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2011年9月

2011年9月29日 (木)

付表6などの質問についての回答(2)

「そもそもどのように見れば良いのかよく分からない」というご指摘は良くいただきます。SNAについては確かにわかりにくいというのはわかるのですが、ただ、これについては、反省点と言いたいことがいくつかあります。

まず、SNAの体系や勘定についての解説がないというご指摘については、きちんと年報の冊子にも、HPにも掲載しています。ですので、解説が無いというのは違うのではないかというのが、言いたいことの1つです。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/gaiyou/mikata/2009/mikata.html

とはいえ、この解説がどこにあるのか分からないというご指摘については、その通りだと思いますので、反省点の1つです。

更に、この解説では内容が分からないというご指摘については、その通りと思う反省点の2つ目と、そもそも、SNAは勘定体系なのですから、ある程度の会計の基礎のところを勉強しながら見てもらうだけでずいぶんわかると思うのに、そういう点を飛ばして中身が分からないと言われてもなぁ、というのが思うことの2つ目です。

前もここで書いたことがあるのですが、SNAsystem of national accountsです。直訳すると国民勘定体系です。その一方で、日本の経済統計のヘビーユーザーであると思われる人たちって、会計制度についての理解が乏しいように感じます。というか、会計を軽視している雰囲気があるように思います。(私自身の自戒の念の込めて書いています。)

ですので、system of national accountsを見るのに、会計制度を知らないという状況を置いておいて、「どのように見たらよいのか分からない」と言われてもなぁ、というのが思うことの2つ目なのですが、一方で、SNAのメーカー自体からして、「国民経済計算」と言ったり、GDPの数字や支出系列の数字だけメインに押し出してきて、「SNAは勘定体系なんですよ」という言い方をほとんどしてきていない、という反省点の3点目もあるわけです。

SNAの付表6の見方が難しいということの背景には、ここまで書いてきたとおりいろいろな背景があるんだと思います。ただ、自戒の念も込めて、次回に、「勘定体系」ということを前面に押し出して、付表6の私なりの見方について書いてみようと思います。

2011年9月26日 (月)

付表6などの質問についての回答

目的別勘定などをみると(中略)、かなり使えそうな気がするのですが、財務省のデータとの整合性がどうなっているのか、そもそもどのように見ればよいのか、がよくわからないのが問題ですね。日銀のデータだと、テキストや資料が充実しているようにおもいますが、政府系の統計は解説が不十分のように感じます。

とのご指摘でした。。。

日銀のデータだとテキストや資料が充実しているということですね。確かにそういうところもあって、私が思うに、見ておられる方からすると、数字の羅列だけでなく、その数字を分析し、分析を踏まえて解説したようなものが欲しいということなのだと思うのですが、そういった分析や判断などについて、政府の統計はあまり充実していないという印象は確かにあります。

政府の統計だと、私が疑問に思って質問しても、「上がってきた回答を、手順に従って集計しているだけなので、これ以上はわかりません」とか回答されることもあり、一方で、日銀だと、「調べてみるので少し時間をください」といって、きちんと回答するように努力はしてくれます。(それでも、十分わからないこともあるのですが(笑))

政府の統計についていうと、統計メーカーと当該計数の分析、判断を行う人が分かれているというのも多いような気がしており、その影響もあるのかもしれません。(といっても、日銀も同じはずですから、悲しいことに、そもそも、政府の統計メーカーにそこまでの余裕も能力もないという現状が問題なのかもしれません。。。)

これについては、もともと、日銀と政府の統計部署では意識が違うのかもしれないと思うとともに、日銀の意識が高くなる取組として一つ感じるのは、日銀の場合、統計メーカーが、公式発表よりはもう少しラフな感じで、個人の名前でレポートを書いていたりしているようです。例えば、BOPだと、こんな感じです。

http://www.boj.or.jp/intl_finance/r_menu_ron/index.htm/

これって、統計メーカーが、公表計数を見る人の立場から考えるいい機会になると思いますし、そもそも、統計メーカーのスキル向上としても意味がある取り組みだと思います。政府の統計でもこういったことをやると良いのは確かなのですが、日銀と政府の場合、日銀の方が圧倒的に人の母数が多い(裾野が広い)というのがあり、その多い母数から統計への適任者を集められるという強みがあり、こういったレポートを書く能力がある人も育つんだと思うのです。その意味で、政府の統計については、人員的にもうまく言っていないなぁと思うことが多々あります。

半分愚痴になってしまいましたが、「そもそもどのように見れば良いのかよく分からない」、というご指摘については、いろいろ反省とともに思うところもあるので、次回以降、付表6の解説と合わせて書いてみたいと思います。

2011年9月24日 (土)

CPIとCGPI

前回までパソコンのCPIについて書いていたのですが、少し蛇足として別の観点から。

ちょっとしたことから、CGPIのパソコンはどうなっているんだろうと気になり、調べてみました。

その比較したグラフは以下の通りです。

2

出典もきちんと書いておきますと、CPIは日米比較したときと同じです。CGPIは、時系列データーから、2000年基準と2005年基準の「暦年」をダウンロードし、2005暦年でつないています。

そのうえで、2010暦年が100になるように水準調整してグラフを書いてみました。

日米比較ほどではないのですが、明らかに差があります。日米比較が4倍程度と書きましたが、こちらはその半分くらいでしょうか???

CPIは家計が購入する段階での価格水準を、CGPIは企業が購入する段階での価格水準を見ていることになっているだと思いますが、この両者で10年間の間、倍近い価格下落の違いなどあるのかなぁ、などと疑問に思ってしまいます(笑)

両者のヘドニックのダミーなどがHPに載っているのでみてみたところ、大体同じように見えながら、微妙に異なっていたり、CPIでは当月と前月の重回帰として、その分時点ダミーが入っているなどの違いがあるのが分かります。

【参考】

CPI

http://www.stat.go.jp/data/cpi/2010/kaisetsu/pdf/fu1.pdf

http://www.stat.go.jp/data/cpi/report/2010np/pdf/fu6.pdf

CGPI

http://www.boj.or.jp/statistics/pub/pim/data/pim05.pdf

家計取引の価格と、企業内取引の価格では多少は価格の動きが違うんだと思うのですが、そちらの影響なのか、それともこの計算式の微妙な違いが原因なのか、誰かお分かりの方などいましたら教えていただけると非常に勉強になるのですが。。。

2011年9月21日 (水)

CPIのパソコンについて(2)

前回の続きです。

が、まず、はじめにお断りしておくと、この部分は例によって私の発見ではなく、部内の某有識者に教えていただいた内容です。ですので、私のオリジナルではまったくありませんが、あまりに面白い内容だったので書かせていただいています。

アメリカと日本でパソコンの価格下落幅が大幅に違うというところまで前回お話ししました。そして、今日はその理由探しなのですが、素直にBureau of Labor StatisticsのHPを見てみましょう。

http://www.bls.gov/cpi/cpifaccomp.htm

この記事は2008年の626日のものなのですが、ここでパソコン(Personal computers and peripheral equipment)の価格指数の算定方法を解説しています。その中で、気になる一文がありました。以下抜粋です。

From January 1998 to September 2003 the CPI program used hedonic regressions, developed in a cooperative effort with the Producer Price Indexes (PPI) and International Price Program (IPP) programs, as a basis to determine appropriate quality adjustments amounts for personal computers. While this endeavor was viewed as successful and worthwhile, the CPI program decided to adopt a different approach. It should be noted that the hedonic quality adjustments regarding chip speed were deemed unreliable and were never applied to CPI data.

下線のところに注目していただくと、アメリカのCPIでは、「ヘドニックアプローチによる価格下落のスピードが信頼できないため、異なるアプローチを採用することとした」ということなのです!

なんと、アメリカは2003年からすでにヘドニックを採用していなかったのです。そして、現在は、「attribute cost adjustment」という方式で価格指数を算出しているようです。attribute cost adjustmentの内容については私は専門でもないですし、上記のURLに書いてありますのでそのまま見ていただければと思うのですが、アメリカにおいて「信頼できない」と言われているような価格の動きになっている以上に日本の価格下落は激しいわけで、相変わらずヘドニックを採用し続けるということについて、再検討しても良いのではないかと思うわけです。

というのは、アメリカと比較して日本だけパソコンの価格が下がり続けるというのは、なんだか説明がつかないと思うのです。CPUの品質向上やメモリーの容量増加など、日本だけ特別に行っているわけではないのですから。。。

 とはいっても、このアメリカの方法も、調査人員に相当のコストをかけているなど、相当手がかかっているようですので、日本で即座に採用できそうな気もしません

というわけで、パソコンのCPIについてでした。

前述のとおり、この部分は私の発見ではなく、国民経済計算部のY研究官の発見で、私はそのお知恵をお借りして書かせていただきました。この場を借りて、Y研究官にお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

2011年9月19日 (月)

CPIのパソコンについて

QEを作っていて、困ったなぁと思うことがたくさんあるのですが、その中でも頻繁に発生することとして、耐久財のデフレーターがものすごく下がるということがあります。

この前の4-6月期もそうでしたし、実は、昨年の7-9月期も、恐ろしく耐久財のデフレーターが下がっています。

この原因は明らかでして、いずれも、パソコンなどのCPIの価格下落が激しい品目の消費支出が増えているのです。ですから、価格下落の激しい品目のウェートが高くなり、耐久財全体での価格下落が激しくなるということになります。

そこで、CPIでなぜこれらの品目が下落するかというと、いずれも「ヘドニック」という方式により、価格指数を算出しているからです。ヘドニックの詳細については、総務省統計局のHPに掲載されていました。

http://www.stat.go.jp/data/cpi/4-1.htm#Q18

http://www.stat.go.jp/data/cpi/2010/kaisetsu/pdf/fu1.pdf

要は、パソコンの場合、商品の入れ替わりが激しすぎるため、単純な価格の比較ができないため、たとえばCPUの能力が向上したなどの品質の変化を価格に反映して、それでもって価格比較するということです。そうすると、パソコンなどは、価格はあまり変わらなくても品質が飛んでもなく向上するので、その分価格が飛んでもなく下落するということになるわけです。

ここまでは頭でわかっていたのですが、それであれば、他の国も、パソコン価格で相当苦労しているんだろうなと思ったのがすべての発端です。試みに、アメリカのCPIでパソコンに該当するものを拾って、日本と比較してみました。すると、次のようなグラフになりました。

1

何と、この10年で、日本の方がアメリカの4倍程度のスピードでパソコンの価格下落をしているのです!これには驚きました。しかも、見てみると、過去もそうですが、アメリカは2005年くらいからは下落幅が小さくなっているように見えるのですが、日本は相変わらずのスピードで下落しているように見えます。

なお、これについては、いろいろ異論がありそうなので、データソースをあらかじめ書いておきます。

まず、日本は、22年基準CPIの全国年平均の「パソコン(デスクトップ型)」と「パソコン(ノート型)」を、それぞれのウェート(31813696362711)で加重平均しました。

アメリカは、Bureau of Labor Statisticsのデーターベースから、「U.S. city average」の「Personal computers and peripheral equipment」を持ってきました。

そして、それぞれ基準年が異なるため、いずれも2005暦年が100となるよう水準調整をしました。つまり、傾きは一切いじっていません。

というわけで、何でこんなことになるのか気になって、少し調べてみましたので、それについて次回もう少し書いてみようと思います。

2011年9月14日 (水)

財政。。。

久々にご質問をいただきました。

 GDP統計における財政という観点で参考になるテキスト、文献があれば教えていただけないでしょうか。よろしくお願いします。

ということですが、これがなかなか難しい質問でして(笑)

というのは、マクロ経済学の教科書ということだと、SNAについてある程度書いてあるものも多いですし、そもそもSNA専門の教科書もあります。ただ、それはどうしても一国全体の経済活動に関する記述がメインで、財政部門についてはあまり記述されていません。。。

(例えば、以前にもここで書きました中村洋一先生の「SNA統計入門」や作間逸雄先生の「SNAがわかる経済統計学」などは分かりやすいと思いますが、「財政」といわれると、なかなか難しいところです。)

逆に、財政学の教科書ということになると、SNAについて触れているものはほとんどなく、ましてはSNAの解説がメインなどというものはほとんどありません。

その中で、あえて私が最近見た中で、財政学の教科書ながら、SNAのデータを用いて解説しているなぁと思ったのは、持田信樹先生の「財政学」でしょうか。。。

これは、冒頭の章で、日本の政府活動の概括を記述するときにSNAのデータを多く使っていますので、SNAの財政部門の見方という意味ではいいかもしれません。また、ちょっと紀伊国屋で立ち読みしてみたところ、林宜嗣先生の「基礎コース財政学」も同じようにデータとしてSNAをかなり解説していました。(なぜか、某省に関係の深い先生の本ばかりですね(笑)。

あと、社会保障基金について細かく書いてあるのは(特に68SNA93SNAの違いが重点ですが)、浜田浩児先生の93SNAの基礎国民経済計算の新体系」です。

しかし、ご質問の趣旨は、国民経済計算年報の付表6などについて、どのような関係になっているのかなど、SNAの財政部門の解説書ということなのではないかと勝手に推測しているのですが、そうなるとなかなかよいものがありません。。。

ただ、以前、このページで、全体論としてのISバランスまでの各項目の解説と、プライマリーバランスについて記述はしたことがありますので、もしよろしければこちらでもご参照ください。。。

ISバランス

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-f346.html

プライマリー・バランス

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/06/post-719e.html

2011年9月13日 (火)

4-6月期2次QE(4)

続いて公需です。

公的固定資本形成は、4.3%と、1次QEの3.0%から上方改定になりました。

1次では仮設住宅の影響が話題となったようですが、今回の上方改定は、仮設住宅はまったく関係なく。建設総合統計の3か月目(6月分)を反映した結果です。思ったよりも改定幅は大きくなりました。建設総合統計を当てるのは結構難しいんですよね。。。

続いて、政府最終消費支出は、0.6%と、1次QEの0.5%からわずかに上方改定です。

これは、2QEでは地方公共団体消費状況等調査という調査を反映するのですが、そこで、中間消費(物件費)が大きく伸びていましたので、上方改定要因となりました。一方で、現物社会給付のうちの医療費についても、3か月目分(今回は6月分)については2QEで反映できるのですが、それを取り込んだ結果こちらは下方に改定されました。これが相まって、中間消費の上方改定幅の方が大きかったので、わずかに上方改定となりました。

これを合わせて、公需は1.2%1次QEの0.9%から上方改定となりました。

民需と公需を合わせて、内需は0.2%と、1次の0.4%から下方改定になりました。

外需は、ほぼ変更なしでした。

これらを合わせて、全体として▲0.5%と、1QEの▲0.3%から下方改定となりました。

というわけで、今回はこれくらいです。

2011年9月12日 (月)

4-6月期2次QE(3)

引き続き民需です。

民間在庫品増加については、これは、0.3%から0.1%に下方改定になりました。仕掛品と原材料在庫について、1次のARIAM予測よりも、いずれも法季の方が弱かったので、それがもろに影響したという形です。法季の実際の数字を見ても、仕掛品在庫の1-3の取り崩し方が例年に比べて相当小さいのが見て取れます。一方で、4-6月期の積み上がり方は例年と同じか小さいくらいですね。

なお、IIPと商業販売統計を用いて推計する、製品在庫、流通在庫については、上方改定でしたが、法季を使っている上記2形態の影響の方が大きかったという感じです。

それ以外については、民間最終消費支出は、▲0.0%1次QEの▲0.1からわずかに上方改定です。形態別には

 耐久財 6.6% (16.1%

 半耐久財 2.5% (13.8%

 非耐久財 ▲2.0% (1次 ▲2.4%

 サービス ▲0.5% (1次 ▲0.4%

という感じです。

上方改定品目としては、自動車、道路旅客輸送、パン及び穀物などで、逆にパソコンは下方改定になりました。とはいっても、耐久財のデフレーターが下がっていることには変わりがありませんが、少しはその下げ幅がマシになっています。

民間住宅は、1QEの▲1.9%から▲1.8%へとわずかに上方改定となりました。これらを総合して、民間需要は0.3%から▲0.1%へと下方改定になりました。

2011年9月11日 (日)

4-6月期2次QE(2)

まずは、今回の改定のほとんどを占める民需から見ていきましょう。

はじめに、今回の2次QEで一番注目されたであろう民間企業設備投資です。0.2%から▲0.9%1%以上の下方改定となりました。これは、法人企業統計の設備投資が大きな落ち込みとなっており、これを2次QEで取り込んだためです。

法季は、資本金階層別に見ても、1億未満の階層の落ち込みが大きかったように見えたのですが、これにはサンプル変更の影響もあるのかもしれませんね。何しろ、今回は4-6月期です(笑)

実際に、断層修正でも、この階層については上に引き上げる形での修正となっており、全体としても法季の下げ幅よりも相当縮小させたのですが、それでも足りないくらい法季の下げ幅が大きかったという感じです。

新聞報道等を見ますと、「震災後の先行き不透明感から投資を見合わせる動きが一時的に広がった」という報道をされていまして、財務省の発言でも「震災を理由に様子見姿勢となった」ということですね。言われていることはあまり違和感がないように思います。

一方で、供給側の統計は結構伸びています。(例えば、IIPの資本財(除く輸送機器)の出荷は、4-66.1%のプラス。原系列でも、1-36.6%から4-69.0%と改善しています。しかも、これは輸出を含んでいます。。。)これも、震災が3月でしたが、6月までの回復がすごかったんです、と言われるとそんな感じもします。

その両者を合わせた結果というのが、今回の▲0.9%ということになります。

ところで、今回の改定については、もう一つの要素があります。供給側の推計値も、生産動態統計の6月や特定サービス産業動態統計の6月が入りますので、改定されるのですが、この供給側の推計値が上方改定となっています。特に、特サビを使っている、ソフトウェアが上方改定となっていまして、それも相まって、下方改定幅が少し弱められているという面もあります。ソフトウェアは、需要側(法季)、供給側(生動)とは別に外付けですから、これの改定は結構ダイレクトに効いてきます。

というわけで、今回の目玉の設備投資でした。

2011年9月10日 (土)

4-6月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html

46月期の実質季節調整済前期比は▲0.5%で、1次QEから下方改定となりました。1次QE▲0.3%でしたから、0.2%の下方改定ということになります。

3期連続のマイナス成長ということには変わりがありません。

内外需は、内需0.2%、外需▲0.8%ということで、外需のマイナスを内需のプラスで補い切れていないという構図は同じですが、内需が0.2%下方改定となったという感じです。

今回は、改定があった項目は、主に、民間企業設備と民間在庫品増加が下方改定、公的固定資本形成が上方改定でした。とはいえ、前者の下方改定幅の方が圧倒的に大きく、全体として下方改定となりました。

全ての項目を見てみますと、

GDP ▲0.5% (1次 ▲0.3%)

民間最終消費支出 ▲0.0% (1次 ▲0.1%)

民間住宅 ▲1.8% (1次 ▲1.9%)

民間企業設備 ▲0.9% (1次 0.2%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.3) (1次 (0.1)

政府最終消費支出 0.6% (1次 0.5%)

公的固定資本形成 4.3% (1次 3.0%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 ▲4.9% (1次 ▲4.9%)

輸入 ▲0.0% (1次 0.1%)

という形です。

概略を言うと、民間企業設備と民間在庫品増加が、法人企業統計を反映し、いずれも下方改定となりました。また、公的固定資本形成は建設総合統計の3か月が入ったことで上方改定となりました。

今回は、久々に大所の改定がありましたので、個別について書くことがたくさんあります。

それについては、次回以降にまた触れてみます。

2011年9月 8日 (木)

(続)リセット効果(3)

前回、固定と連鎖で、価格の水準が与える影響の違いについて書いてみました。

ここで、その意味について、固定と連鎖の計算式を比較して考えてみようと思います。

固定は、

1

2

ですから、

3

となります。

一方で連鎖は、

4

です。これを比較すると、何が異なるかというと、固定は2つの式の積になっているのですが、第1式については、5 から6 への増加が、7 から8 への価格下落分だけ弱められています。一方で第2式についてはそれがそのまま出ていますので、指数としては確実に下方バイアスが出てきます。

一方で、連鎖については、ウェートは9 で同じで、10 から11 への価格下落分がそのまま出る形になっています。

つまり、リセット効果は、価格の水準の問題というより、そのウェートとして使っている数量(実質値)が、名目値と比較してどの程度の水準となっているかどうかの問題である、というように思われるのです。名目値の水準がそれほど変わらないのに、価格の水準が小さくなると、逆にいうと実質値の数量が大きくなるため、2項目の変化が大きくなります。したがって、価格の水準が小さくなればなるほど、同じ名目値の変化でも、デフレーターはより下方に変化することとなります。

このとき、2項目の

12

は、パーシェ型デフレーターによる固定実質値の比そのものです。この場合、t年よりもt+1年の方が、1年分パーシェ効果があるわけで、その1年分のパーシェ効果がここで表現されているということになります。極論すると、パーシェ型の場合におけるリセット効果とは、比較年間(今回で言うとt年とt+1年の間)のパーシェ効果のうち連鎖を導入することで解消できる部分と等しいのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか???

ご意見などいただけると非常にありがたいのですが。。。

2011年9月 4日 (日)

(続)リセット効果(2)

前回、パーシェ型デフレーターにも、リセット効果があるという話をしてしまいましたが、それはあくまで固定の話でした。

では、同じ話を連鎖でやってみましょう。

連鎖ですと、

1

ですから、

2

を計算すればよいことになります。

固定と同じく

case1

3

4

5

6

7

8

9

10

については、

11

となります。

case2

12

13

14

15

16_2

17

18_3 

19

20

については、

21

と同じになります。

つまり、連鎖では、リセット効果は発生しておらず、どの価格水準であったとしても、名目値の伸び率が価格指数に与える影響は同じになるということがわかります。

2011年9月 1日 (木)

(続)リセット効果

少し前に、CPIのリセット効果について考えてみたのですが、少し考えてみて、実は、パーシェ型のGDPデフレーターにも同じ効果があるのではないかと思うようになってきました。

リセット効果とは、価格の水準が小さくなったときに、水準が大きい時と比べて、統合したデフレーター指数(CPI総合やGDPデフレーター)に対する影響が異なる場合に出てきます。

実は、GDPデフレーターでも、パソコンなどの価格水準の低い品目の名目の伸び率が高い時は、デフレーターが大きく下がることがあり、「これって、ひょっとしてリセット効果?」とか思ったわけです。

ということで、以下、仮設例で、影響度合いについてみてみようと思います。

まず、固定のパーシェから。1財と2財の2つの財があり、t年とt+1年で比較します。

この時、パーシェ型のデフレーターは、名目値/実質値ですから、

1

2

となります。ここで、以下、2つのケースに分けて検討します。

case1

3

4

5

6

7

8

つまり、財1は価格は不変で、財2が10%価格が低下しているということになります。

かつ、名目値については財2が倍に増えたということになります。

この時、

9

10

ですから、

11_2 

12

となります。

case2

13

14

15

16

17

18

つまり、財1は価格は不変で、財2が10%価格が低下しているのですが、価格水準が財2では10分の1になっています。名目値については財2が倍に増えたというところも同じです。

この時、

19

20

21

ですから、

22

23

となります。

この時、case1では、

24

case2では、

25

ですから、価格水準が小さい時の方が、パーシェ型価格指数の下落幅も加速するわけです。これってまさしく、指数水準の大小に依存するわけで、リセット効果に他ならないのではないかと思うわけです。

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