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2011年6月18日 (土)

意見交換

先日、SNAを専門としている(数少ない(笑))先生と話をさせていただく機会がありました。

その先生は、主に会計の観点からSNAを見るという、日本ではより数少ない立場の先生で、いろいろ意見交換をさせていただき、得ることがたくさんありました。

私も常々思っているのですが、日本では、SNAというと、GDPとかの経済指標としてしか見られていない傾向があり、『SNAは一つの勘定体系』であるということが、理解されていない、そこまでいかなくても不当に軽視されている、という気がします。

その先生は、SNAの各指標のうち、こういった複式の勘定体系のうちのバランス項目に過ぎないものなのに、そういった背景についての説明や理解がされないままで、数字だけ独り歩きしている怖さも感じている、とおっしゃっておられて、私もまったく同感でした。

たとえば、SNAでいう「貯蓄」や「純貸出(+)/純借入(‐)」といった項目も、それぞれ、所得支出勘定、資本調達勘定のバランス項目です。

また、よく「移転取引」について、「この政策は経常移転だから」とかいう言葉で理解されてしまっているのですが、この「移転取引」だって、一種のバランス項目(調整項目)といえなくもないわけです。

(この点は、以前少し記述しておりますので、

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-5281.html

をご参照ください。)

と話はずれましてが、これらの指標が、大きく取り上げられたり、ものによっては政策の指標などになったりしていることがあります。これらの指標自体は非常にわかりやすいものなので、それはそれでよいと思うのですが、少なくとも学術研究者や、政策立案の実務担当者は、こういった指標の意味を理解しておかないと、適切な判断もできないのではないかと思います。

その意味で、マイナーな学問とはいえ、SNAという「勘定体系」に対する理解がもっと広まるとよいなぁ、と思っています。

この点は、SNA担当部局にも大いに反省はあると思っていまして、SNA(system of national accounts)の日本語訳が「国民経済計算」なんですよね。英語をよく見ていただければわかるとおり、accounstなんですが、日本語訳に一切「勘定」という用語が出てきません。

私なんかからすると、直訳したら「国民勘定体系」じゃないかと思うわけです。

こういったことからも、日本については、「旧経済企画庁」という役所がSNAを担当してきたのですが、その際「経済」の観点に偏りすぎていたのではないか(というか、ほかの観点からの見方があるということをわかっていなかったのではないか)という反省があるのではないかと思っています。

私がSNAに関して、日本で特に違和感があるのは、

 ○勘定体系であることの理解がされていない

  (SNAの体系は、生産勘定 ⇒ 分配勘定(含む使用勘定) ⇒ 蓄積勘定 ⇒ ストック勘定という流れで成り立っている)

 ○支出側の観点からものを見すぎている

  (GDPは、元々は生産側の概念)

といったところなのですが、ここまで書いたついでに、反省している証に、少しでも「勘定体系である」という理解を広めることに通じるよう、次回以降、この点についてもう少し細かく書いてみようかと思います。

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