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2011年6月

2011年6月26日 (日)

生産側・・・(2)

生産側から見ると、

 GDP(生産側) = 生産 - 中間投入

となるというところまで書きました。

一方で、同じ生産されたものは、誰かに支出されているはずです。ですが、実際には、国内で供給される財やサービスには、輸出入や在庫品の増減が影響してきます。

すなわち、生産を支出側でみると、

 生産 + 輸入 - 輸出 - 民間在庫品増加 - 公的在庫品増加

 = 国内総供給

 = 中間消費

 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備

  + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成

という関係になります。

 ※厳密には、民間在庫品増加、公的在庫品増加のうち、流通在庫と原材料在庫は国内総供給に含まれ、そのあとで配分されますが、結論は変わりませんので、簡便的に上記のように書いています。

このとき、この式を組み合わせると、

GDP(生産側)

 = 国内総供給 + 輸出 - 輸入 + 民間在庫品増加 + 公的在庫品増加

  - 中間投入

  = 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備 + 民間在庫品増加 

   + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成 + 公的在庫品増加

   + 輸出 - 輸入

   + 中間消費 - 中間投入

となります。

ここで、一国全体では、「中間消費」と「中間投入」は等しいはずですから、結局、

一国全体でみれば、中間消費と中間投入は一致します。すると、

GDP(支出側)

  = 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備 + 民間在庫品増加 

   + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成 + 公的在庫品増加

   + 輸出 - 輸入

となるわけです。

こうして、輸入がマイナスになるわけですが、少し前に立ち返って、

生産 + 輸入 - 輸出 - 民間在庫品増加 - 公的在庫品増加

= 国内総供給

  = 中間消費

 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備

  + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成

というところを見ると、

 ○民間最終消費支出や民間企業設備などの中には、海外で生産された財やサービスも含まれている。GDPは国内の生産を見るためのものなので、このままでは海外の生産分も入ってしまうので、輸入を引いてあげる必要がある。

ということがお分かりいただけるのではないかと思います。

2011年6月24日 (金)

生産側・・・

続いて、生産側と支出側の問題です。

これは、特にGDPを見るときに気になる話です。

QEを公表したとき、「改めて考えてみると・・・」ということでよく質問を受けるのですが、

 ○なぜ、輸入が増えると、GDPが減るのか?

 ○なぜ、在庫が増えると、GDPが増えるのか?

と聞かれます。

これって、やっぱり、GDPを支出側から考えすぎる、すなわち、

 GDP(支出側)

 = 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備 + 民間在庫品増加 

  + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成 + 公的在庫品増加

  + 輸出 - 輸入

という式で理解しようとしすぎているからだと思います。

何度もこの式を書いているのですが、GDPは、本来は生産側の概念で、

 GDP(生産側) = 生産 - 中間投入

であるととらえれば、非常にすっきりとこれが整理できます。

この式の意味は、

 『一国の生産から、その生産のために使われた「中間投入」を控除したものが、GDP(生産側)、すなわち付加価値である』

ということです。

こういった考え方をすれば、

 ○輸入は、一国の生産を増やすものではないので、付加価値が増えるわけがない。

 ○在庫が増えるということは、一国の生産を増やしているはずなので、付加価値は増えるはずだ。

となんとなくわかるのではないでしょうか?

ただ、これだけだと、『なんで輸入はマイナスなのか?』という疑問が出てくるかと思います。この点については、もう少し細かく説明をしてみようと思います。

2011年6月22日 (水)

system of accounts(2)

前回の続きです。

こうしてためた「貯蓄」を、形の残る「資産」等の購入などに充てます。ここでいう「資産」等については、有形無形の資産、在庫品、土地、資本移転などのやり取りが行われます。貯蓄から、これらの「資産」等の購入に充てた残りが「純貸出(+)/純借入(‐)」(昔の「ISバランス」)になります。これは「7.資本勘定」になります。

 ※ この資産勘定については、完全に、建物などの「実物」のやり取りになります。これらの「実物」は形が残るため、「所得の使用勘定」で記録されます。

   一方で、形が残る資産としては「金融資産」があります。これらの金融資産は、実物のやり取りの対価等として取引されることが多いはずです。つまり、家計が住宅を購入したら、家計には「住宅」という実物の有形資産が残り、一方で、同じ価値だけの現金や預金などの「金融資産」が減るはずです。

   こういった、金融資産を計上するのが、「8.金融勘定」です。そして、実物と金融では、今の例の通り、同じ取引を、裏と表から見ているようなものですから、実物勘定と金融勘定ではまったく反対の結果が出ます。どういうことかというと、金融資産のやり取りを記録した後の調整項目は「純貸出(+)/純借入(‐)(資金過不足)」というのですが、(概念上は)「純貸出(+)/純借入(‐)」と「純貸出(+)/純借入(‐)(資金過不足)」は、符号が逆になるだけで、同じ値になります。

なお、こうして出てきた「純貸出(+)/純借入(‐)」がプラスだと、資産としてストック勘定に積み上がり、マイナスだとストック勘定から資産を取り崩すこととなります。

こうして積み重なったストック勘定ですが、取引によらないで、これらの資産が増えたり減ったりすることがあります。たとえば、事故などで滅失してしまったり、逆に、過去なくしたと思っていたものが増えてきたり、また一方で、当該資産の価値が上がったり下がったりすることもあるわけです。(金融資産は当然ながら、実物資産でも、土地の価値などはいつでも増減します。建物でも、鉄筋などの素材価格が上がれば価値は上昇します。)

こういったものを計上しているのが、「9.調整勘定」になります。

これらをすべて踏まえた上で、蓄積された「資産」、「負債」の残高を計上しているのが、「10・貸借対照表」になるわけです。

ということで、長くなりましたが、生産からストックまで、一連の流れを見てみました。

こうしてみると、SNAという『勘定体系』の中では、GDPというのは、冒頭の一部分にすぎないということがお分かりいただけたのではないかと思います。

2011年6月19日 (日)

system of accounts

前回の続きです。

表題の通り、system of accounts、直訳すると「勘定体系」についてです。

では、どのような勘定体系なのでしょうか?

あまり注目されていないのですが、「93SNAマニュアルに従った勘定体系群」という表が、参考図表の一番最後に出ています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/kakuhou/kekka/gaiyou/zuhyo.pdf

これに従うとよりわかりやすいので、その順に従って書いてみます。

(以下、主なところだけ駆け足で。)

まずスタートは生産勘定です。「1.生産勘定/財貨・サービスの対外勘定」という名前になっています。

ここは、まず、産業、政府、非営利の『産出』(=『生産』です。)があり、そこから中間投入を控除したものが、『国内総生産』(=『付加価値(総)』)になります。

つぎの「2.」~「6.」までが、分配勘定になるのですが、この分配勘定は長いので、便宜的に2つに分けて考えてみます。

「2.」~「5.」までが(狭義の意味での)分配勘定。「6.」は使用勘定とみるとわかりやすいです。この『使用』勘定の意味は、支出側のうち「最終消費支出」に関するものが使われているというイメージで良いかと思います。

まず、狭義の分配勘定です。

ここでは、生み出された付加価値を、雇用者報酬(家計に対して)、税金(政府に対して)、営業余剰(企業に対して)という形で、それぞれ配分します。ここまでが「2.所得の発生勘定」です。

しかし、お金のやり取りは、これだけではありません。利子や土地の賃貸料などの財産所得があります。これらについては、「所得が生み出された」わけではなく、既存の所得を「配りなおした」という整理になります。

これ以外にも、社会保障のための負担(年金や医療・介護などの負担)や給付(年金支給など)といった「お金」のやり取りがあります。また、一方的に誰かにお金をあげたりというものもあります。これらを移転取引といいますが、こういったやり取りを反映したものが「可処分所得」になります。ここまでが、「3.第1次所得の配分勘定」、「4.所得の第2次分配勘定」になります。

 ※ 次の再分配勘定は、93SNAになってからの新概念で、やや専門的なので、そこまで深く見るつもりのない人は飛ばしてください。

   この部分の内容は、「最終消費支出」(=実際に誰が対価を払ったか)、と「現実最終消費」(=実際に誰がその便益を享受したか)の違いの調整の部分です。

   具体的には、医療や介護などの「現物社会給付」や教育サービスなどの政府が個人に対して行うサービスが含まれます。

   これらを調整した後の可処分所得を「調整可処分所得」といいます。

続いて、こうして得た可処分所得から、「最終消費支出」にお金を出します。そうして残った部分(または足りなかった部分)が「貯蓄」になります。これは「6.所得の使用勘定」になります。

ここまでが(広義の)所得支出勘定になります。

2011年6月18日 (土)

意見交換

先日、SNAを専門としている(数少ない(笑))先生と話をさせていただく機会がありました。

その先生は、主に会計の観点からSNAを見るという、日本ではより数少ない立場の先生で、いろいろ意見交換をさせていただき、得ることがたくさんありました。

私も常々思っているのですが、日本では、SNAというと、GDPとかの経済指標としてしか見られていない傾向があり、『SNAは一つの勘定体系』であるということが、理解されていない、そこまでいかなくても不当に軽視されている、という気がします。

その先生は、SNAの各指標のうち、こういった複式の勘定体系のうちのバランス項目に過ぎないものなのに、そういった背景についての説明や理解がされないままで、数字だけ独り歩きしている怖さも感じている、とおっしゃっておられて、私もまったく同感でした。

たとえば、SNAでいう「貯蓄」や「純貸出(+)/純借入(‐)」といった項目も、それぞれ、所得支出勘定、資本調達勘定のバランス項目です。

また、よく「移転取引」について、「この政策は経常移転だから」とかいう言葉で理解されてしまっているのですが、この「移転取引」だって、一種のバランス項目(調整項目)といえなくもないわけです。

(この点は、以前少し記述しておりますので、

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-5281.html

をご参照ください。)

と話はずれましてが、これらの指標が、大きく取り上げられたり、ものによっては政策の指標などになったりしていることがあります。これらの指標自体は非常にわかりやすいものなので、それはそれでよいと思うのですが、少なくとも学術研究者や、政策立案の実務担当者は、こういった指標の意味を理解しておかないと、適切な判断もできないのではないかと思います。

その意味で、マイナーな学問とはいえ、SNAという「勘定体系」に対する理解がもっと広まるとよいなぁ、と思っています。

この点は、SNA担当部局にも大いに反省はあると思っていまして、SNA(system of national accounts)の日本語訳が「国民経済計算」なんですよね。英語をよく見ていただければわかるとおり、accounstなんですが、日本語訳に一切「勘定」という用語が出てきません。

私なんかからすると、直訳したら「国民勘定体系」じゃないかと思うわけです。

こういったことからも、日本については、「旧経済企画庁」という役所がSNAを担当してきたのですが、その際「経済」の観点に偏りすぎていたのではないか(というか、ほかの観点からの見方があるということをわかっていなかったのではないか)という反省があるのではないかと思っています。

私がSNAに関して、日本で特に違和感があるのは、

 ○勘定体系であることの理解がされていない

  (SNAの体系は、生産勘定 ⇒ 分配勘定(含む使用勘定) ⇒ 蓄積勘定 ⇒ ストック勘定という流れで成り立っている)

 ○支出側の観点からものを見すぎている

  (GDPは、元々は生産側の概念)

といったところなのですが、ここまで書いたついでに、反省している証に、少しでも「勘定体系である」という理解を広めることに通じるよう、次回以降、この点についてもう少し細かく書いてみようかと思います。

2011年6月17日 (金)

コメントに対する回答②

以前回答した件について、追加で質問がありましたので、改めてお答えします。

大学時代、経常収支はGDPの支出面と分配面の恒等式を使えば、導出できることを習いました。その意味では、国際収支統計の一部をGDP統計でレプリケートできそうなのですが、いかがでしょうか。実際、国際収支統計の値とどれくらい乖離があるのでしょうか。

ということです。

以前、少し書いたこともあるのですが、海外部門は国際収支統計をそのまま使っています。たとえば、「財貨(F.O.B)」などは国際収支統計そのままですし、その他のサービス部分も一部の項目が財産所得などに代わっているだけです。

ご質問いただいた件では、「経常収支」を調べておられるのでしょうか?

基本的に、SNAでは、「経常対外収支」という項目がそのまま国際収支統計の「経常収支」と対応する形になります。(付表20になります。)

ただ、「経常対外収支」は、財貨・サービスの輸出入や財産所得、経常移転などの項目を積み上げて作っていますので、少しくらいずれている可能性がありますので、その点はお気を付けください。(四半期で数億円程度でしょうか。)

あと、国際収支統計は、結構頻繁に計上方法の見直しなどをして、日々適切な推計方法に改善してくれています。過去ということだと、そのあたりが反映していない版の組み換えの可能性もありますので、その点もご留意ください。(たぶん、そんなに変わらないと思いますが。。。)

海外勘定の詳細については、以前書いていましたので、このあたりをご参照ください。

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-7802.html

(この中でも、デリバティブの計上方法の変更について書いていました。)

2011年6月15日 (水)

1-3月期2次QE(4)

続いて公需です。

公的固定資本形成は、▲1.4%と、1次QEの▲1.3%から下方改定になりました。これは、建設総合統計の3か月目(3月分)を反映した結果なのですが、今回は、1次QEの仮置きとそれほどずれませんでしたので、改定幅も小さめです。そして、政府最終消費支出は、0.9%と、1次QEの1.0%から下方改定に見えますが、実際の改定幅は0.1%もなく、端数処理の関係で数字が動いてしまっただけという感じです。

これを合わせて、公需は0.6%1次QEから変わりませんでした。

外需は、ほぼ変更なしでした。

これらを合わせて、ほとんど変わらず、▲0.9%というのが今回の全体像です。

というわけで、今回は簡潔にこれくらいです。

2011年6月12日 (日)

1-3月期2次QE(3)

引き続き民需です。

それ以外については、民間最終消費支出は、▲0.6%1次QEからほとんど変わりませんでしたが、形態別には特徴のある動きをしています。

 耐久財 ▲8.1% (1次 ▲7.3%

 半耐久財 0.6% (10.6%

 非耐久財 2.7% (12.2%

 サービス ▲1.0% (1次 ▲0.9%

ということで、耐久財とサービスが下方改定している一方で、非耐久財が上方改定していることが分かります。

つまり、1次のときから、耐久財とサービスがマイナス要因で、食料品などの非耐久財がプラス要因だったのですが、それがより深掘りされたという形です。

耐久財については、パソコンが下方改定になっています。このあたりは、生産動態統計の3か月目を取り込んだ結果、思ったより低かったということが原因です。また、サービスについては、レクレーション及びスポーツサービスや宿泊サービスが下方改定でした。このあたりは特サビ動態の反映です。

非耐久財については、パン及び穀物、砂糖、チョコレート及び菓子、などの食べ物系が上方改定になっています。このあたりは、IIPを用いているのですが、それの3か月目確報を取り込んだ影響です。

上方改定と下方改定が入りくりましたが、結果としては1QEから変わらず▲0.6%でした。

民間住宅は変わりませんでしたので、これらを総合して、民間需要は▲0.8%から▲0.7%へと上方改定になりました。

2011年6月11日 (土)

1-3月期2次QE(2)

はじめに民需から見ていきましょう。

まずは、2次QEで一番注目される民間企業設備投資から。これは、▲0.9%から▲1.3%に下方改定になりました。要因としては、法人企業統計を反映した影響になります。1次QEの仮置き値よりも、法人企業統計の前期比の方が少し低かったので、下方改定となっています。一方、ソフトウェアや供給側の数字については上方改定だったのですが、法季の下方改定要因の方が大きかったという感じです。

次は、民間在庫品増加についてです。民間在庫品増加は、前期比寄与度で▲0.4%1次の▲0.5%から上方改定となりました。ただ、仕掛品と原材料在庫について、1次のARIAM予測よりも、法季の方が強めでしたので、それがもろに影響したという形です。

なお、IIPと商業販売統計を用いて推計する、製品在庫、流通在庫については、わずかに上方改定でしたが、あまり影響はありませんでした。

生産が落ち込んだのに、仕掛品在庫がそれほど弱くなかったというのは、非常に謎の部分だと思うのですが、サプライチェーンが寸断されて、一部の部品が供給されず、作りかけのまま在庫で止まっていたという可能性があるのかもしれません。ただ、在庫については、実際にどのように止まっているのか、実際の企業の人に聞いてみないと分からないので、あくまで『可能性』の話としかかけないのですが。。。

2011年6月10日 (金)

1-3月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sokuhou/sokuhou_top.html

13月期の実質季節調整済前期比は▲0.9%で、1次QEとほとんど変わりませんでした。ただ、コンマ2桁のところで下がっていますので、四捨五入すると実は0.1%の上方改定です。

2期連続のマイナス成長は変わりません。

内外需は、内需▲0.7%、外需▲0.2%と内需が0.1%の上方改定です。

今回は、改定があった項目は、主に、民間在庫品増加が上方改定、民間企業設備、政府最終消費支出、公的固定資本形成が下方改定でした。

全ての項目を見てみますと、

GDP ▲0.9% (1次 ▲0.9%)

民間最終消費支出 ▲0.6% (1次 ▲0.6%)

民間住宅 0.7% (1次 0.7%)

民間企業設備 ▲1.3% (1次 ▲0.9%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.4) (1次 (0.5)

政府最終消費支出 0.9% (1次 1.0%)

公的固定資本形成 ▲1.4% (1次 ▲1.3%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 0.7% (1次 0.7%)

輸入 1.9% (1次 2.0%)

という形です。

概略を言うと、民間企業設備と民間在庫品増加は、法人企業統計を反映し、それぞれ反対方向に少しだけ改定したという形です。なお、政府最終消費、公的固定資本形成、輸入などわずかに変わっているように見えますが、このあたりは端数処理の関係で数字が変わってしまっただけで、全体に対する影響はほとんどありません。

総論はこれくらいでして、個別については、次回以降に。

2011年6月 6日 (月)

訂正(第1次所得バランス)

以前、GNIについて書いた時に、第1次所得バランスについても触れました。

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-70eb.html

その時に、このように書いていました。

「第1次所得バランス(総)」とは、所得支出勘定のなかの「第1次所得の配分勘定」のバランス項目なのですが、この言い方も分かりにくいです。ですので、できるだけわかりやすく言ってみます。分配面からみた付加価値は、

 

  雇用者報酬 + 生・輸税 + 固定資本減耗 + 営業余剰

です。念のため言うと、生産面から見た付加価値の合計がGDPです。

「第1次所得バランス(総)」は、この付加価値に「財産所得」の受取を加え、「財産所得」の支払を引いたものです。

これは間違いでは決してないのですが、少し分かりにくい表現だったなと、最近気づきましたので、少し訂正を。(訂正というより、「補足」に近いかもしれません。)

分配面からみた付加価値は、前述のとおり、

  雇用者報酬 + 生・輸税 + 固定資本減耗 + 営業余剰

です。分配という言葉からわかる通り、こうやって生み出された付加価値を、それぞれの制度単位に分けるわけです。制度単位というのは、私とか、以前も出たヤマダ電機とかそういう単位ですので、それぞれで分けても細かすぎるので、実際は、いくつかの部門にくくります。それが部門分類というやつで「非金融法人」、「金融機関」、「一般政府」、「家計」、「対家計民間非営利団体」の5つの部門に分かれています。

ここで、この5つの部門について、上記の分配面の付加価値を配分してみましょう。すぐお分かりいただけるとおり、「雇用者報酬」というものは、どう考えても「家計」にしか配分されません。同じように、「生・輸税」というものは、「一般政府」に配分されます。「営業余剰」というのは、企業の利益ですから、「非金融法人」、「金融機関」に配分されます。「固定資本減耗」は一応、全部門に配分されます。

こうして考えてみると、5部門それぞれの分配面の付加価値が、

  雇用者報酬 + 生・輸税 + 固定資本減耗 + 営業余剰

です。と言っているようにもみえ、非常に誤解を招く表現だったと思います。ですので、実際に第1次所得バランスを部門ごとにみると、実は、「雇用者報酬」に対して「財産所得」の受取と支払を調整したもの(家計)や、「営業余剰」に対して「財産所得」の受取と支払を調整したもの(非金融法人、金融機関)などいろいろあるわけです。

(注1)本当は、「営業余剰・混合所得」といって、個人企業については、混合所得が含まれます。そして、個人企業は「家計」に分類されますから、「営業余剰・混合所得」は、家計にも配分されます。

(注2)日本のSNAでは、一般政府と非営利については、営業余剰をゼロとしていますが、93SNAではそのような縛りはありませんので、この2つの部門についても、営業余剰を配分することは十分あり得ます。ただ、これは、日本のSNAでは、政府・非営利は市場生産を行っていないという仮定によるものですから、非常に根の深い問題です。

2011年6月 4日 (土)

コメントに対する回答

見てないうちに、2つほどコメントが出ていましたので、この場を借りて回答を。。。

1つ目は、

○国際収支統計のデータはブレトンウッズ体制移行からデータを取得することはできないのでしょうか。

というものです。日銀のデータなので、私も正直どうなっているか分からないのですが、日銀の統計は、データベース(http://www.stat-search.boj.or.jp/index.html)がしっかりしていて、かなり過去からのデータもあるので、そちらをご覧いただければ、かなり前から出ていると思います。(私が見る限り、1985年までさかのぼれるみたいです。)

これ以上過去ということだと、私もちょっと調べてみましたが分かりませんでした。

直接聞いていただくのが良いかと思います。

2つ目は、

○一般政府のISバランスの値と、「制度部門別所得支出勘定」における一般政府の「貯蓄(純)」の値が違うのですが、何が異なるのでしょうか。政府のISバランスやプライマリー・バランスの四半期ベースのデータが欲しいのですが、直接取れないようなので、混乱しています。

というものです。

まず、「貯蓄(純)」と「純貸出(+)/純借入(‐)」(ISバランス)は別の概念です。ですので、当然値は異なってきます。

「貯蓄(純)」は、所得支出勘定のバランス項目で、「純貸出(+)/純借入(‐)」は資本調達勘定のバランス項目です。

「貯蓄(純)」と「純貸出(+)/純借入(‐)」の間には、資本調達勘定におけるやり取りが反映されるわけで、具体的には、

 ・総資本形成

 ・土地の純購入

 ・資本移転

が影響してきます。

「純貸出(+)/純借入(‐)」って、消費支出を終えた後の「貯蓄」から、設備投資などの資本形成(要は、複数年間利用可能なもの)にどれだけ回したか(又は足りずに他の人から借りたか)というのを見るものです。ですから、貯蓄と設備投資の間に、これらのやり取りが入ってくると考えると、分かりやすいのではないかと思います。(なお、資本調達勘定の制度部門別の四半期は無いので、直接取るのはできないです。)

そして、プライマリー・バランスは、「純貸出(+)/純借入(‐)」から、利子の調整をしたものですから、

・受取利子

・支払利子

が影響してくることになります。

ということで、ご質問についての回答は、これくらいです。

2011年6月 1日 (水)

1-3月期1次QE-番外編②【在庫品増加】-

今回は(も?(笑))、在庫品増加の寄与度が全体に占める割合が多かったので、改めて、「なんで在庫増が減ると(取り崩される等)、GDPが下がるのか?」という素朴な質問がありました。

そこで、1-3QEのスピンオフとして、在庫品増加がなぜGDPに影響を与えるのかということを考えてみようと思います。

まず、思い出してもらいたいのは、

○GDPは生産の概念である

ということです。すなわち、

GDP(生産側) = 生産 - 中間投入

となります。この時、

『生産が増えてないのに、消費が増えていたら、きっと、既存の在庫を取り崩していたんだろう。生産が増えないとGDPは増えないから、消費が増えた分、在庫の取り崩しを反映してあげる必要がある。』

ということになります。

一通り説明にはなったかと思うのですが、わざわざスピンオフしたので、もう少し細かく考えてみましょう。

まず、一国で生産されたものは、すべて何かしらの形で使われます(需要されるといった方がよいでしょうか?)

これを示しているのが、GDP(支出側)で、

 GDP(支出側) = 最終消費支出(民間・政府)

 + 総固定資本形成(住宅・民間・公的)

 + 在庫品増加(民間・公的)

 + 輸出 - 輸入

になります。ここで、GDP(生産側)=GDP(支出側)ですから、

 生産 + 輸入 = 最終消費支出(民間・政府) + 中間投入

 + 総固定資本形成(住宅・民間・公的)

 + 在庫品増加(民間・公的)

           + 輸出

となります。

これをよく見ると、一国で生産されたものに輸入したものを加えると、

 ①誰かが消費支出している

 ②誰かが設備投資している

 ③海外に輸出している

のどれかに回されているわけで、それ以外は

 ④在庫として積み増されている

ということになります。逆に、生産が増えていないのに、①~③の項目が増えているという場合は、④の在庫が減ることになります。

これが、在庫がGDPにどのように影響するかの解説になります。

ということで、1次QEについてはこれくらいで打ち止めです。

(ただ、1-3月期は、すぐに2次QEが来てしまいます。。。)

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