

ですので、基準改定とは、基本的には、新しいものを追加するということではなく、産業連関表を反映するということが大きな目的なのです。ただ、その場合、過去に遡って大きく計数が変わるので、その際に、新しい概念を追加したりということも行えることから、今回、FISIMやインハウス・ソフトウェアを導入したりしたわけです。

ということで、まず、基準改定の概略についてでした。

※このような直接調査したものだから正しいのかという点については、主にアカデミックな立場の人からは異論もあるようです。私自身、日本のIOのあり方については、疑問が多々ありますが、それについては別の機会に書いてみようと思います。

2011年12月17日 (土)

PB

少し前にいただいていた質問について、お答えしておりませんでしたので、今回はそれについてです。

いただいた質問は、

プライマリー・バランスにおいて、受け取り利子も計算に考慮されているのはなぜでしょうか。(「プライマリー・バランス」=「純貸出()/純借入()」+「支払利子」-「受取利子」)教科書などをみると、支払利子のみをカウントしていることが多いようにおもいます。

というものです。

これについて、まず初めに触れなければいけないことがありまして、それは「SNAの体系の中で、プライマリー・バランスという表章項目(及びバランス項目)は存在しない」ということです。

あくまで、SNAにおける資本調達勘定(フロー編の最後の勘定です)におけるバランス項目は「純貸出(+)/純借入(-)」でして、大昔に日本では「貯蓄投資バランス」と言っていた項目になります。

では、なぜ、このような項目を出しているかというと、いろいろな分析などで、主要な指標として使われており、利便性が高いでしょうから、あくまで参考に出しているということになります。以前は出していなかったのですが、前回の12年基準改定から表章するようになっています。

公表値からも簡単に計算できる指標ですので、たぶん出てなくても支障はないと思うのですが、恐らく、SNAの確報の公表資料に表章してほしいという要望もあったのかと想像しています。

さて、簡単に計算できる指標ということで、その計算式なのですが、何度も繰り返すようにSNAではプライマリー・バランスという項目はありませんので、純利子を引くというような定義もありません。

そこで、財政関係の指標を定義しているIMFの方を見てみましょう。IMFの政府財政統計のマニュアル(Government Finance Statistics Manual 2001(以下「GFSM 2001」と書きます。))では、財政政策のための指標としていくつかの指標を出しているのですが、その中に、「Overall primary balance」という項目があります。

そこの説明では、「overall fiscal balance plus net interest expense」と書かれていて、ネットの支払利子を加えると書いています。すなわち、受取利子を控除し、支払利子を加えています。

ですので、基本的に本来の財政指標としてのプライマリー・バランスは、利子の純支払を加えるというのが正しいのだと思います。おそらく教科書などで出てくるこの指標は、「政府の代表的な利払いである、公債の利払い費を除いた政府支出の収支をみるもの」というような意味合いで使っているのでしょうから、支払利子のみをカウントしているのではないでしょうか?または、定義上は「net interest expense」なのですが、この「net」を省略しているのかもしれません。

ちなみに、「overall fiscal balance」は、SNAの「純貸出(+)/純借入(-)」とほぼ同じ指標なのですが、財政政策の指標として特化されている「GFSM2001」の目的からも、より財政政策チックな調整が加えられているようです。具体的には、SNAでは金融取引として計上される、公的企業への貸し付けや、公的企業の資産を売却して得た利益なども、ここには計上しなさい、ということになっていて、より、「財政政策のための指標」という感じです。

ご興味がある方は、原典をご参照ください

http://www.imf.org/external/pubs/ft/gfs/manual/

Chapter 4が該当部分になります。)

さらに、もう一つ質問が。。。

官僚は激務というイメージがありますが、統計に関わる方々はどれくらいの仕事量なのでしょうか(深夜までやることも?)。発表時に忙しくなるという季節労働者のような感じでしょうか。

統計に関わる人というといっぱいあるので一括りにはできないのですが、少なくとも私の担当している業務では、終電まで仕事をすることも多いです。また、土日に出てくることも少なくありません。(やることがありすぎでして。。。)

そして、発表時に忙しくなるというのもその通りで、そういう場合は、土日長めにやったり、朝早く来たりして、できるだけタクシーを使うことにはならないようにしています。(そうはいってもやむを得ないときもあるのですが。。。)

一般的に暇そうという印象もありそうですが、私が役所に入ってから、今の部署が正直一番大変だったと思います。(季節労働で、一部期間のみもっと忙しかったことはありますが、通年で総じてということだと、今の業務が一番忙しいと思います。)

正直、統計部局であるとはいえ、こういう現状になっているということは、あまりご理解いただけていないのだと思いますが。。。

2011年12月16日 (金)

7-9月期2次QE(6)

最後に年度の話です。

今回は、確報や基準改定を反映したことで、過去の四半期パターンが変わっています。そのためゲタも変わっています。具体的には、201010-12月期が上方改定となり、20111-3月が下方改定となったため、2011年度の発射台が下がっています。

ここ最近、確報が出た後のゲタの図を書いているので、今回もそれを書いてみます。

1

リーマンショック以降の過去3か年のゲタを見てみますと、まあ、1-3月期にいろいろあって、ここ数年、特徴のあるゲタばかりになっているという印象です。

2009年度については、リーマンショックにより1-3月期が大きく落ち込んだので、大きなマイナスのゲタ、2010年度は、リーマンショックからの復活で1-3月期が伸びたので、比較的大きなプラスのゲタ、そして、2011年度は、リーマンショックからの回復の途中での東日本大震災の影響で、マイナスのゲタ、という感じです。

こうしてみると、リーマンショック以降、ここ数年は、やっぱり動きが激しすぎたという印象があります。ですので、統計作成の立場からしても、この期間は非常に難しい時期だった、ということに、歴史的にみると振り返られるのでしょうか。。。

というわけで、今回のQEについてはこれくらいです。

基準改定の内容については、また別途、触れてみようと思います。

2011年12月15日 (木)

7-9月期2次QE(5)

季節調整の話になってしまったので、確報の反映の際に行われる季節調整モデル等の変更等についてです。

基本的に、連年通りの季節調整のモデル替え、ダミーの変更を行っています。基本パターンは、毎回「確々報暦年」までを範囲として、モデルやダミーの検索をしています。ただ、リーマンショック以来、足元に大きな動きがあった時は、それが確報期間やさらにQE期間(具体的には今回で言えば20111-3月期~7-9月期)であっても、ダミーやモデルの検索を行うことも行っています。

今回は具体的には、20111-3月期の東日本大震災の影響が季節調整値に影響が出ているかということが気になっており、とはいっても、今回の場合3月末に大きな影響が出た後、6月には回復基調になっていたので、QEのように四半期でみた場合、リーマンショックの時の財貨の輸出入のような大きな影響は出ていません。ただ、四半期末のストックの差でみている民間在庫品増加だけはダミーが検出されるのではないかと、念の為足元まで伸ばして検索してみました。

結果としては出なかったのですが、来年以降、期間が伸びたら検出されることになるかもしれません。

更に、財貨の輸出入等のrampダミーを入れている系列について、リーマンショック後の急回復にも入れられるか検討しましたが、入れない方が当てはまりが良かった(AICが低い)ので入れませんでした。

ただ、今回は基準改定で系列が変わっており、これ以外でダミーの追加や見直しが少しだけあります。それは、非耐久財にLS2008.4が、名目だけ入っている点です。

この時はリーマンショック直前なのですが、この年の夏まで原油価格が過去最高の高値を付けていたのですが、年末に一気に下落しているのです。そのため、ガソリンなどが含まれる非耐久財が名目の落ち幅が大きくなっています。その影響で、名目だけダミーが検出されたことから、今回名目だけ導入しています。

それ以外に、民間住宅と形態別の住宅について、AO2007.4を今まで入れていたのですが、TC2007.4に変更しています。

モデル変更についてはこれくらいなのですが、細かい話としては、X12.ARIMAのバージョンを新しいものに変更しました。これ自体は恥ずかしい話なのですが、内閣府のシステム(いわゆる『レガシーシステム』というやつです)が、X12について、出た当時のバージョンで組み込んでしまい、バージョンアップに一切対応できていませんでした。ただ、今回、基準改定を機に、季節調整をそのシステムから外に出してしまいました。そのため、バージョンを新しいものに代えることができるようになりました。

どういうわけか、X12もバージョンの変更の影響は大きいようで、結構大きく変更となっています。変更というより、今までよりも滑らかな系列になっているので、明らかに季節調整がうまくかかっているように見えます。そう考えると、X12も、日々改良されているんだなぁという感じです(笑)

2011年12月13日 (火)

7-9月期2次QE(4)

つづいて外需です。

外需は寄与度でみて0.4%から0.6%に上方改定となりました。

内訳を見てみると、

輸出 7.3% (16.2%

輸入 3.5% (13.4%

という形でして、輸出の上方改定が大きく改定したという感じです。

輸出入は、名目値はBOPを使っているので基本的には変わらないのですが、確報を反映することで、財の構成割合が変わります。その代わった割合の財ごとにデフレーターを当てて実質化するので、実質は変わります。

更に、今回は17年基準改定で、過去に遡ってデフレーターも構成割合も変わっています。これに季節調整をかけることで、輸出、輸入ともに変わっています。そのため、外需寄与度で0.1%の上方改定ということになりました。

内需が0.2%の下方改定でしたので、外需と合わせて、1.5%から1.4%へと下方改定になりました。

7-9月期についてはこれくらいですが、少し季節調整について入ってしまったので、次回はそれについてもう少し。

2011年12月12日 (月)

7-9月期2次QE(3)

引き続き民需です。

民間在庫品増加については、これは、0.2%から0.3%に上方改定になりました。仕掛品と原材料在庫について、1次のARIAM予測と比較して、仕掛品在庫は上方改定になりました。一方で、原材料在庫は下方改定だったのですが、それ以外にも、製品在庫も流通在庫も基礎統計の確報(IIPと商業販売統計)の反映があり、それが上方改定に効きましたので、全体として上方改定になっています。

民間住宅は、1QE5.0%から5.2%へとわずかに上方改定となりました。これらを総合して、民間需要は1.4%から1.1%へ下方改定となりました。

続いて公需です。

公的固定資本形成は、▲2.8%から▲1.0%へと上方改定になりました。これは、建設総合統計の3か月目を反映したことが影響しています。

公的固定資本形成については、特に17年基準改定の反映に当たって、特徴的な処理をしているので、それについてはまた追って書いてみようと思います。ただ、足元の上方改定は、この建設総合統計の9月分の反映というのが大きいようです。

そして、政府最終消費支出は、0.4%から0.2%へとわずかに下方改定になりました。これは22年度確報を反映したことが主に影響しているのですが、22年度確報では17年基準改定と基準が変わっており、その際、固定資本減耗の推計方法を変更しています。これにより、足元の減耗の伸びが相当押さえられており、1QEと比較して足元の伸び率が下がっています。

こういったことが影響して、政府最終消費支出はわずかに下方改定でした。

これらを合わせて公需は、▲0.1%から0.0%へとわずかに上方改定でした。

そして、民需と公需を合わせた内需は、1.0%から0.8%へと下方改定になっています。

2011年12月11日 (日)

7-9月期2次QE(2)

はじめに、民需から見ていきましょう。

まずは、今回の2次QEで一番注目されたであろう民間企業設備投資からです。1.1%から▲0.4%と、前回に続いて下方改定となりました。これは、法人企業統計の設備投資が大きな落ち込みとなっており、これを2次QEで取り込んだためです。

4-6月期もそうだったのですが、生産動態統計等で推計した1QEではプラスだったものが、法季を反映してマイナスになるという形です。最近、生動(及びそれを用いているIIP)と法季の動きのズレが目立ちます。どちらが正しいのかという疑問もありますが、結果は、来年の確報(又は、今年実施する産業連関表)を見てみるしかないかなぁ、という感じです。

そして、供給側の推計値も、生産動態統計の9月や特定サービス産業動態統計の9月が入りますので、改定されるのですが、この供給側の推計値が下方改定となっています。特に、特サビを使っている、ソフトウェアも下方改定となっていまして、それも相まって、下方改定幅が4-6月期よりも大きくなっています。そう考えると、1次の供給側もやや高かったのかもししれません。

そもそも、需要側と供給側で動きが反対方向という現状はどうにかしてほしいところですが。。。

引き続き、民間最終消費支出です。

こちらは1.0%から0.7%に下方改定です。▲0.3%の下方改定に見えますが、実際は端数があり、▲0.2%の下方改定です。

形態別に見てみると、

 耐久財 6.5% (18.4%

 半耐久財 1.6% (10.8%

 非耐久財 ▲0.4% (1次 ▲0.5%

 サービス 0.2% (10.6%

ですので、耐久財の下方改定幅と、ウェートの大きなサービスの下方改定が効いていることが分かります。

耐久財の下方改定は、主に自動車で、これは生動の3か月目というより、商業販売統計の確報を反映した流通在庫で、自動車が上方改定になったことが原因です。

一方で、サービスの下方改定は、前回も少し書きましたが、レクレーション・スポーツサービスなどが原因でして、これは、特サビの3か月目反映です。

ただ、下方改定と言っても、自動車やサービスが伸びていることには変わりはないので、1次とそれほど見方が変わるものではないのではないかと思います。

というわけで、次回も引き続き民需を見てみます。

2011年12月10日 (土)

7-9月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html

79月期の実質季節調整済前期比は1.4%で、1次QEからわずかに下方改定となりました。ちなみに、1次QEは1.5%でしたから、▲0.1%の下方改定です。

ただ、過去の改定で、10-12月期がマイナスからプラスに改定しているため、3期ぶりのプラス成長ということになります。

過去については、今回は7-92次ですから、例年通り確報の取り込みがありました。さらに、今年は17年基準改定も反映しています。その確報反映等については、QEの後に別途書くこととして、とりあえずは7-9月期についての概略です。

内外需でみると、内需0.8%、外需0.6%ということで、内需の方が強いという構図は変わりませんが、1次は内需1.0%、外需0.4%でしたので、ややその差が縮まったという感じです。

内需が下がった要因は、主に民間企業設備で、これは法季の反映等が影響しています。さらに、民間企業設備も下方改定となっています。これは、確報の反映の影響もあるのですが、特サビ関係で推計している項目が下方改定となったということが影響しています。

特サビは、3か月目(今回で言うと9月)の数字が入らないので、1QEでは補外推計して使っているのですが、その値が実際よりも高すぎたということです。具体的には、レクレーション・スポーツサービスなどですので、遊園地やスポーツ観戦などです。

一方で、民間在庫品増加は、法季の反映で特に仕掛品在庫が上方改定となり、他にも入り繰りがあったのですが、全体として上方改定となりました。そして、建設総合統計の9月分を反映した公的固定資本形成も上方改定となりました。

とはいえ、下方改定項目の下げ幅の方が大きく、内需では▲0.2%の下方改定となりました。

一方で、外需は輸出、輸入ともに上方改定となったのですが、輸出の上方改定幅が大きく、外需としては全体として0.1%の上方改定でした。これは、確報や基準改定で過去に遡ってデフレーターが改定された上で、季節調整をかけなおしたことが影響しています。

※季節調整については、いろいろと改善もありましたの、それは別途基準改定の説明のところで書こうと思っています。

さて、全ての項目を見てみますと、

GDP 1.4% (1次 1.5%)

民間最終消費支出 0.7% (1次 1.0%)

民間住宅 5.2% (1次 5.0%)

民間企業設備 ▲0.4% (1次 1.1%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.3) (1次 (0.2)

政府最終消費支出 0.2% (1次 0.4%)

公的固定資本形成 ▲1.0% (1次 ▲2.8%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 7.8% (1次 6.2%)

輸入 3.5% (1次 3.4%)

という形になりました。

※ 本日、実質の季節調整系列について、2004暦年以前の差し替えを行いました。季節調整系列実質の基準年(2005暦年)以後や原系列や年度、暦年には影響はありません。過去の四半期の計数ですので、おそらく、この計数を使って経済分析をされるような方には、特にご迷惑をおかけしてしまったかと存じます。本当に申し訳ありませんでした。以後、このようなことが無いよう、再発防止を徹底してまいります。

2011年12月 7日 (水)

現実消費と消費支出(6)

前回までで、『政府最終消費支出』について細かく考えてみました。これでようやく、「消費支出」と「現実消費」の区別について解説する下地が整いました。(長いお話にお付き合いいただきありがとうございました(笑))

消費支出とは、「誰がその消費のための『対価を支払ったか』」に着目した概念であり、現実消費とは「誰が実際にその消費を行ったのか」に着目した概念です。

ですので、一番わかりやすい例で考えると、前回のテーマだった「現物社会給付」すなわち、「市場生産者が生産する消費財・サービスであり、かつ直接家計に対して提供されるものに対する政府の最終消費支出」は、

 ○対価を支払ったのは政府

 ○実際に消費を行ったのは家計

という典型例です。

つまり、「現物社会給付」の部分は、

①消費支出でみると「政府最終消費支出」

②現実消費でみると「家計現実最終消費」

となります。では、これ以外に、対価を支払う部門と、実際に消費を行う部門が異なっている例はないでしょうか?たとえば、国公立学校で行う教育は、授業料を取っているとはいえ、明らかにそれだけで賄えているとは思えません。ですので、その差額分は、明確に「政府最終消費支出」です。が、実際に消費しているのは、学校に通っている学生、生徒、児童であると思われますし、その消費している対象を特定することもできます(この場合は明らかに家計です。)。

一方で、実際に消費を行う部門が異なっているとはいえ、それが警察業務になった場合、その警察サービスを消費しているのはだれでしょうか???家計かもしれませんし、企業かもしれません。そもそも、政府も消費しているかもしれません。

というわけで、政府による生産に対する自己消費についても、2つの区別ができそうです。すなわち、前者の学校教育のように「個々の家計の便益のためのサービスに対する消費支出」と後者の警察のように「社会の大きな部分の便益のためのサービスに対する消費支出」の2つということになります。J-SNAでは、前者のことを「個別消費支出」、後者のことを「集合消費支出」と呼んでいます。

そして、このうち「個別消費支出」については、

 ○対価を支払ったのは政府

 ○実際に消費を行ったのは家計

ということになりますので、現実消費と消費支出で計上方法が異なってきます。つまり、

①消費支出でみると「政府最終消費支出」

②現実消費でみると「家計現実最終消費」

ということです。

これをまとめると、

 政府最終消費支出 = 政府集合消費支出 + 政府個別消費支出 + 現物社会給付

 政府現実最終消費 = 政府集合消費支出

となります。

そして、最後に付け足しなのですが、このように自ら生産したサービスを自己消費していると擬制しているのは、政府だけでなく「対家計民間非営利団体」も同じです。ですので、対家計民間非営利団体にも、現実消費と消費支出の違いがあるのですが、SNAでは、非営利についてはすべて「個別消費支出」とされていますので、非営利には現実最終消費というものがありませんで、すべて「家計」に行きます。

ということで、まとめると、

 家計現実最終消費 = 家計最終消費支出

+ 政府個別消費支出 + 現物社会給付

+ 非営利最終消費支出(=非営利個別消費支出)

となります。

というわけで、長々と書いてしまいましたが、現実消費と消費支出の違いについてでした。

2011年12月 4日 (日)

現実消費と消費支出(5)

前回までで、商品・非商品販売まで書きました。ここまで、政府最終消費支出の項目を見てきて、以下のような整理ができるのではないかと思います。

○ 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税+ 固定資本減耗

  ⇒「政府が生産したもののうち、政府が自分で最終消費支出している部分」

○ 商品・非商品販売 

  ⇒「政府が生産したもののうち、『政府以外』が最終消費支出している部分」

ここまでは、すべて「政府が生産したもの」についてのみが対象となっています。では、「『政府以外』が生産したもの」について、政府は最終消費支出していないのか?ということが疑問になってきます。

そして、その「『政府以外』が生産したもの」の政府による最終消費支出が、次の「現物社会給付」になります。

現物社会給付とは、実際は、ほとんどが医療と介護の現物給付部分になるのですが、定義上は、「(政府以外の)市場生産者が生産する消費財・サービスであり、かつ直接家計に対して提供されるものに対する政府の最終消費支出」です。ここで、最終消費支出というわけですから、政府はその消費財・サービスについては何も加工を加えず、ただ単にお金を支払うだけしかしません。

例えば、医療について考えると、日本の場合、7割が保険で支払われ、自己負担は3割です。そして、その医療行為というサービスを生み出している病院は、市場生産者ですから、このうち7割の保険負担部分は、「市場生産者が生産する消費財・サービスであり、かつ直接家計に対して提供されるものに対する政府の最終消費支出」そのものですから、こういったものが「現物社会給付」になります。すなわち、

○ 現物社会給付

  ⇒「市場生産者が生産したものについて、政府が最終消費支出している部分」

となります。

こうして、政府最終消費支出については、

 政府最終消費支出 = 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税

          + 固定資本減耗 - 商品・非商品販売 + 現物社会給付

となり、これは、

 ①政府が生産したものの自己による最終消費支出(プラス)

 ②政府が生産したものの「政府以外」による最終消費支出(マイナス)

 ③「政府以外」が生産したものの政府による最終消費支出(プラス)

と整理できます。

2011年12月 3日 (土)

現実消費と消費支出(4)

続いて商品・非商品販売です。

商品・非商品販売とは、「政府が生み出したサービスのうち、明確にその対価として受け取った価額」とでも考えていただければ良いと思います。

具体例としては、国公立学校の授業料とか、住民票の発行に当たって取る手数料とか、国公立でやっている博物館の入場料とか、国や都道府県が直轄でもっている空港の使用料とか、下水道の利用料とかそういったものです。で、これらは、家計が支払った場合は家計の「最終消費支出」に、企業が支払った場合は企業の「中間消費」に計上されます。

一度、以前の考え方に立ち返っていただきますと、

 『そこで、SNA体系上は、「政府が生み出した生産のうち明確に対価が支払われていない部分については、『政府が自己消費』しているものと擬制する」ということになっています。』

と書きましたが、このうち、『明確に対価が支払われている部分』が、商品・非商品販売になります。

(この「商品・非商品販売」という言葉も古臭くて、商品=財、非商品=サービスのことのようなのですが、それなら「政府による財、サービスの販売額」とかすればいいじゃないかと思ってしまいます。ただ、この「商品・非商品販売」という言葉が固有名詞になってしまっているので、とりあえずはこの言い方にせざるを得ないのかと。。。)

で、明確に対価が支払われている部分は、政府の産出額の内でも、誰かが使っているわけですから、「政府が消費支出していると『擬制』する」必要がありません。したがって、商品・非商品販売は「‐(マイナス)」となっているわけです。

2011年12月 2日 (金)

現実消費と消費支出(3)

雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税 + 固定資本減耗

の続きです。上記の項目は「政府の生産額」であることまで前回書きました。なぜ、政府最終消費支出に「政府の生産額」が出てくるかと言いますと、「生産されたものは、誰かが使っている(消費支出)はず」という考え方が背景にあります。

政府以外の部門でみると、たとえばトヨタが日本国内で生産した車は、家計の消費支出という形か、海外への輸出という形か、それとも企業の営業車等という形で固定資本形成かわかりませんが、いずれかの形で「使われて」います。

では、政府が生み出した産出(警察とか、立法措置とか、市役所での書類登録などを考えてみてください)についても、誰かが使っていなければいけません。ただ、この警察とか立法措置とかって、誰が使っているのでしょうか???

家計というわけにもいかないし、企業が全部使っているわけでもありません。そもそも、税金として受け取ったお金をもとにこれらのサービスを生み出しているわけで、「誰が払っている」という関係性すらよく分かりません。

そこで、SNA体系上は、「政府が生み出した生産のうち明確に対価が支払われていない部分については、『政府が自己消費』しているものと擬制する」ということになっています。これが「政府最終消費支出」のうち、

雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税+ 固定資本減耗

になります。

こうやって考えると、前回、『政府の営業余剰は常にゼロ』といった理由が分かってきます。というのは、通常の財(前回も出てきたトヨタの車など)では、産出額は「いくらで売れたか」という市場評価ができますが、政府の場合は、「いくらで売れたか」という評価ができませんから、(仕方なく)コスト積み上げ、つまり「その生産のためにいくらかかったのか」という観点で評価せざるを得ません。

そこで、実際にかかった

雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税+ 固定資本減耗

で評価しているわけです。ところが、営業余剰とは、概念上、

 営業余剰 = 生産額 -(雇用者報酬 + 中間投入

 + 生産・輸入品に課される税+ 固定資本減耗)

です。ですから、政府の場合は、右辺の生産額とカッコ内が常に等しいわけですから、『営業余剰は常にゼロ』となるわけです。

 政府最終消費支出 = 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税

          + 固定資本減耗 - 商品・非商品販売 + 現物社会給付

のうち、右辺の4つ目の項目までの説明までようやく終わりました。あとの2つと、本題の消費支出と現実消費の違いについては、まだまだ続きます。

2011年12月 1日 (木)

現実消費と消費支出(2)

前回の続きでして、もう一つ問い合わせをいただいておりました。その内容は、

GDP統計における政府最終消費支出と政府現実最終消費の違いは何でしょうか。家計についても分けていますが。

ということでした。

この現実消費と消費支出の区別は、93SNAの大きな特徴でして、簡単に言ってしまうと、『消費のためにお金を出した部門がどこか(消費支出)、ということと、実際に消費した部門がどこか(現実消費)、ということを厳密に区別すること』ということになります。

具体例を挙げる前に、まず、「政府最終消費支出」とは何かということから考えてみましょう。よく、政府最終消費支出の内訳として、

 政府最終消費支出 = 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税

          + 固定資本減耗 - 商品・非商品販売 + 現物社会給付

と書かれます。これが何を意味しているか考えるために、「商品・非商品販売」と「現物社会給付」を除いてみます。すると、

 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税+ 固定資本減耗

となります。これに、ひと工夫(営業余剰を加算)してみます。すると、

生産額 = 雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税

+ 固定資本減耗 + 営業余剰

と、生産側からみた、生産額の構成要素そのままです。つまり、

  雇用者報酬 + 中間投入 + 生産・輸入品に課される税 + 固定資本減耗

の部分は、「政府の生産額から営業余剰を控除したもの」ということになります。はじめに結論を言ってしまうと、『政府の営業余剰は常にゼロ』です。ですので、この部分は、『政府の生産額』となります。

では、なぜ「政府最終消費支出」に『政府の生産額』が出てくるのか、ということについては次回また。

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