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2011年11月

2011年11月29日 (火)

現実消費と消費支出

いろいろ質問をいただいていたのに、まったくメールを見ておらず気づきませんでした。大変失礼しました。

まとめて回答してみようと思います。

(所得支出勘定のうち雇用者報酬、中間投入、営業余剰等への分配についての記事に対して)上記の記載は、http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kekka/h21_kaku/21i11_jp.xlsに該当する部分ですね。

ご指摘の通りです。所得支出勘定というのは3面等価のうち分配側の概念なのですが、この記述の箇所である「所得の発生勘定」では、スタートである付加価値(=GDP)がどのように配分されているかということがあらわされています。ここにも書いてある通り、具体的には、

 付加価値 = 雇用者報酬 + 中間投入 + 生・輸税 + 営業余剰

 + 固定資本減耗

となります。

続いて、

(所得の発生勘定より後の、移転取引までの記述に対して)こちらは、

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kekka/h21_kaku/h21_kaku_top.htmlにおける「第1次所得の配分勘定】と「 所得の第2次分配勘定」になりますね。

これもその通りです。ここまでで、「所得の発生勘定」、「第1次所得の配分勘定」、「所得の第2次分配勘定」の3つの勘定が出てきました。これをおおざっぱに区別すると、

 ①所得の発生勘定  : 生み出された付加価値をどのように配分しているか見るもの

 ②第1次所得の配分勘定 :①に加えて、利子や賃貸料などの財産所得の受け払いを考慮したもの

 ③所得の第2次分配勘定 :②に加えて、対価を得ない一方的な取引である「移転取引」を考慮したもの

というようになるかと思います。

なお、参考までに、所得支出勘定の最後は、③までで得ることができた可処分所得をどのように使っているかという、「所得の使用勘定」で完結します。そして、『可処分所得-最終消費支出』で定義される「貯蓄」が最後のバランス項目として出てきます。

さてここで、「現物所得の再配分勘定」なる勘定があります。これはなんだろうかという気がしてきますが、これは、実はもう一つの質問である、「最終消費支出」と「現実最終消費」の区別に関連してきます。

おおざっぱにいうと、お金の出しては違うけど、実際に消費しているのは家計であるもの(医療や介護の保険負担分など)について、これも消費支出したとみなした場合の可処分所得を見てみましょう!ということです。

この点は、前述のとおり、もう一つの質問にも関連してきますので、詳細は次回以降に少し詳しく書いてみます。

2011年11月27日 (日)

Q-SNAの公表日と改定について(4)

アメリカの20111-3月期の改定の話の続きです。

まず、今回の20111-3月期の改定要因をみるため、項目別の寄与度を比較してみてみました。左がthird estimateで、右が『4-6月期の』advance estimateです。(ちなみに、アメリカなので前期比年率です。)

GDP          1.9   0.4

民間消費支出     1.52  1.47

民間総資本形成    1.46  0.47

うち総固定資本形成 0.16  0.15

うち在庫品増加   1.31  0.32

純輸出        0.14 ▲0.34

 うち輸出      0.97  1.01

 うち輸入     ▲0.84 ▲1.35

政府支出      ▲1.20 ▲1.23

ということで、輸入もずいぶん変わっていますが、圧倒的に在庫品増加です。

では、この改定について、公表資料で解説していることを見ると、基本的には20082010年についての改定要因が多く書かれていまして、20111-3月期についての改定はほとんど書かれていません。

ただ、いくつか書いていることは、P9当たりに、

 ○追加データとして連邦政府の財政データが20102011年と書かれている

 ○20111-3月期について、民間最終消費支出のうち、portfolio managementinvestment advice servicesに基礎統計が反映されている

ということくらいで大きな改定要因に見える、民間在庫品増加の要因は見つかりません(笑)。

ということで、以上についての私の感想は、

 ○アメリカも予測を大胆に取り入れて推計しているので、改定はある

 ○ただ、改定が翌期にこっそりとやって、しかも、その理由もあまり説明していないので、目立たないだけ

 ○更に、それについて「推計方法がおかしいんじゃないか」とか、大騒ぎするような雰囲気はない

ということなのかなというくらいです。

※ただ、今回は、1.5%改定したといっても、前期比年率ですから、前期比でみたら0.4%くらいですので、それほど大きくないという考え方もありますが。。。

ということで、今回はこれくらいで終わらせたいのですが、当初の「公表タイミング」の話に戻ると、一点だけ抜け落ちている論点があります。

今回は、先進国に限っているのですが、実は、それ以外の国で公表日が早い国があるのです。それは、中国、韓国、台湾、シンガポールあたりです。

これらの国が、なぜここまで早く出せるのかというのは非常に疑問なのですが、私もこのあたりについての情報は見つけられなくてよく分かりません。これらの国の担当者と合うような機会があったら、聞いてみようと思いますが、もしご存知の方がいらっしゃったら教えてください。

(ただ、中国の公表日は1018日なのですが、ほんとにこんなタイミングで出せるのか?と疑問になります。また、ここ3四半期、前年同期比が縮小傾向にあるのですが、季節調整済み前期比が常にプラスとなるなど、季節調整もどうやっているのか、いろいろと疑問が出てしまいます(笑)まあ、常に前期比で増加傾向なので、そういうこともあありえるのですが。。。)

※ この内容のうち、アメリカの1-3月期の改定については、H主任研究員からアイディアをいただきました。非常に面白い話をご教示いただきましたH主任研究員にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

2011年11月26日 (土)

Q-SNAの公表日と改定について(3)

アメリカGDPの謎の続きです。

アメリカの方が、大胆に予測でGDPを推計しているのに、改定となると日本ばかり言われるということが、今までずっと不思議でした。そこで、今年1-3月期のアメリカのGDPが大きく改定したと聞きまして、少し調べてみました。

まず、アメリカの四半期別GDPは、前述のとおり、advance estimate ⇒ second estimate ⇒ third estimateとして出されるのですが、今年分の四半期別GDPの公表資料は以下のURLのところに掲載されています。

http://www.bea.gov/newsreleases/news_release_sort_national.htm

これから見ていたのですが、今年の1-3月期のGDPですが、

advance estimate 1.8%

second estimate 1.8%

third estimate 1.9%

です。ほとんど改定していません。

ところが面白いことに、4-6月期のadvance estimateでは、0.4%になっているのです(笑)。

まったく、ずるいというか、悪賢いというのかなんというのかという感じですが、「翌期になって改定か~」という感じです(笑)

ただ、今回の4-6月期のadvance estimateでは、2003年から20111-3月期までの遡及改定があったと書いてありますので、それでもってこの改定を言うのはフェアではないと思いますので、その内容を細かく見てみようと思いますので、それについてはまた次回。

2011年11月23日 (水)

Q-SNAの公表日と改定について(2)

前回は先進国のQ-SNAの公表日について書き、そのうち、アメリカとイギリスが突出して早いということも書きました。

ただ、昨日書いた通り、イギリスは、突出して早く出しているのは生産側で、支出側などはもう少し遅くなるという状況にあります。

では、もう一か国のアメリカについてどうなるかというと、これは、イギリスより早い10月中に、支出側で出ています。今回の7-9月期で言うと、1027日に出てしまっています。

日本では、IIPCPI等の9月分の公表が28日でしたから、これより早く出してしまっているということになります。(といっても、アメリカのIIPは、1017日に出ており、これ自体も日本より2週間程度早いのですけど(笑))

とはいえ、統計が公表されていないことには変わりはありませんで、それでは、どうしてこういうことが可能なのかということを知りたいのですが、アメリカのGDPNIPAという独自基準でだしているのですが、NIPAの推計方法は、日本よりもブラックボックスだと言われているくらい情報がありません(笑)

ただ、NIPAのハンドブックが出されていますので、それを虚心坦懐に見てみると、以下のような記述があります。(以下のURLP3-7あたりです。)

  The advance quarterly estimate of GDP is released near the end of the month that follows the close of the reference quarter. For most of the product-side components, the estimate is based on source data for either 2 or 3 months of the quarter. In most cases, however, the source data for the second and third months of the quarter are subject to revision by the issuing agencies. Where source data are not available, the estimate is based primarily on BEA projections. For an example of how this information is provided in the Survey of Current Business, see the box “Summary of Source Data for the Advance Estimates of GDP” on page 8 (which was adapted from “GDP and the Economy” in the August 2008 Survey).

http://www.bea.gov/national/pdf/NIPAhandbookch1-7.pdf

前提知識として、アメリカのGDPは、advance estimate ⇒ second estimate ⇒ third estimateとして出されています。そして、上記の記述はadvance estimateのことを書いているのですが、下線の部分に書いてあるように、『基礎データが存在しない場合は、BEA(米国のGDP推計部署)の予測に依っている』、ということなのです。

つまり、基礎統計が存在しない部分は、勝手に予測して出してますよ、というのがアメリカのスタイルで、これを大々的にやっているので早く公表できるということなのです。

ただ、重要な基礎データが一部使えないということだと、日本も負けていませんで、1QEで四半期別法人企業統計が使えないという問題があります。ですので、日本でも、法人企業統計が使えない1QEでは、民間企業設備は、供給側の情報を用いた時系列モデルで、民間在庫品増加は純粋に時系列モデルで推計しています。(いずれも季節調整を行うARIMAモデルを用いています。)

※ちなみに、日本では、この推計方法すらも公表しているのですが、アメリカで、BEAの予測方法を公表しているということは、寡聞にして聞きません(笑))

それがどのような影響をもたらしているかというと、ご存知の通り、この予測が外れると2QEで大きく改定するということになります。

それにしても、アメリカが計数を大きく改定して問題になる、ということはあまり聞きません。それはなぜかというのが結構疑問だったのですが、最近少しおぼろげながらわかってきましたので、それについてはまた次回。

2011年11月22日 (火)

Q-SNAの公表日と改定について

今回の1次QEを公表して思ったことがあります。今まで、日本のQEは、先進国の中で突出して公表日が遅いと言われてきました。私もそれを鵜呑みにしていたところがあるのですが、今回のQEを公表するにあたって、諸外国の公表状況を見たところ、言われていることは必ずしも適切ではないのではないかと思うようになりました。

具体的には、今回の7-9月期1QEの公表日は、日本は1114日でした。

一方で、今話題のユーロ諸国ですが、

ドイツ 1115

フランス 1115

イタリア 1121

ユーロ圏 1115

という感じで、(わずか1日とはいえ)総じて日本より遅いのです。

ただ、このタイミングで公表している先進国はあって、

アメリカ 1027

イギリス 111

という感じでした。

これを見ると、日本のQEが先進国の中で公表が遅いということは事実ではないように思えます。

今回は、たまたま日本が早かったですが、時期によっては、ユーロ圏の方が日本より1日くらい早い時もありますし、同じタイミングの場合もあります。

そう考えると、日本のQE公表は、ユーロ圏と同等のスピードであり、英米が突出して早い、ということが言えるのではないかと思います。

では、なぜ、英米は早いのかという疑問がでてきますので、その点について少し調べてみました。

まず、英国からです。英国の111日のタイミングのQ-SNAは、Preliminary Estimateと言いまして、生産側から推計したものです。ですので、GDPと言っても、

 ○製造業が●%増えた。

 ○建設業は▲%増えた。

 ○運輸通信は■%増えた。

といったことが書いてあるだけで、日本のQEのような支出側の項目(例えば民間最終消費支出、民間設備など)がどうなっているかは分かりません。

そして、次のSecond Estimateの公表日は1124日です。

(ただ、イギリスの場合は、四半期で分配面の推計もしているので、支出面しか出していない日本とは全く異なりますから、支出面だけ遅いと言っても意味が無いのですが。。。)

ではアメリカはどうかと言いますと、これも調べれば調べるほど面白いことが分かってきますので、これについてはまた次回。

2011年11月20日 (日)

7-9月期1次QE(5)

最後にデフレーターや年度値など。

デフレーターは、前期比で▲0.1%となりました。ですので、10四半期連続のマイナスです。ただ、前年同期比でみると、

4-6月期 ▲2.2%

7-9月期 ▲1.9%

とやや改善しています、

これは、前年同期比のマジックという面があります。一年前の7-9月期が相当デフレーターが下がっているのです。ですので、前年同期比で比較すると、去年ほどは下がっていないので、下げ幅が縮小しているのですが、もう少し多くの年の季節性を考慮した季節調整だと、わずかにマイナスということになったものと思われます。

石油価格も下がっていますから、いずれにしても価格下落の圧力は弱まりつつあるのでしょうね。。。

そして、最後に年度値について。

年度値は実質とデフレーターでわずかに改定しています。具体的には、4-6月期2QEでは22年度の実質値が2.3%だったものが、今期は2.4%と上方改定しています。これは、CPICGPICSPIといった価格指数がすべからく変わっていまして、CPI22年基準改定、CGPICSPIは遡及改定がありました。

以前もここで書きましたが、CPIは、224-6月期からいったん下がって、231-3月期くらいから旧基準と同じような水準に戻るというような動きをする個別品目が多くあり、その影響が出ています。とはいえ、17年基準改定のような大きな改定ではありませんが。。。

最後に、2QEについてです。

公表資料の最後にも書いてありますが、7-9月期の2QEは、確報の取り込みがあり、また、季節調整モデルの変更もあります。今回はそれに加え、17年基準改定も反映されますから、ますます予測がつきません(季節パターンも変わるでしょうし。。。)

ということで、いろいろ過去は変わると思いますが、足元は法季が一番の改定要因ですので、大きく変わらないことを祈っています。。。

今回はこれくらいです。

2011年11月19日 (土)

7-9月期1次QE(4)

続いて公需です。

今回はまずは公的固定資本形成から。実質で▲2.8%と、今回唯一マイナスとなりました。これは、総合統計もそれほど強くはないのですが、これに加えて、4-6月期よりも7-9月期の方が仮設住宅の建設が減っていますので、これも大きく効いて、マイナスとなりました。

続いて、政府最終消費支出ですが、前期比で0.4%となりました。

これを合わせると、公需は前期比▲0.1%、寄与度では▲0.0%となりました。

民需と公需を合わせて、内需の寄与度は1.0%ということになりました。

引き続き外需です。

輸出は6.2%、輸入は3.4%ということで、輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったという感じです。合わせると、外需寄与度は0.4%となります。

輸出の内訳をみると、財貨が7.5%、サービスが▲2.8%ということで、財の輸出がけん引した形です。一番引っ張ったのは自動車でして、4-6月期に大きく落ち込みましたからその反動という形でしょうか。

そして、輸入の内訳は、財貨が3.6%、サービスが2.8%ということでいずれも増えています。特徴的な品目として、輸入で旅行(業務外)が増えていますので、民間消費の娯楽関係と同じく、旅行などが増えたということかもしれません。これは、4-6月期で落ち込んだ反動ということもあると思います。

というわけで、外需全体では、寄与度で0.4%という形でした。

2011年11月18日 (金)

7-9月期1次QE(3)

続いてそれ以外の民需について。

民間企業設備です。

実質前期比で1.1%とプラスとなりました。

民間企業設備だけでなく、公的固定資本形成も含めた総固定資本形成での、品目別内訳を見てみると、これも自動車、続いて特殊産業機器(建設用クレーン)などがプラス要因となっています。

いつもの通り、2次で法季が入りますので、どうなるのでしょうか???

4-6月期は結構大きく下方改定しましたので、今回はそうならないことを祈るばかりです。

民間住宅は、5.0%結構大きなプラスです。これも、民間住宅については、建築基準法改正の2007年、リーマンショックの2009年と、季節パターンがまったく崩れていたのですが、ここ2年でようやく復活してきましたね。今回のプラスはそれも効いているとは思いますが、いずれにしても、着工が伸びていますので、大きなプラスです。

続いて、民間在庫品増加は、実質寄与度0.2%でした。

これは、製品在庫と流通在庫を合わせるとわずかにプラスでしたが、4-6月期と同じく、過去の遡及改定により仕掛品と原材料在庫のARIAM予測が結構変わっており、それも要因として効いており、合わせて0.2%というところでした。

というわけで、結果として、民需は1.4%のプラス、寄与度では1.1%のプラスとなりました。

2011年11月15日 (火)

7-9月期1次QE(2)

まずは民需からです。

民間最終消費支出については、実質季節調整済前期比は1.0%でした。寄与度では0.6%でした。名目の前期比は0.7%でしたので、今回は、前期よりは名実の差が小さくなりました。

となるとその原因はお分かりいただけると思いますが、テレビなどが増えていません。ですので、価格下落が激しく、価格の水準が低くなっている品目のウェートが減ったわけですから、それほど価格が下がらなくなります。

では、何がプラス要因になったか見るために、まずは形態別で、実質季節調整済み前期比を見てみましょう。左が7-9月期、右が4-6月期です。

耐久財   8.4%  ( 7.3%)

半耐久財  0.8%  ( 2.6%)

非耐久財 ▲0.5%  (2.1%)

サービス  0.6%  (0.1%)

という形でした。これをみると、耐久財とサービスが引っ張っているという感じがします。さらに、これを名目でみてみると、

耐久財   5.4%  ( 2.1%)

半耐久財  0.6%  ( 1.9%)

非耐久財 ▲0.2%  (2.3%)

サービス  0.5%  (0.2%)

となりまして、際立った特徴がわかります。簡単にいうと、耐久財の名実の伸び率が、4-6月期と7-9月期で全然違うわけです。この原因は、4-6月期の耐久財のプラス要因はパソコンやテレビだった一方で、7-9月期は自動車だったからです。自動車は、価格下落はそれほどありませんので、名目と実質の伸びがそれほどありません。というわけで、今回GDPデフレーターの下げ幅がそれほどでなかったのは、これも大きな原因となります。

もう一つ気になるのは、非耐久財で実質の方が名目よりマイナス幅が大きい、つまり、価格が上昇しているのですが、これは、電気料や野菜などが影響しているようです。電気料は、春に原油の価格が上がっていましたので、それを受けて燃料費調整で価格が上がったものと思いますし、野菜は、果菜や葉茎類、マメ科の野菜などの上昇しているようです。

特に電気代については、名目値でもマイナスだったのですが、価格上昇分も含めてマイナスだったので、実質ではより弱いという形でした。そんなこんなで、非耐久財は大きなマイナス要因となってしまっています。

そして、最後にサービスが結構なプラス要因となっているのですが、これは遊園地やスポーツ観戦、宿泊料などが増えていることが原因です。娯楽産業についても自粛ムードがようやく消えてきたということなのでしょうか。。。

ということで、民間最終消費支出は、全体で1.0%と結構大きなプラスになりました。

2011年11月14日 (月)

7-9月期1次QE(1)

本日1次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html

7-9月期の実質季節調整済前期比は1.5%と4四半期ぶりのプラスとなりました。1.5%というのは、20101-3月期の2.5%以来の高いプラスでして、一年半ぶりという感じです。

思い出してみると、この時は、自動車やテレビの駆け込み需要が続いていた時で、10-12月期、1-3月期と民間消費が強くなっていました。内訳については追って書きますが、今回も民間消費が強かったことには変わりがありませんが、その要因も同じく自動車なのですが、背景はちょっと異なるようです。

内訳を見てみると、内需が1.0%、外需が0.4%ということで、両方ともプラスになりました。これも20101-3月期以来です。

今回は内需がけん引してプラスという形ですが、その内訳でみると、民間最終消費支出が1.0%と大きなプラスで、次いで民間在庫品増加が寄与度で0.2%、あとは、民間企業設備が1.1%、民間住宅が5.0%などと、内需の中でも民需関係が並んできます。

一方で、公需は、政府最終消費支出は0.4%とプラスながらも、公的固定資本形成が▲2.8%とマイナスとなり、公需トータルでもマイナスでした。

一方、外需の内訳は、輸出が6.2%(寄与度0.9%)、輸入が3.4%(寄与度▲0.5%)という形でして、輸出の増加が、輸入の増加を上回ったという形です。

GDPデフレーターは前期比で▲0.1%とわずかにマイナスです。今回、前年同期比のマイナス幅は、4-6月期▲2.2%から7-9月期▲1.9%と縮小しているので、プラスになるかと思ったのですが、前年の7-9月期のマイナス幅が大きかったこともあるようで、前期比ではわずかにマイナスでした。

ただ、今回はGDPデフレーターのマイナス幅が小さかったということで、名目GDP1.4%と比較的大きなプラスになりました。

民需主導のプラスというのはある程度予測されていたのでしょうか、あまり大きな反響もなく、エコノミストの方々の興味はすでに確報や17年基準改定が反映される2QEや、10-12月期に向かっているようです。それにしても、10-12月期がどうなるかは本当に先が読めないですよね。。。

というわけで、今回のQEについては、次回以降に、もう少し詳細に見ていこうと思います。

2011年11月12日 (土)

在庫

前にも一度書いたことがあるのですが、素朴な質問としてよく聞かれるのが、

 なぜ、在庫が増えると、GDPが増えるのか?

という質問です。

これは、GDPを支出側からだけ見ようとするから起こる疑問でして、生産側から見たらよく分かるのに、といつも思っています。

というわけで、今までちゃんと解説していなかったような気がしますので、まとめて書いてみようと思います。

まず、GDPの定義です。GDPとは、国内(domestinc)(gross)生産(products)です。用語を見るだけでも、「生産」であることはお分かりいただけると思います。が、一応定義をすると、

 GDP =(国内の)生産 - (国内の)中間投入

です。つまり、一国全体で生み出されたもののうち、中間投入した部分を引いたものです。ですから、別の名前で言うと「付加価値」と言います。

ここには在庫も家計消費も何も出てきません。というのは、これは生産側のGDPの定義ですから、あくまで生産の項目しか出てきません。

では、支出側のGDPとはどういうことかということを考えてみましょう。考え方を少し変えて、生産されたものの使い先についてみてみます。生産されたものは、何かしらに使われているはずです。つまり、

(国内の)生産 + (国内への)輸入

      = (国内の)最終消費支出 + (国内の)総固定資本形成

        + (国内の)中間消費 + 在庫品増加 + (海外への)輸出

となります。国内での消費や総固定資本形成には、海外で生産されたものを輸入したものも含まれるので、上記のようになります。

ここで、一国全体で見ると、

 (国内の)中間消費 = (国内の)中間投入

ですから、

 

(国内の)生産 -(国内の)中間消費

      = (国内の)最終消費支出 + (国内の)総固定資本形成

         + 在庫品増加 + (海外への)輸出 -(国内への)輸入

すなわち、

 GDP = (国内の)最終消費支出 + (国内の)総固定資本形成

         + 在庫品増加 + (海外への)輸出 -(国内への)輸入

となります。これが支出側のGDPです。

この支出側のGDPには、在庫品増加が出てきます。つまり、在庫品増加が増えるとGDPが増えるということになります。

これをどのように考えれば良いかというと、私の中では、

 ①GDPは結局のところどれだけ生産したかである

 ②消費も増えていて、在庫も増えているなら、きっと生産が増えているはずだ

 ③だから、在庫品増加はGDP増やすことになる

というように考えることとしています。

というわけで、いつも言っていることですが、日本ではGDPを支出側から考えすぎるということの一番いい例なのではないかと思っている項目でした。

2011年11月 7日 (月)

アメリカのIIPの季節調整(2)

前回は、アメリカの鉱工業指数の季節調整について、公表資料とその内容について思うことを書きまして。そして、ここまで見てきて、私の印象に一番残ったことは、実は季節調整とはまったく別のことで、

 ○IIPって、アメリカではFRB(日本で言うと日銀)が作っている!

 ○FRBって、季節調整の方法はX-12自動設定でやっている!

 ○アメリカって、ユーザーに対する情報提供が少ない!

ということでした(笑)

一番初めの点は置いておいて、改めて考えてみると疑問に思うことは、『自動設定があるのに、なぜ、日本はあえてモデルを選定して、しかもそれをわざわざ公表しているんだろう』、ということと、『リーマンショックに対応して季節調整方法を変更したとして、あまり細かいモデルだとかダミーだとかの設定などの実務的な細かい話を、わざわざHPに公表するのでなく、これくらいの概略が公表されていれば十分なんじゃないか』ということです。(そんな細かい話は、公表されても困るでしょうし、知りたい人は個別に聞くでしょうし。。。)

日本の季節調整の手法の公表が細かいのは、私の感覚では、X12を導入するときに、いろんなところから嫌悪感があったようで、どうも統計審議会でもいろいろと議論があり、このような指針が出ているからではないかと思うのです。

http://www.stat.go.jp/index/seido/7-1.htm

この指針で、「季節調整法を適用する際の推計に使用するデータ期間、オプション等の選定に当たっては、それぞれの系列に対して統計作成機関において適切と考えられ、客観性が保たれる基準を採用し、継続的に使用する。」とされていて、この時点で自動設定の利用は事実上排除されているみたいです(笑)

また、「統計作成機関は、季節調整法に関する情報について、別途定める様式に従い、統計基準部に提出することとする。」と書かれていて、その様式の中にARIMAモデルについても記入する欄があるのです。記入していない統計もあるのですが、一方で記入している統計もあり、それに当初から記入してきた統計は淡々と10年以上同じことを繰り返してきたということなのではないかと(笑)

X12導入の時の反応も、ややヒステリックに感じますが(笑)、もう10年以上たっている状況なんですから、そろそろ自動設定を使うことにしても良いじゃないかという感じがするのですが。。。(まず、自分からやれと言われそうですが(笑))

そもそも、X12導入の時のARIMAモデルの話も、おそらく「再現性が無くなる!!」という意見だったのでしょうけど、「自動設定です」というのが一番再現性が高いのではないかとってしまうんですが(笑)(バージョンを合わせる必要がありそうですが、それも公表してますし(笑))

それに、アメリカでも再現性なんてまったく無い訳で、これで通用しているアメリカを見ていると、ずいぶん日本と違うんだなぁとも思います。

というわけで、後半はやや感想めいたことになってしまいましたが、アメリカのIIPの季節調整についてでした。

※今回の話は、国民経済計算部のN政策調査員にからいろいろご教示いただき、私はそのお知恵をお借りして書かせていただきました。この場を借りて、N政策調査員にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

2011年11月 5日 (土)

アメリカのIIPの季節調整

知り合いから聞いた話なのですが、アメリカの鉱工業指数がリーマンショックの部分について季節調整方法を変えたそうです。

アメリカの場合、鉱工業指数はFRBが出しているそうでして、日本で言うと日銀が出しているような感じなんですね。

で、公表されている資料だと、

http://www.federalreserve.gov/releases/g17/articles/rev2010/industrial10.pdf

と今年の4月に出ているものになります。これのP1718当たりにRevised Seasonal Factorsというところがあるのですが、その2パラ目の途中くらいからリーマンショックの影響に対する季節要素についての解説が書いてあります。(本文ではthe trough of the recession in June 2009という表現ですが。。。)

読んでみると、

・今のままの季節調整だと、20082010暦年にかけて、年の前半が押し上げられ、年の後半が押し下げられるということになっている

・そこで、2009暦年の多くの期間について、X12をかける前に「pre-adjustments」をする

ということのようで、このpre-adjustmentsというのが具体的にどうやっているのかはよく分かりませんね(笑)

ただ、解説でもグラフ付(ちなみに、本文ではChart8と書かれてますが、実際はChart9のようで、しかも、the green lineというものもありません(笑))で書いてありますが、このpre-adjustmentsをしないで、X-12のデフォルト設定(この言葉もよく分かりませんが、恐らくX12の自動設定でしょう。)で季節調整をすると、この年の前半の押し上げ、年の後半の押し下げの効果を削るのが、少し強めに出る(つまり、一部、季節要素として調整するべき部分も、異常値として処理(すなわち季節性の処理をする際に無視されてしまう)されている)ように見えます。

ということは、pre-adjustmentsというのは、その部分を事前に処理しているということなのでしょうね。

そして、最後に、『2010年の計数がすべて出て、季節要素が再推計されるときに、pre-adjustmentsは見直されるだろう』という予告編みたいな一文があります(笑)

ここまで見てきて、「いろいろやっているなぁ」とか、「さすがにFRBだと、時系列について分かってる人がいるんだなぁ」とか、実務面でもいろいろ思うこともあるのですが、一番印象に残ったことはもっと別のことでして、それについては、テクニカルな話とはずれるので、また次回に書きたいと思います。

2011年11月 3日 (木)

実質化

まずはじめに、CPIの影響試算について書いたのですが、一部誤りがありましたので修正しました。(帰属家賃の部分が、上方改定要因なのに下方改定と書いてしまいました。。。)

混乱させてしまいすみません。お恥ずかしい限りです。

そして、この件で以下のような質問がありました。

名目値の実質化に係る計算方法は、公開されていますでしょうか。

恐らく、支出系列の連鎖実質化に関する計算方法ということだと思うのですが、これは掲載されています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/gaiyou/sakusei/20060712/honbun.pdf

これはQEの推計マニュアルなのですが、ここのP32以降にいろいろと実質化のことが書いてあります。

概略をざくっと書くと、固定と同じデフレーターを用いて、掲載されている計算式で連鎖の実質値を作っているというところです。暦年と四半期の実質化の計算式は、

暦年

1

四半期

2

となるということです。

注意事項としては、このマニュアルで一点分かりにくいところがあって、四半期重複法と比例デントンによるベンチマークについて、流れで書いてあるのでその関係が分かりにくくなっています。

正確に言うと、四半期の計算式のままで実質化すると、第4四半期から第1四半期の間で断層ができてしまうので、無理やり水準を調整してあげているのです。

具体的にいうと、まず、年を跨いでしまうと暦年価格指数が変わってしまうことが問題なのですから、その跨いだ年に使う暦年価格指数でもって前歴年の第4四半期を作ってしまうわけです。これは、分かりやすく、

3

になります。これが破線の4Qの水準になります。そして、この水準を実線の4Qの水準にそろえるわけですから、

4

を各四半期に乗じてあげれば良いわけです。そうすると、

5_2

となります。これが、良く書かれている四半期重複法による四半期計数になります。(この資料にも同じ式が書いてあります。)

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sankou/kakogiji/kijyun/041019/shiryou3.pdf

そして、こうして作った四半期値の暦年合計は、暦年値とずれてしまうので、これを比例デントン法により暦年値と一致するように調整するのです。

このマニュアルだと、四半期重複の計算と比例デントンの計算の関係が分かりにくいのでご注意を。

というわけで連鎖でした。

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