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2011年10月31日 (月)

季節調整系列

またまた質問ネタです。

(今回は半分笑い話に近い話です。)

質問の内容は、『なぜ、季節調整系列は4倍して表示しているのか?』というものです。

言われてみると、そういえばそうだなぁという感じで。確かに4倍表示する意味が分かりません(笑)

ここで良く書いてきた93SNAマニュアルでは、あまり四半期速報(以下Q-SNA)について書いてある部分は無いのですが、IMFが四半期速報のマニュアル(こちらではQuarterly National AccountsQNA))がありますので、そちらを見てみます。

http://www.imf.org/external/pubs/ft/qna/2000/textbook/index.htm

このマニュアルのⅧ章が季節調整について書いてあるのですが、ここを細かく読んでみました。

中に、表章についての記述があります。

8.63. The mode of presentation also varies substantially. Seasonally adjusted and trend-cycle data can be presented as charts; as tables with the actual data, either in money values or as index series; and as tables with derived measures of quarter-to-quarter rates of change. The last may be presented as the actual rates of change or as annualized rates (see Box 8.4).

まず、下線のとおり、前期比の成長率については、実際の変化率と年率のどちらも表章されうるというような書きぶりになっています。そもそも、表章方法はバリエーションがあると言われてますから(笑)

そして、年率にする理由として、

8.64. The rates of change are sometimes annualized to make it easier for the layman to interpret the data. Most users have a feel for the size of annual growth rates but not for monthly or quarterly rates. Annualizing growth rates, however, also means that the irregular effects are compounded. Irrespectively of whether the actual or annualized quarterly rates of change are presented, it is important to indicate clearly what the data represent.

『大半の利用者は、年率の成長率には馴染んでいるものの、月次や四半期の成長率には相場観が無いから』ということです。最近、年率だろうが四半期だろうがゼロ成長の日本の場合は本当に当てはまるのかなぁ?と思ってしまいますが(笑)

しかも、後半で「irregular effects are compounded」と不規則要因が増幅されて見えると、悪い面すら書かれていますし。。。

そして、本題の実額の4倍計算については、もっとネガティブなことが書かれています。

8.66. Some countries also present the level of quarterly current and constant price data at annualized levels by multiplying the actual data by four. This seems artificial, does not make the data easier to interpret, and may be confusing because annual flow data in monetary terms no longer can be derived as the sum of the quarters. Users not familiar with the practice of annualizing levels of current and constant price data by multiplying the actual data by four may confuse annualized levels with forecast annual data. For these reasons, this practice is not recommended.

本題部分なので細かく書いてみると、まず、「いくつかの国では、実数値を4倍して、実額(注)を年の水準で表示している国もある」と言っています。そのうえで、下線部分ですが、これは「データーの理解を助けることになっていない」と言っています、本当かどうかわかりませんが(笑)

それで、この後、「四半期を足しても年になるわけじゃない」とか、「慣れてない人はかえって混同する」とかいって、最後の下線の「この方法は推奨されない」ということでした。

というわけで、我が国は推奨されない方法をとっているようです(笑)

(注)本文では「current and constant price data」で意味は異なりますが簡略化のため。

といって、推奨されていない方法を我が国は採用しています、という結論で終わるわけにもいきませんので、もう少し考えてみるに、私の認識では、少なくともアメリカは、季節調整値については年額(4倍計算)で表示しているのですよね(というか、季節調整値しか出してない。。。)。

そして、カナダについては月次も出しているのですが、月次も四半期も年額になっているようです。(少なくとも水準は同じくらいです。)

一方、イギリスを見ると、季節調整値はについては、そのまま使っており、年の値の1/4くらいの数字になっています。そして、ドイツも見ている限りそのまま使っています。(フランスは、あまりに英語版が充実していないのでよく分かりませんでした(笑))

こうしてみると、4倍計算するかどうかは、ヨーロッパ系とアメリカ大陸系で分かれているのではないかという気がしていきます。このマニュアルは、IMFとはいえ、SNA自体がややヨーロッパから出ている体系ですから、どうしてもこういう記述になってしまうのかんぁ、と思うところもあります。(前にも書きましたが、そもそもアメリカは、NIPAという自分のルールで突っ走っており、「SNA?それが何?」というところがありますから、やむを得ないのかもしれません。)

というわけで、日本は、どちらかというとこの点は、アメリカに近いのかなと思っております。。。

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