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2011年2月 7日 (月)

国内「純」生産

SNAでは、「総(gross)」概念と「純(net)」の概念があります。これの違いは、「固定資本減耗」を含むかどうかです。

この前、一般に「国内純生産(NDP)」ではなく、「国内総生産(GDP)」を使うのはなぜかという質問を受けました。

今まで、まじめに考えたこともなかったので、相当、戸惑いましたが、直感的には「固定資本減耗」の比較可能性が信用されていないということなのだろうなと思いました。

念のため、93SNAを調べてみたところ、次のような記述になっていました。

2176.観念的には、付加価値概念は、固定資本減耗に対応するものを排除するべきである。実際、後者は新しく創出された価値ではなく、それ以前に作られた固定資産が生産プロセスにおいて使用された場合の、その資産価値の減少である。したがって理論的には、付加価値は純概念である。

2177.この結論は国内生産物に対しても当てはまる。理論上は、国内生産物は純概念であるべきである。しかしながら、GDPが様々な理由で広く使われている。企業会計で計上される固定資産の減価償却は、一般的にはSNA概念の要求には合わない。固定資本減耗の計算は、統計担当者が固定資産ストックの現在価値、様々なタイプの資産の寿命、減価償却のパターン、等を推計することを必要とする。すべての国がそのような計算をするわけではないし、もしそうする場合でも、方式の違いがあり得る(ある国は、不適切でも企業データを使用する、等)。したがって、総額値の方が利用可能なことが多いか、あるいは純額値よりも早く利用可能であり、一般的には、各国間の比較可能性がより大きいと考えられている。ゆえに、GDPは、たとえ概念的には国内純生産よりも適切性が劣るとはいえ、広く利用されるのである。(略)

これを見ると、

①固定資本減耗は、財務諸表に計上される原価償却とは異なり、いろいろな手順を加えて推計する必要がある。

②そのため、固定資本減耗は、各国で推計方法や概念が異なる可能性が高く、比較可能性が低い。

③そのような、固定資本減耗を控除した「国内純生産」よりも「国内総生産」の方が、まだ比較可能性が高いと考えられている。

ということから、『純』は使われていないということになります。

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経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
国内総生産と、固定資本減耗、そして私達が得る所得の合計金額について、分からないことがあります。
まず、国内総生産とは、中間生産物を除いた、「最終生産物の合計金額」 と、理解しても良いでしょうか?
もしそうだとした場合、次に、国内総生産の中の 「固定資本減耗」 は、私達個人の所得になるのでしょうか?
もし固定資本減耗が私達個人の所得にならない場合、国内総生産の金額よりも、私達個人の所得合計の方が少ないことになるので、「作られた商品やサービスが売れ残る」 ということにならないでしょうか?

すみません。。。
少し分かりにくい質問になってしまったかもしれないので、補足させて下さい。
次の文章で、間違っている所を指摘して下さい。

1.国内総生産の金額は、最終生産物であるテレビや自動車やパン等の合計金額である。
2.私達個人が実際に得る所得は、国民総所得から固定資本減耗を引いた、「国民純所得」 である。
3.私達は、私達の得る国民純所得で、私達の作った国内総生産のすべてを買い取ることはできない。 (国内総生産の金額に含まれる、固定資本減耗の分が足りない。)

こんにちは。
何度もすみません。。。
こちらの記事のタイトルが、【 国内「純」生産 】 でしたので、この概念から、もう少しシンプルに質問させてください。

私たち 「消費者」 が、実際に購入している 「最終消費財」 の金額を合計したものは、
【国内総生産】 になるのでしょうか?
それとも、
【国内純生産】 になるのでしょうか?

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