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2011年4月 1日 (金)

再開

まだ、計画停電も完全に避けられたわけではないですし、何より復興も緒につき始めたばかりという状況だと思うのですが、新年度に入った本日から、あまり迷惑のかからないように、電力利用の少ない夜にでもこっそりと更新を再開しようと思います。

一番初めに何から書いたらいいかというのは悩むのですが、一部のコアなユーザーからは、今回の震災の影響がSNAでどのように出るのかという質問があるのではないかと思います。その点は、追々、整理して何かの機会にご説明できればと考えておりますが、まず、はじめに、総論的な話として、次のような質問があるのではないかと考えております。

○なんで、震災であれだけ被害が出ているのに、『復興需要』とかで、GDPが上向くなどという民間予測が出ているんでしょうか?災害があった方が、GDPにプラスだなんて、何かおかしいのではないでしょうか?

これについては、なかなか分かりにくい話もあると思いますので、少し例を挙げながらご説明してみようと思います。

このブログでは何度か書いているのですが、SNAは、フローとストックの双方から一国全体の活動をとらえています。このうち、GDPはフローの係数なのですが、これが何を意味しているのかということから考えてみます。

イメージとして、お風呂に水をためている様子を想像してみてください。絵で描くと、こんな感じでしょうか?

1

下手な絵ですが、

①矢印が蛇口から流れ出ている水(の水量)

②下のシャドーがかかった部分がたまった水

(のつもり)です。

この時、①がフローの係数で、具体的にはGDPだと思ってください。一方で、②がストックの係数で、資産、それも正味資産と思ってください。なお、一国全体での正味資産のことを『国富』と言います。

(注)上記の説明は、イメージをつかみやすくするために、思いっきりはしょって書いていますので、正確性はまったくありません。まず、GDPから正味資産につながるまでには、生み出した付加価値(=GDP)を移転取引などで再分配し、更に、そのうち最終消費支出に当たるものは除き、残った貯蓄部分が固定資本などの実物資産や金融資産に積みあがります。それに、逆にその期間に追った負債もありますので、資産から負債を控除したものが正味資産です。

  企業会計でいうと、フローがP/L、ストックがB/S。GDPは営業利益で、正味資産は純資産に当たるという感じでしょうか?

では、災害が起こったときに、何が起こるかというと、②の水がこぼれてしまって、その分、水量が減ってしまいます。下の図でいうと、点線の部分からシャドーの部分まで水が減ってしまっています。つまり、正味資産(=国富)が減ってしまったということです。

一方で、これだけ水が減ってしまったら、また水をもとに戻そうとして、①の蛇口の水をたくさん出そうとするのではないでしょうか?下の図では、蛇口の部分が広がって、水の流れが多くなっています。つまり、GDPが増えているということです。

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「災害で、GDPが増えるのはおかしいのではないか?」ということについての解説は、大体これで尽きると思うのですが、

○一国全体の富の減少は、ストックの正味資産(=国富)の減として捉えられる。

○一方で、その減った富を回復させるために、生産活動が増えるので、蛇口の水の流れであるGDPは増える。

ということになります。そう考えると、正味資産を『国富』というのは、非常に分かりやすい的を得た表現のような気がしています。また、GDPについても、何度も繰り返すようですが「生産」の概念ですから、このように生産から見てみると分かりやすいのではないかという気がします。

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