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2011年8月 9日 (火)

連鎖指数について

少し前に、GDPデフレーターの話のついでに、連鎖と固定の比較について書いたのですが、それと関連して。

先月末に、総務省統計局のHPで、CPIの担当室長さんが、CPIの基準改定について書いておられました。

http://www.stat.go.jp/info/today/040.htm

CPIの基準改定の内容についての解説、たとえば、「物価変動以外の要素をできるだけ排して、純粋な物価変動を捉える上で優れています」や「昨今は、その差が段々と拡大するようにも見えます(下表1参照)。これは、消費、流通面の移り変わりがスピードアップしていること、物価変動の大きさが相対的に小さくなってきていることが影響していると思われます」など、なるほどなぁ、と思うことが書いてあると同時に、連鎖との比較の話も書いてありました。

CPIの場合も、やはり、固定と連鎖で比較してバイアス(ラスパイレス指数なので上方バイアス)が出ているようですね。

統計局のHPの連鎖指数の解説(http://www.stat.go.jp/data/cpi/pdf/3-5.pdf#page=7)でもちゃんと書いてあるように、ドリフトなど、いろいろ問題もあるのは確かです。ただ、近年のように、絶対的な価格変動よりは、財ごとの相対的な価格変動(たとえば、ブランド品とディスカウント品との区別が明確になっている)の方が大きくなっている今では、パーシェ、ラスパイレスのバイアスは、どうしても大きくなってしまうのかなぁという気もしております。

なお、GDPデフレーターの場合はパーシェ連鎖ですが、連鎖を導入している統計メーカーの印象として、連鎖でユーザーが最も困惑しているのは、ドリフトではなく、むしろ、「加法整合性がない」や「開差が存在する」という点なのではないかという気がしています。

(「加法整合性」と「開差」は同じ話ですが。。。)

とはいっても、実は「加法整合性」の問題は、実質GDPでは実額を計算しているから発生する問題でして、もともと指数化している統計ではそんなに問題はないのではないかと思います。

しかし、実額を出している実質GDPでは問題はもう少し深刻で、以前このHPでも書きましたが、簡易的にPYPを計算してみれば、加法整合性は(ほとんど)成り立つということも説明したのですが(http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-fe3c.html)、私の周りのユーザーからは「そんなこと説明されてもわかるか!」という感じでした。う~ん、そもそも、連鎖の場合、もはや実額にはほとんど意味がないのに。。。

一応繰り返しになりますが、PYPというのは、簡単に言うと、「ラスパイレス型数量指数の場合、『基準年』と『その翌年』だけは加法整合性が成り立つ」という性質を利用して、「一旦、前歴年基準に直してしまう」ということなのですが、やっぱりわかりにくいですよね。。。

統計メーカーとしては「理解してくださいよ~」と思うんですが、そうはいっても、こんな複雑怪奇な計算など、「意味も分からない」し「やってられない」というのはおっしゃる通りだとも思うんですよね。

加法整合性及び開差問題については、何とかしたいとは思っており、アイディアがまったくないわけでもないので、もし、何かうまく改善できそうな場合はまたこの場でもご報告させていただきます。

というわけで、またまた評判の悪い連鎖のお話でした。

なお、完全に蛇足ですが、統計局のように、実際の統計発表とは別に、このようなHPで、統計メーカーが意見を書く場があるというのは良いですよね。

統計メーカーの立場としても、いろいろ意見はあるのに、実際の公表資料には反映できない話などいっぱいあると思うのですが、そういうのを公表できる、半分フォーマル、半分アカデミックみないな場というのは重要だと思います

それと、過去に一番執筆しているのが統計局長というのも良いですよね。トップ自ら本当に統計の内容がわかっておられて、しかも、統計を大切にしているというのがよく分かります(笑)

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コメント

たまにですが、2006年を100とした物価水準を計算する国があり、国際比較をするうえで、困ることがあります。この場合、たとえば、変化率を算出し、2005年を100としたうえで、掛け合わせるという対応で問題ないのでしょうか。また、4Qベースであると、100となるタイミングがないのですが、どのように計算しているのでしょうか。よろしくお願いいたします。

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