« 17年基準改定(支出系列)(4) | トップページ | 純貸出(+)/純借入(‐) »

2011年12月28日 (水)

17年基準改定(支出系列)(5)

そして、育成資産ですが、これは、肉牛など「一回限りの産出物を生産する動植物」について、産出するまでの期間は、仕掛品在庫として計上するということなのですが、その推計方法を、「実際に今回これだけ出荷されたのだから、過去はこれだけ仕掛品在庫として存在していたはずだ」と考えて推計する方法に代えたということです。

(ということは、逆算的に計算することとなるため、将来値は予測になるわけで、次の基準改定で実際の値が分かった後で遡ることになるという、構造になっています。今後、これも基準改定の改定内容の一つになるということでしょうか。。。。)

最後は、実額にあまり影響する部分ではないのですが、公的部門の格付けの見直しです。これは、今まで公的部門に格付けする基準が、国際基準と比べて限定的であると言われており、それを17年基準ではより国際基準に合った形としました。

そのため、たとえばNTT3社とかが、民間企業から公的企業に変更となったため、支出系列で言うと、今まで民間企業設備に入っていたものが、公的固定資本形成に入るようになりました。ただ、一国全体での総固定資本形成額には影響はありませんが。。。

なお、完全に蛇足ですが、公的部門の格付けについては、個人的に一家言あります。というのは、私は、今の部署の前に、会社法の親会社、子会社関係の規定を勉強する機会があって、その時に「その経営を支配している」というものについて、いろいろ調べたということも影響しています。

よく、公的部門の格付けについて、12年基準は「所有かつ支配」だったのが、「所有又は支配」に変わった、というような言い方をしています。これは、会社法(世界中でも一般的なルールですが)における、親会社、子会社規定の考えを誤解させる言い方だと思います。

会社法では「その経営を支配している」と言いますが、英語では「general policyを支配している」ということが、親会社と子会社の関係の定義です。「財務諸表規則」(内閣府(金融庁)所管)というのがあるのですが、そこでは「財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)」となっています。

これは何を言っているかというと、結局のところ、株式会社における株主総会を支配しているかどうかということになります。では、なぜ、株主総会を支配していると子会社かというと、株主総会は、代表取締役、取締役といった経営者の選任権を持っているからなのです。

そう考えると、結局のところ、この「●●を支配」というのは、取締役の首根っこをつかんでいるかどうかを見る、という考えが背景にあるわけです。具体的に、その会社の経営の実務を行っているのは、株式会社では取締役会です。そして、その取締役会の過半数を握れば、その会社の経営を支配できます。こういう状況になれば、「親会社と子会社の関係」にあると考えられるわけです。

その点、株主総会を支配しているというのは分かりやすくて、すべての取締役の選任権を有してきます。そして、株主総会を支配するためには、過半数の株式(議決権あり)を持っていればいいわけです。

が、今の考え方を背景にすると、会社の支配形態は、別に株式を過半数持たなくても、何らかの形で、取締役会を操れればいいわけです。特に政府の場合は、取締役全員の認可権を持っていたりするので、そういった形での支配も十分あり得ます。

そう考えると、過半数の株式を保有しているという「所有」という形態は、あくまで「支配」の一形態であり、「所有又は支配」という形で並列的に並べるのはおかしな感じがします。

なお、どのような状況であればgeneral policy、委員会設置会社以外の株式会社の場合は取締役会ですが、これを支配しているとみるかは、状況によって変わってくる、非常に線引きの難しいものです。ですので、おそらく、国際的に「かっちり」と決まっているようなルールは無いと思います。(日本の会社法、財務諸表規則は、かなり厳密に決めている方だと思います。)

このような状況で、J-SNAでは、この「general policyの支配」を、①株式の所有による支配、とその他の支配として②取締役会構成員の選任権を有しているか(これはあくまで委員会設置会社以外の株式会社の例で、法人形態によっては、取締役会が実質ひとりということも有り得て、その場合はその人の選任権を有しているかということだけが判断基準になります。)、という2つで決めることとした、ということが、今回の公的格付けの見直しの内容なのです。

ですので、私の考えでは、「所有、またはその他の形式による支配」というのが正確だと思っています。

というわけで、一部ややどうでも良いことまで書いていしまいましたが、今回の基準改定における、新概念等の内容についてでした。

« 17年基準改定(支出系列)(4) | トップページ | 純貸出(+)/純借入(‐) »

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/559179/53592216

この記事へのトラックバック一覧です: 17年基準改定(支出系列)(5):

« 17年基準改定(支出系列)(4) | トップページ | 純貸出(+)/純借入(‐) »

無料ブログはココログ
2016年8月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31