不突合(2)
前回の続きで、「統計上の不突合」を考える前提として、2つの推計方法を考えてみたいと思います。
前回引用した用語解説では、「支出系列を推計する際のコモディティー・フロー法」という言葉が出てきます。コモディティー・フロー法は、支出系列を求める方法になっているのですが、簡単な考え方は、
○まず、一国内で、供給される財、サービスを捉えよう。(国内総供給)
○その国内総供給は、家計の最終消費なり、企業の生産のための中間消費なり、誰かの設備投資に使われるはずだ。
○それであれば、その配分の割合がわかれば、それを用いて、「国内総供給」を求めてしまえば、民間最終消費や中間消費、設備投資が求められる。
というものです。つまり、一国内における「総供給」を、各需要項目にばら撒くことで、GDPを求めてしまおうということです。
そして、「国内総供給」を求めるためには、一国全体の「出荷」を求め、それに、「輸入」を加え、「輸出」を控除してやる必要があります。ただ、「出荷」については、相当多くの事業所に調査を行っている「工業統計」等から求めることができ、「輸入」と「輸出」については、日本銀行がやっている「国際収支統計」で、全て捉えられますから、実は、この部分は暦年ベースでは求めることができます。
そして、配分の比率については、5年に1回、「産業連関表」が作られており、その比率を用いることができます。
こうして、コモディティー・フロー法で、GDPを求めることができます。
※厳密には、在庫とマージンがありますので、正確ではありませんが、大まかにいってしまうとこういうことになります。
一方で、「生産系列及び分配系列を推計する際の付加価値法」という方を考えて見ます。こちらは、生産系列の推計方法なのですが、簡単な考え方は、
○まず、一国全体で行われる生産を捉えよう。(産出)
○その産出から、産出のために使われた「中間投入」を控除すれば、それは、「国内総生産(GDP)」になるはずだ。
というものです。ちなみに、「産出」‐「中間投入」=「国内総生産(GDP)」というのは、実は、GDPの定義そのままなので、「何でそうなるんだ?」と聞かれても困ります。
なお、このことからも、国内総生産は生産側の概念であるということがお分かりいただけると思います。
さて、「産出」ですが、これは、「出荷」に「在庫品増加」を加えたものですので、こちらも簡単に求めることができます。そして、産出に対する中間投入の比率については、これも、5年に1回、「産業連関表」が作られており、その比率を用いることができます。
こうして、付加価値法で、GDPを求めることができます。
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