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2011年7月28日 (木)

現物移転と帰属支出

前回、生産の境界について少し記述しましたので、それに波及して、帰属支出についても触れてみたいと思います。

元々記述したいのは、実は、「現物による経常移転」の計上方法なのですが、これを記述すると、どうしても「帰属支出」について触れざるを得なくなるので、その点も含めて。。。

現物の経常移転というのは非常にとっつきにくくて、意外に理解していない人も多いような気がします。現金による経常移転は結構とっつきやすくて、たとえば、宝くじとかの配当金なんかは「その他の経常移転」なのですが、こういったものはただ単に「経常移転」として計上すればいいという感じですが、これが現物だとちょっと厄介になります。

たとえば、私がユニクロから服をただでもらったとします。このような場合は、典型的な「現物の経常移転」なのですが、この場合、ただ単に「経常移転」として計上するだけで大丈夫でしょうか?

何度も書いている通り、

 GDP(生産側) = 産出 - 中間投入

です。この時、ユニクロが作った服は産出に含まれています。ということは、その服を売ろうがただで上げようが、GDP(生産側)は増えるはずです。

一方で、

 GDP(支出側) = 最終消費支出 + 総資本形成 + 輸出-輸入

ですから、支出側の項目のどれがが増えないといけません。今回のケースであれば、ユニクロの服はどう考えても資産ではないですから、最終消費支出が増えることになります。つまり、「経常移転」を立てるのと同時に、最終消費支出も同額だけ増やしてあげる必要があるわけです。こうすると、結局のところ私はユニクロから「現金の移転」を受けたかのように擬制して、当該現金でユニクロから服を買ったというように計上されていることになります。

こうやって、本来は現金で消費支出を行っているわけではないものの、「市場における同種の財貨またはサービスの市場価格に等しいとして」擬制的に消費支出を計上する方法を、「帰属支出」と言います。

というわけで、現物の経常移転の場合は、現金による場合と異なり「帰属支出」を立ててあげる必要があるわけです。

念のため、93SNAマニュアルの記述を。。。

8.13.(前略)その他の現物移転は、現金移転とともに所得の第2次分配勘定に記録される。たとえば、自然災害または戦争に起因する飢餓あるいはその他の苦境の影響を救済するための食料、衣服、医薬品等々の国際的移転を含んでいるかもしれない。現物社会移転以外の現物移転の受け取りは、慣行にによって、問題の財貨・サービスについてなされた帰属社会支出が、あたかもその移転が現金で受け取られたかのように記録する。

 9.27. 買い手と売り手の間の相互の合意によって、買い手に発生した債務は、財貨、サービスまたは現金以外の資産をそれと引き換えに提供することによって支払われるかもしれない。たとえば、物々交換取引においては、財貨またはサービスが相互に交換されるかもしれないし、あるいは雇用者は現物報酬として受け取った財貨またはサービスと交換に労働を提供するかもしれない。

 9.28. 買い手が現金で支払わないか、あるいは現金で支払わないと予想される場合は、当該支出に関する金額を、市場において同種の財貨またはサービスが現金で販売される価格を用いて、帰属計算しなければならない。(以下略)

 9.30. 簡潔さのために、その価額が帰属計算されなければならない支出は「帰属支出」と呼ばれる。しかしながら、厳密に言えば、帰属は、含まれる財貨またはサービスの価額の帰属であり、支出それ自体の帰属ではない。

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