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2011年10月12日 (水)

貸し方、借り方

これもまた質問ネタなのですが、所得支出勘定(この前触れました付表6も出ますが)のバランス項目である「純貸出(+)/順借入(-)」についてです。

具体的には、なぜこのような名前になるのかということで、簿記などでは左側に「貸し方」、右側に「借り方」があるから、それが由来なのだろうか?というような質問でした。

私もとっさに分からなくていろいろ考えてみました。まず、「純貸出(+)/順借入(-)」は。93SNAマニュアルの「net lending(+)/net borrowing(-)」の直訳です。ですので、この貸出、借入という言葉に、J-SNAならではの意味はありません。

簿記で左側の貸し方は、資産の増加(純資産の減少))を意味しますし、右側の借り方は資産の減少(負債の増加、純資産の増加)を意味します。「純貸出(+)/順借入(-)」とは、定義から言うと、

 「純貸出(+)/順借入(-)

               =  貯蓄

                + 資本移転の純受取り

                - 総固定資本形成

                - 在庫品増加

                - 土地の純購入

です。この意味を考えてみると、ある期において生産活動で生み出された付加価値や再配分された付加価値のうち、消費支出に使ったもの以外の部分について、金融資産以外の資産として次期まで保有したのか、それとも金融資産として保有したのかを見る指標です。

(貯蓄とは、その期に得た所得から消費支出に使った金額を引いたものです。)

そう考えると、「純貸出(+)/順借入(-)」がプラスということは、貯蓄(+資本移転)よりも総固定資本形成や在庫品増加の方が小さいわけですから、残りの部分は金融資産として保有しているはずです。

さて、このとき制度部門別で考えて見ましょう。ある部門(例えば家計)が「純貸出(+)/順借入(-)」がプラスだったとします。すると、貯蓄(+資本移転)よりも総固定資本形成や在庫品増加の方が小さいわけですから、残りの部分は金融資産として保有、すなわち、他の部門に「貸出し」しているはずです。

逆にある部門(例えば非金融法人)が「純貸出(+)/順借入(-)」がマイナスだったとします。すると、貯蓄(+資本移転)よりも総固定資本形成や在庫品増加の方が大きい、すなわち使えるお金以上に投資を行っているわけですから、残りの部分は金融負債として、他の部門から「借入れ」しているはずです。

私は、これが「純貸出(+)/順借入(-)」の名称の由来なのではないかなと思うようになりました。

というのは、SNAは勘定体系だと常々書いているのですが、所得支出勘定の左側はuses、左側はresourcesですから、使途と源泉です。必ずしも貸し方、借り方ではないです。そもそも、簿記で言う貸し方、借り方は、たぶんcreditdebitですから、その意味でもlendingborrowingとも異なりそうです。

(なお、資本調達勘定の右側、左側のJ-SNAの表記が、マニュアルと異なっていて、その理由が私にも分かりません(笑)この点はもう少し探ってみます。さらに、所得支出勘定の和訳も変ですねぇ。。。)

ただ、最後に改めて考えてみると、本来の資本調達勘定の左側は「資産の変動」、右側は「負債、自己資本の変動」です。そう考えると、簿記の貸し方、借り方と定義は一致しているんです。その上で、バランス項目として、「net lending(+)/net borrowing(-)」を左側に持ってきているということになると、何か深い意図があるのでは???という気もしてくるわけです。

ということで、とりとめもなくて申し訳ないのですが、お詳しいかたがいらっしゃったら、ぜひご教示いただけますと。。。

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