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2011年5月15日 (日)

ストックからフローへ(2)

(3)「団塊世代の貯蓄を若者に回せ」は、ストック・フローではどのように動くのですか?

という質問にも答える形で、前回の「仮定の話」についても触れてみようと思います。

まず、「団塊世代の貯蓄を若者に回せ」についてです。まず、この質問の『貯蓄』とSNAの『貯蓄』では言葉の意味が違うと思われますので、その点だけ補足しておきます。恐らく、この質問の『貯蓄』は、SNAでいう「資産」の意味だと思います。

というのは、SNAの貯蓄というのは、当該期における所得と消費支出の差ですから、フローの概念です。このフローの概念を回せというのは意味が分かりません。ですので、この貯蓄の積み重なった資産(特に金融資産)を若者に回せという趣旨だとして、以下話を進めます。

一応、以前の例に沿って、団塊世代の持っている現金(金融資産)100万円を、若者に贈与したとします。

SNAでは、団塊世代と若者世代では、まったく区別をしていませんから、資産を、若者世代に回したとしても、これだけでは何の影響も出ません。

○貸借対照表(期首=期末)

(資産)

 金融資産  100万円

  うち株式    0円

  計    100万円

(負債)

 正味資産  100万円

  計    100万円

のままです。フローには全く影響がありません。ただし、一方的に資産を渡した場合は、資本移転が計上されますので、実は、資本調達勘定において、次のような計上がされています。

○資本調達勘定‐実物取引

(資産の変動)

 純借入(+)/純借入(-)       0円

   計                 0円

(負債の変動)

 貯蓄                  0円

 資本移転(受取)      100万円

 (控除)資本移転(支払) 100万円

   計                 0円

○資本調達勘定‐金融取引

(資産の変動)

 現金・預金               0円

   計                0円

(負債の変動)

 純貸出(+)/純借入(-)(資金過不足) 0円

   計                0円

見事に、何の影響も出ていないことがお分かりいただけることかと思います。

ここで、団塊世代の貯蓄を若者に回せば、フローに影響が出ると言っている人は、きっと、次のような仮定を置いているのだと思います。すなわち、

 仮定1:若者世代が、団塊世代の金融資産をもらったら、『何か消費する』に違いない。そして、金融資産をあげた団塊世代の消費行動も変わらないに違いない。

ということです。この場合は、前回書いた通り、消費支出が増えますから、確かに、「ストック→フローに回」っています。

ただ、この仮定は、正しいのか正しくないのか微妙にわからない仮定です。というのは、若者がお金をもらって、新しく消費支出を増やす金額分と、団塊世代がお金をあげて、消費支出を減らす金額分で、どちらが大きいか良く分からないような気がするからです。

とはいえ、まあ、おばあちゃんからお年玉をもらった時に、自分でもすぐおもちゃに使ってしまっていましたから、ある程度は当たっているような気もしますが(笑)

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