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2011年5月11日 (水)

四重記入(4)

では、前回まで記述した、四重記入を前提として、現物の移転取引があったときにどのように計上されるかを見てみようと思います。

と、その前に、まずは、移転とは何かというところからです。93SNAでは、

8.27. 移転は、ある制度単位が、対応物としてその見返りにいかなる財貨、サービスまたは資産をも受け取ることなしに、財貨、サービスまたは資産を他の単位に対して供給する取引として定義される。現金移転は、ある単位が他の単位に対していかなる対応物もなしに行なう通貨または通貨性預金の支払いからなる。現物移転は、やはりいかなる対応物もなしに行なう、現金以外の財貨または資産の所有物の移転か、あるいはサービスの供給からなる。

となっています。この記述は、多分正しいのだと思うのですが、私の感触としては、あまりしっくりきません。そこで、イレギュラーなのですが、SNAと整合性が取れている、IMFが作っている国際収支統計のマニュアル(Balance of Payments and International Investment Position Manual 以下、BPM6という)があるのですが、そちらの記述を引用してみようと思います。

英語になってしまうのですが、BPM6では、

12.7 A transfer is an entry that corresponds to the provision of good, service, financial asset, or other nonproduced asset by an institutional unit to another institutional unit where there is no corresponding return of an item of economic value.

と書いてあります。

あまり英語は得意ではないのですが、直訳調で書いてみると、

・「移転(transfer)」は、ある制度単位から他の制度単位に対する、財、サービス、金融資産、その他の非金融資産の提供ついて、当該提供に対応した経済的価値のリターンが無い場合において、当該提供に対する見合いとして行われる記載(entry)である。

という感じでしょうか。かえってわかりにくいかもしれないのですが、意味としては、

 ①何か、財とかサービス、お金とかを、他の制度部門(unit)に提供します。

 ②当然、その対価を受け取るべきなのですが、まったく受け取らない場合もあります。

 ③その時に、複式記入としては、当然、財とかサービスとかお金とかの提供と見合いで、リターンを記載しないといけないのですが、何も受け取っていないので記載するものがありません。

 ④そこで、その「何も対価を受け取っていません」ということの見合いとして、「移転」を記載します。

ということです。

こうやって書くとお分かりいただけるかと思うのですが、私の中の整理では、移転とは、

 ○財・サービスなどの一方的な提供があった時に、それとの見合いのやり取りが存在しない場合は、複式記入をするときに、記入するべき取引が存在しなくて、バランスが取れなくなる。

○そこで、そういう時に、一方的な提供の記載をするときに、バランスを取るために記載するのが「移転」である。

というように整理しています。

つまり、私の中では、「移転」は、むしろ、複式記入をするうえでバランスを取るための、調整項目であって、「移転」が主として取引に出てくるということは無い、ということなのではないかと思っているのです。

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