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2011年3月

2011年3月13日 (日)

10-12月期2次QE(2)

大震災の影響で、首都圏においても交通網が麻痺しており、本日ようやく帰宅し、PCを開くことができました。

このブログは、このような状況下において、一刻も早く更新しなければならないような内容はほとんどありません。

明日から、計画停電という話も出ている状況で、貴重な電力資源を使うわけにもいきませんので、10日に公表された2次QEについて、今回更新させていただき、以後、当面の間(最低限、計画停電が解除されるなど、生活インフラの復旧が見込まれるまで)、更新は遠慮させていただこうと思っております。

被災者の皆様には、哀悼の意を捧げますとともに、一刻も早く復旧されることをお祈り申し上げます。

**********

以下、2次QEの内容です。

はじめに民需から見ていきましょう。

まずは、2次QEで一番注目される民間企業設備投資から。これは、0.9%から0.5%に下方改定になりました。要因としては、まず、法人企業統計を反映した影響があります。1次QEの仮置き値よりも、法人企業統計の前期比の方が少し低かったので、下方改定となっています。それに加えて、ソフトウェアについては法人企業統計ではなく、生産動態統計が基礎統計なのですが、こちらの3か月目を反映したところ、思ったより低かったので下方改定になってしまいました。

次は、民間在庫品増加についてです。民間在庫品増加は、前期比寄与度で0.3%1次の0.2%から上方改定となりました。ただ、仕掛品と原材料在庫について、1次のARIAM予測とはそれほど変わらなかったのですが、IIPと商業販売統計を用いて推計する、製品在庫、流通在庫の方が改定要因となりました。それぞれの基礎統計の3か月目の確報が使えるようになったので、それを反映した結果、流通が少し上方改定となりました。(1次QEでは速報しか使えていません。)

それ以外については、民間最終消費支出は、▲0.8%1次QEの▲0.7%から下方改定となりました。要因を見るために、形態別を見てみましょう。

 耐久財 2.6% (1次 3.1%

 半耐久財 ▲0.3% (1次 ▲0.4%

 非耐久財 ▲3.8% (1次 ▲3.6%

 サービス ▲0.2% (1次 ▲0.2%

ということで、耐久財と非耐久財が下方改定していることが分かります。

耐久財については、ラジオ、テレビ受信機及びビデオ機器という項目がオートバイなどが下方改定になっています。このあたりは、生産動態統計の3か月目を取り込んだ結果、思ったより低かったということが原因です。

非耐久財については、その他の非アルコール飲料、アルコール飲料、砂糖、チョコレート及び菓子、などの食べ物系が下方改定になっています。このあたりは、IIPを用いているのですが、それの3か月目確報を取り込んだ影響です。

上方改定と下方改定が入りくりましたが、トータルとして、民需は▲0.1%と、1次QEの0.0%から下方改定でした。

続いて公需です。

公的固定資本形成は、▲5.6%と、1次QEの▲5.8%から上方改定になりました。これは、建設総合統計の3か月目(12月分)を反映した結果なのですが、今回は、1次QEの仮置きとそれほどずれませんでしたので、改定幅も小さめです。そして、政府最終消費支出は、0.3%と、1次QEの0.2%から上方改定です。

これを合わせて、公需は▲0.6%1次QEの▲0.7%から上方改定です。

外需は、ほぼ変更なしでした。

これらを合わせて、ほとんど変わらず、▲0.3%というのが今回の全体像です。

なお、今回は、改定幅も小さく、また過去の改定も小さかったので、ゲタなどもそれほど大きく動きませんでした。

念のため、最後に中国との比較ですが、日本の1012月期が下方改定なので、中国の方が上ということにも変わりはありません。

というわけで、今回のQEについてのコメントは、以上です。

2011年3月11日 (金)

10-12月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe

1012月期2次QEの実質季節調整済前期比は▲0.3%で、1次QEとほとんど変わりませんでした。ただ、コンマ2桁のところでわずかに下がっていますので、わずかな下方改定です。当然、5四半期ぶりマイナスということも変わりません。

内外需も、内需▲0.2%、外需▲0.1%と変わりなく、内外需ともにマイナスなのは、2009年の13月期、つまり、リーマンショック以来というのも変わりありません。

今回は、個別項目でみてもそれほど動きはなかったのですが、念のため見てみますと、下方改定となった主な項目は、民間企業設備、民間最終消費支出で、逆に上方改定になったのは、民間在庫品増加、政府最終消費支出、公的固定資本形成です。

個別の話は追ってということにして、まずは、全ての項目を見てみますと、

GDP ▲0.3% (1次 ▲0.3%)

民間最終消費支出 ▲0.8% (1次 ▲0.7%)

民間住宅 2.9% (1次 3.0%)

民間企業設備 0.9% (1次 0.5%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.3) (1次 (0.2)

政府最終消費支出 0.3% (1次 0.2%)

公的固定資本形成 ▲5.6% (1次 ▲5.8%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 ▲0.8% (1次 ▲0.7%)

輸入 ▲0.1% (1次 ▲0.1%)

という形です。

概略を言うと、民間企業設備と民間在庫品増加は、法人企業統計を反映したという面もあるのですが、今回は、それ以外の基礎統計の反映の影響も大きかったという印象です。

2次QEというと、「法人企業統計」という印象が強いのですが、実は、ほかの基礎統計も改定されたり、追加されたりします。例えば、生産動態統計や特定サービス産業動態統計の3か月目(今回でいうと12月分)が入ったり、IIP、商業販売統計や家計消費状況調査の3か月目が確報化されたりします。実は、2次QEの改定要因の中にはそちらの影響もそこそこあるのです。

今回は、法人企業統計の影響が(私の主観になってしまいますが)小幅だったこともあり、それ以外の影響が目立ってしまう感じになりました。ただ、(これも私の主観になってしまいますが)全体としては、動きは小幅だったのではないかと。。。

この辺の感覚は、やっぱり、民間エコノミストの方々にお伺いしてみないとわからないところです。

総論はこれくらいでして、個別については、次回以降に追って書いていきます。

2011年3月 6日 (日)

直接購入(7)

前回までで、直接購入についてはほぼ触れたと思うのですが、最後に蛇足ながら。。。

前回の最後で、「『非居住者』の直接購入(中国人観光客の日用品購入など)については、輸出を増加させ、GDPを増やす」と書きましたがこれは本当でしょうか?

支出側だけ見たら、この一文は事実ともいえるのですが、私には、やはり片手落ちに見えるのです。というのは、やはり、GDPはproductですから、生産で考えてみないとおかしいと思うわけです。

生産面から見たGDPは、

 GDP(生産側) = 産出 - 中間投入

になります。このとき、このGDP(生産側)のどこに、中国人観光客の日用品購入の影響がでてくるのでしょうか?

GDPというものは、生産の概念でして、生産側から見たときには、GDPは、「産出」が増えるか「中間投入」が減るかしない限り、決して増えません。つまり、『非居住者』の直接購入が増える場合に、きちんと国内の「産出」が増え、また無理な生産をした結果「中間投入」増えるというようなこともない、という場合にはじめてGDPが増えるわけです。

もし、生産面の増加がないまま、『非居住者』の直接購入が増えたとしても、その場合は、他の需要項目を圧迫する(つまり、国内の最終消費支出が減る)とか、在庫品が取り崩されるかするわけで、この場合は、GDP(支出側)も増えません。

なんだかいつも言っていますが、「やはり日本のGDPは支出側がメインすぎる」ことから、誤解をしやすい面もあるのではないかなぁと思ってしまうわけです。

最後に、非常に考えがいのある面白いテーマをご教示いただきましたH主任研究員にお礼を申し上げてこのテーマを終わりにしようと思います。どうもありがとうございました。

2011年3月 5日 (土)

直接購入(6)

「日本人の海外旅行における直接購入」(すなわち「居住者」の直接購入)が、家計最終消費支出に含まれてしまっていることについて、なんだか非常に違和感があるというところまで触れました。

何を言いたいかもっとズバリと言ってしまうと、「日本人の海外旅行での購入が増えると、日本のGDPが増える」ということではないかと、一瞬見えてしまいませんか?ということです。

何度も申し上げているように、GDPは生産の概念です。それなのに、日本人が海外のものを買えば買うほどGDPが増えるなんて絶対におかしいわけです。

実際に、これは間違いで、日本人の海外旅行での購入が増えてもGDPは増えません。それは、

家計最終消費支出 + 輸出(含む『非居住者』の直接購入) - 輸入(含む『居住者』の直接購入)

の中に答えが潜んでいまして、海外旅行で家計最終消費支出が増えたところで、同額だけ輸入が増えますから、GDPのトータルには影響がないわけです。

となると、

「『非居住者』の直接購入(中国人観光客の日用品購入など)については、輸出を増加させ、GDPを増やすが、『居住者の直接購入』(日本人の海外旅行での購入)は、日本のGDPに影響しない」

ということになりそうです。でも、本当にそう言い切ってしまってよいでしょうか?

(非常にクドイですね(笑))

今回の冒頭にも書きましたけど、ひとつ、「GDPは生産の概念です」という言葉に立ち返って、次回、このテーマについて蛇足ながらもう一点だけ考えてみたいと思います。

2011年3月 4日 (金)

直接購入(5)

ようやく佳境に入ってきました(笑)

国内概念で求められた「国内家計最終消費支出」から、直接購入部分を輸出入に引き剥がす作業が出てきます。

このときに、トータルの需要項目の総額をそろえて挙げなくてはいけません。

つまり、

 国内家計最終消費支出 + 輸出(除く『非居住者』の直接購入) - 輸入(除く『居住者』の直接購入)

というトータルを変更させてはいけないことになります。

ですから、

 国内家計最終消費支出 - 『非居住者』の直接購入 + 『居住者』の直接購入 + 輸出(含む『非居住者』の直接購入) - 輸入(含む『居住者』の直接購入)

                                                                   

となるわけです。ここで、

国内家計最終消費支出 - 『非居住者』の直接購入 + 『居住者』の直接購入

= 家計最終消費支出

ですから、支出側の項目のひとつである家計最終消費支出については、「海外からの旅行者の直接購入」(すなわち「非居住者」の直接購入)は含まれないわけです。

では、一方で、「日本人の海外旅行における直接購入」(すなわち「居住者」の直接購入)は、明らかに家計最終消費支出に含まれてしまっているのですが、なんだかおかしな気がしませんか?

2011年3月 2日 (水)

直接購入(4)

さらに続きです。

前回は、家計最終消費支出について、「国民」と「国内」の概念があることを書いて見ました。そして、その間の調整をするのが、「直接購入」ということになります。

では、何で、そんな「直接購入」などという調整をするのかというと、これが93SNAマニュアルの記述につながるわけでして、以下のような記述があります。

 14.55. 本体系で採用された一般原則に従って、財貨の輸出と輸入は、当該財貨の所有権が居住者から非居住者に、またはその逆にしかる時点で記録されるべきである。(以下略)

つまり、これに従うと、居住者が海外旅行で非居住者から直接購入した財貨・サービスは当然のことながら輸入に含まれ、逆に、非居住者がわが国にきてわが国の居住者から直接購入した財貨・サービスは輸出に含まれるわけです。

そして、その調整をした後の家計最終消費支出については、「国民」概念ということになります。

93SNAの考え方は考え方として、それは分かったとしても、推計上はちょっとした問題がが発生します。というのは、支出側の数字は、何度もご紹介した「コモディティー・フロー法」で推計しているのですが、この推計方法をもう一度思い出していただきたいのですが、これは、『国内総供給を個別の需要項目に配分する』ものです。

何が言いたいかというと、「コモ法で求める需要項目は、国内概念である」ということなのです。つまり、推計上は、いきなり「国民」概念の家計最終消費支出を求めることはできなくて、「国内家計最終消費支出」を求めることしかできないわけです。そして、前述のとおり、この「国内家計最終消費支出」には、海外から日本にきた旅行者の直接購入が含まれます。

ところが、93SNAマニュアルでは、これらの直接購入も、「居住者から非居住者への引渡し」又はその逆なわけですから、輸出入に入れなさいと言っているわけです。

そのため、この調整が必要となってくるわけです。

2011年3月 1日 (火)

直接購入(3)

家計最終消費支出(Final Consumption Expenditure of Households

 (略)
 家計最終消費支出には、国内・国民二つの概念があり、前者(国内市場における最終消費支出)は、ある国の国内領土における居住者たる家計及び非居住者たる家計の最終消費支出である。他方、後者(居住者たる家計の最終消費支出)は、前者に居住者たる家計の海外での直接購入を加え、非居住者たる家計の国内市場での購入を差し引いたものである。統合勘定、所得支出勘定には後者の概念で計上される。

 (略)

についての続きです。

「居住者」という概念まできました。居住者については以前「法人企業」については一度書いたことがありますので、詳細は、こちらをご参照ください。

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-442f.html

ただ、今回は「家計」及び「個人」についてなので、もう少し細かく書いてみます。

「居住者」か否かの判断は、その人がどこに「経済的利害の中心」を持つかどうかにかかってくるのですが、より厳密に、93SNAマニュアルを引用してみます。

 14.7. (略)そのうえで、制度単位が、問題の国の経済領域に経済的利害の中心を持つときに、その制度単位を居住者単位であるという。

 14.13. 制度単位が1年もしくはそれより長期にわたり国内でかなりの規模での経済活動または取引にすでに従事しているか、そうすることを意図しているのであれば、その国内に経済的利害の中心を持つと仮定することは、多くの場合、合理的である。通常、1年という期間にわたる経済活動と取引の遂行は利害の中心の存在を意味する。しかし、特定の機関の長さの選択は幾分恣意的であり、1年を融通の利かない原則としてではなく、単に指針として提案しているということが強調されねばならない。

誤解を恐れずあっさりと書いてしまうと、一定期間以上その国で活動している場合に居住者と考えるというメルクマールがあるようです。

(ただし、この一定期間がいつかということが、いろいろ微妙でして、国内法の関係では、6ヶ月だったり、1年だったり、2年だったりといろいろあるみたいなのです。ただ、93SNAマニュアルでは、『単に指針』として1年というものが出ています。)

 ※さらに言うと、この「国」についても本来は「経済領域」という概念でして、大使館はどうだとか、国際機関はどうだとかいろいろあるのですが、これについては、あまり難しく考えず、省略しておきます。また別の機会に何か触れることができればと。。。

では、最後に、「他方、後者(居住者たる家計の最終消費支出)は、前者に居住者たる家計の海外での直接購入を加え、非居住者たる家計の国内市場での購入を差し引いたものである。」という部分を考えて見ますと、「国内」概念と「国民」概念の違いが、まさに今回のテーマである居住者又は非居住者による「直接購入」ということになります。

そして、この「直接購入」というのは、海外旅行で、通関等を通さずに、旅行者が『直接』購入するものなので、「直接購入」というのだと思いますが、名前のままですね。

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