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2011年5月17日 (火)

ストックからフローへ(3)

続いて、質問とはちょっとずれますが、以下のような論点があると思います。

 ○「仮定1」を満たす場合は、団塊の世代から若者に金融資産をもらったら、民間最終消費支出が増えることになる。したがって、GDPが増えることになるのではないか?

これは正しいでしょうか?

いかにも、日本のGDPだと、単純にyesと言ってしまいそうですが、この部分も、支出側と生産側に分けて考えてみると良く分かると思いますので、その点だけ触れてみたいと思います。

まず、GDP(支出側)の構成項目は、

GDP(支出側)

 = 民間最終消費支出 + 民間住宅 + 民間企業設備 + 民間在庫品増加

  + 政府最終消費支出 + 公的固定資本形成 + 公的在庫品増加

  + 輸出 - 輸入

です。ここで、「民間最終消費支出」が増えると、GDP(支出側)が増えるように見えます。一方で、GDP(生産側)はどうでしょうか?

GDP(生産側)の構成項目は、

GDP(生産側) = 生産 - 中間投入

となります。ここで、「民間最終消費支出」が増えたときに、何が変化するでしょうか?もし、生産も増えず、中間投入も減らないのであれば、GDP(生産側)は増えないことになります。

これでは、生産側と支出側がずれるようにも見えます。いったい、何が起こっているのでしょうか?

つまり、「民間最終消費支出」が増えているのに、生産も、中間投入も変化がないのであれば、これはきっと、海外の製品を購入しているということなのではないでしょうか?その場合、支出側に入っている、「輸入」が増えることになります。そして、この時は、「民間最終消費支出」と「輸入」の増が打ち消しあって、GDP(支出側)も変化しません。

これにより、もし、「団塊世代の金融資産を若者に回せば、GDPが増える」と言っているのであれば、もう一つの大きな仮定を暗黙の上においていることになります。

 仮定2:若者世代が何か消費を増やすときに、輸入品を買うのではなく、国内の企業の生産物を買うに違いない。

 ※仮定2は、「国内の企業の生産物を、中間投入として使っている輸入品を買う」としても、一部(中間投入分だけ)は増加しますが、細かいので省略しました。

ということです。

これも微妙な仮定で、まあ、大半は国内の企業の生産物を購入するでしょうけど、輸入品を買う場合も少しはありそうな気がします。

というわけで、ここまで長々と書いてきましたが、これらの大きな仮定が語られないまま、印象の強い「団塊世代の資産を若者に」という部分だけが強調されて、広まってしまいっているような気がします。

経済の分析をする人は、こういった仮定の部分がどこまで正しそうか、分析をしてもらえると、非常にありがたいのですが。。。(笑)

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