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2011年4月28日 (木)

固定資本形成について(2)

まず、いくつかのケースごとに計上方法を考えてみましょう。

その前に、資本調達勘定の実物取引の整理から。

(借方)

総固定資本形成

(控除)固定資本減耗

在庫品増加

土地の純購入

純借入(+)/純貸出(‐)

(貸方)

貯蓄(純)

資本移転(受取)

(控除)資本移転(支払)

です。いろいろと細かいので、単純化のため、「固定資本減耗」、「在庫品増加」、「土地の純購入」は無視して考えましょう。そうすると、

(借方)

総固定資本形成

純借入(+)/純貸出(‐)

(貸方)

貯蓄(純)

資本移転(受取)

(控除)資本移転(支払)

となります。ここで、次のような取引を資本調達勘定の実物取引に計上してみましょう。

Case1 制度部門Aから制度部門Bに、所有しているビル(評価額10億円)を無償で譲渡した。譲渡にかかる費用は単純化のためゼロ円と考える。

この場合は、それほど難しくなく、

制度部門Aの資本調達勘定(実物)

(借方)

総固定資本形成     ▲10億円

純借入(+)/純貸出(‐)  0

(貸方)

貯蓄(純)         0

資本移転(受取)      0

(控除)資本移転(支払) 10億円

制度部門Bの資本調達勘定(実物)

(借方)

総固定資本形成      10億円

純借入(+)/純貸出(‐)  0

(貸方)

貯蓄(純)          0

資本移転(受取)     10億円

(控除)資本移転(支払)   0

となります。つまり、現物の資本移転でうつされた固定資本形成は、「純貸出(+)/純借入(‐)」に影響を及ぼさないことがわかります。

次に先ほどのCase1の応用パターンとして、所有権の移転費用を考えてみましょう。つまり、ただで10億円のビルを譲渡すると言っても、いろいろ手続きが必要でしょう。契約書を書かなければいけないでしょうし、何かしら税金なども支払わなければいけないかもしれません。他にもいろいろありそうです。

こういった所有権の移転費用については、93SNAマニュアルでは、

10.55 新規資産の取得は、その実際のあるいは推定された購入者価格に当該資産を取得する単位によって負担されるすべての所有権の移転費用を加えたものによって評価される。(中略)所有権の移転費用には、以下の項目が含まれる

(a) (略)

(b) 資産の所有権移転に関して、新しい所有者により支払われるすべての税

とされています。つまり、この場合の所有権移転費用は、資産の取得に含まれる、すなわち総固定資本形成に含まれることになります。では、これを踏まえて、

Case1-2 制度部門Aから制度部門Bに、所有しているビル(評価額10億円)を無償で譲渡した。譲渡にかかる費用は1億円。

について計上してみますと、

制度部門Aの資本調達勘定(実物)

(借方)

総固定資本形成     ▲10億円

純借入(+)/純貸出(‐)  0

(貸方)

貯蓄(純)         0

資本移転(受取)      0

(控除)資本移転(支払) 10億円

制度部門Bの資本調達勘定(実物)

(借方)

総固定資本形成       11億円

純借入(+)/純貸出(‐) ▲1億円

(貸方)

貯蓄(純)          0

資本移転(受取)     10億円

(控除)資本移転(支払)   0

となります。つまり、AとB合わせて移転費用の1億円だけが総固定資本形成の増加に影響していることがわかります。

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