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2011年7月24日 (日)

自己生産(2)

前回の続きです。

個人が行った非営利活動が、どのように計上されるのかについてです。たとえば、大雪が降った時に、近所の人たちと一緒に家の前の道路の雪かきをしたとした場合どうなるのでしょうか?この「雪かき」というサービスは対価を得ているわけではありませんが、こういった活動はどのように計上されるのでしょうか?

実は、これについては、93SNAマニュアルでも一部記述がありまして、

4.66. (略)しかしながら家計のグループがコミュニティーの建設プロジェクトに共同して参画する場合(たとえば、建物、道路、橋、排水溝、堤防などの建設)は、対家計非営利団体でなく自己勘定建設に従事する非公式なパートナーシップとして取り扱われるべきである。なぜなら、対家計非営利団体には継続的に果たすべき役割があり、単発的な期間も限られたプロジェクトのために創設されるものではないからである。

となっています。ここでは、直接的には「継続的に行うものについてのみ対家計民間非営利団体となる」としか書いていないのですが、そうでない場合は「自己勘定建設に従事する・・・」と書いてある部分がポイントです。

この自己勘定というのは、自己使用向けと考えていただいてよいかと思うのですが、ですから「自己勘定建設」という言葉(実は、こんな言葉聞いたことはないのですが)は、自己使用のための建設、ということになります。

それでより一般的に「自己勘定生産」という言葉があるのですが、これについては興味深い区分がありまして、93SNAの体系上、「財」についての自己勘定生産は、原則として、生産に含まれるのですが、「サービス」についての自己勘定生産は、生産に含まれないことになっています。

そうすると、上記の「家計のグループがコミュニティーの建設プロジェクトに共同して参画する場合」については、その生産活動は原理的には93SNAの体系に含まれ、「雪かき」はサービスですから含まれないことになります。だから、例えば、犬小屋を作ったとか、自己菜園の野菜などは財ですから原理的には含まれるわけです。

ただ、これをすべて計測するなんてことは不可能に近いですし、万が一やったとしてもものすごくコストがかかります。そこで、93SNAでは現実的なことも書いてありまして、

6.25.(前略)家計内で生産されるある財貨の量がその国における財貨の総供給量からみて数量的に重要であると考えられる場合には、その財貨の生産は記録されるべきである。そうでないならば、実際にその推計を試みるだけの価値はない。

とされています。つまり、自己菜園や日曜大工など、日本のような分業の進んだ国ではそのウェートは小さく、全体に与える影響は小さい一方で、その計測は非常に困難なので、推計をする価値はないけれども、発展途上国では、自己菜園などのウェートは大きいと考えられ、これを生産に含まないと、過小評価となりかねないので、推計しても良いですよ、と各国に判断がゆだねられていると考えられるわけです。

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