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2011年12月20日 (火)

17年基準改定(支出系列)

QEの話も尽きてきましたので、今回のQEで反映した基準改定の話を少し。

まず、「基準改定とは何ぞや?」というところからです。

今回の事前アナウンスなどで、FISIMの導入とかインハウス・ソフトウェアの導入とかそういう特殊要因が先に出てしまっていたので、そういうものを入れるのが基準改定と思われてしまっている面があるのですが、本来的には基準改定とはそういうものではありません。

この場でも何度か書いたことがあると思うのですが、J-SNAにおける支出側の推計は、コモディティー・フロー法という推計方法による推計値が基礎となります。(コモディティー・フロー法が基礎であるのは、J-SNAに限ったものではなく、SNA全般的にそうですが。。。)

コモディティー・フロー法とは、2000品目以上の財・サービスごとに、その生産から利用までを流れでみるもので、

①ある財・サービスがこれだけ出荷されている

②この財・サービスは、これだけ中間消費され、これだけ設備投資され、これだけ家計で最終消費されるはず

として、それぞれの財・サービスごとの設備投資、家計最終消費支出などを推計し、それを合計してGDPを求めるという方法です。

では、②の「これだけ家計で最終消費されるはず」という「これだけ」はどのようにして求めるのでしょうか???

これは、J-SNAの場合は産業連関表を用いています。日本の産業連関表は、各国とは異なり、各産業の投入構造を直接聞いて(調査して)作成しています。投入構造を裏返す(縦でみていたものを横で見る)と、産出したものがどのように使われているかという見方ができます。

つまり、「何を投入して、何を算出したか」というのが完全に把握できれば、産出したものから、他の財・サービスの生産のために投入したものを除けば、残りは付加価値、すなわちGDPになるということです。そうすれば、生産したものについて、どれだけが中間投入に回り、家計消費に回り、また設備投資に回るのか、ということが、財ごとに比率が分かることになります。

J-SNAでは、コモディティー・フロー法による推計に、この産業連関表の比率を用いています。ただ、悲しいことに、この産業連関表は、大々的な調査を行うものですので、毎年は存在せず、5年に1度しかありません。具体的には西暦で末の数字が05の年、すなわち、2000年とか2005年になります。

今回は、「平成17年(2005年)基準改定」なのですが、それは、この産業連関表について、2005年のものを反映させたというものなのです。この基準改定までは2005年であっても、上記の配分比率は2000年の産業連関表のままでしたが、今回の基準改定でこの比率が2005年のものに大きく変わることとなります。

ですので、基準改定とは、基本的には、新しいものを追加するということではなく、産業連関表を反映するということが大きな目的なのです。ただ、その場合、過去に遡って大きく計数が変わるので、その際に、新しい概念を追加したりということも行えることから、今回、FISIMやインハウス・ソフトウェアを導入したりしたわけです。

ということで、まず、基準改定の概略についてでした。

※このような直接調査したものだから正しいのかという点については、主にアカデミックな立場の人からは異論もあるようです。私自身、日本のIOのあり方については、疑問が多々ありますが、それについては別の機会に書いてみようと思います。

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