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2010年12月

2010年12月28日 (火)

21年度確報(4)

最後に国際比較です。

こちらは名目暦年値をドルベースで比較します。

GDP総額ですが、こちらは既にお伝えしている通り、5420億円で、世界第2位です。1位のアメリカは14439億円でトップです。一方、中国が49844億円でしたので、相当微妙なところですね。。。

続いて一人当たりですが、39,530ドルで、OECD加盟国で16位でした。前年は加盟国で19位でしたから、少し上昇です。ただ、これは、圧倒的に為替の影響でしょうね。。。

暦年の平均為替レートは、2008暦年で103.37(円/ドル)が、2009暦年は93.54(円/ドル)ですから、1割近く円が高くなってますので、それだけドルベースで見ると高くなります。

円ベースでは大幅なマイナス名分けですが、そうなると、為替は円高になるという傾向が日本の場合は強いので、なんだか、国際比較してもよくわけが分からないなぁという印象があります。

なお、他国の水準を見ると、アメリカは45,674ドルで第7位。同じOEDC加盟国の韓国は17,078ドルで第27位。そして、気になる中国は、一人あたりでは3,744ドルで、一人あたりでは、まだOECD諸国とは少し差があるという感じがします。

ちなみにトップは、ルクセンブルグで106,277ドルでダントツです。ただ、そんなに豊かという感じはしないのですが、これは、金融などの帰属計算や、集計諸国からの出稼ぎが多い(分母の人口には入らない?)とか、そんなことが想像できるのですが、実際のところはどうなのでしょうか???

(当方は、他国の推計方法はあまり詳しくなく、こんな説明で申し訳ありません。)

21年度確報(3)

続いて純貸出(+)/純借入(-)です。

これは、ISバランス、昔は貯蓄投資差額などとも言われていますが、今は、純貸出(+)/純借入(-)で統一しています。

これについては、制度部門ごとの数字を3年ほど並べてみましょう。

       19年度  20年度  21年度

非金融法人  9.1兆円  6.0兆円  19.7兆円

金融機関   11.5兆円 ▲2.5兆円   3.0兆円

一般政府  ▲15.1兆円 ▲15.5兆円 ▲44.7兆円

家計     11.2兆円  14.2兆円  27.2兆円

非営利    0.9兆円   0.8兆円   0.3兆円

という感じです。

一目瞭然で、今年に関しては、政府が圧倒的に悪化し、その分、非金融法人と家計が増えています。貯蓄のところでご説明したとおり、家計への移転が増えていますし、家計は貯蓄が増えていますから、結果としてこういうことになります。また、非金融法人が増えているのは、設備投資が落ち込んでいたからです。

これを受けて、SNAで出てくる概念ではないのですが、一般政府のプライマリー・バランスについても出ていますので、そちらを見てみると、

         19年度   20年度   21年度

一般政府    ▲11.8兆円 ▲10.6兆円 ▲39.5兆円

中央政府     ▲9.2兆円  ▲7.9兆円 ▲31.5兆円

地方政府      2.8兆円   3.9兆円   1.7兆円

社会保障基金   ▲5.4兆円  ▲6.5兆円  ▲9.7兆円

という感じです。これをみると、やっぱり21年度の中央政府の悪化がすごいですね。財融特会からの移転が20年度は約11.3兆円、21年度は7.3兆円入っていますので、これを除くと、中央政府は同じだけ悪化することになります。

2010年12月27日 (月)

21年度確報(2)

続いて貯蓄です。

家計の貯蓄率を見ると、20年度3.2から5.5と貯蓄率は高くなっています。

貯蓄率は、貯蓄を可処分所得で割ったものですので、それぞれを見てみると、可処分所得は、292.1兆円で、前年度比0.1%とほぼ横ばい、貯蓄は16.0兆円と20年度の9.3兆円から大きく増えました。貯蓄はもともと調整項目ですからブレが大きいのですが。。。

貯蓄は、可処分所得から消費を引いたものですが、この家計最終消費支出が、20年度の280.8兆円から21年度で274.3兆円と▲2.3%となっており、そのため貯蓄が増えているという感じです。

つまり、可処分所得が横ばいなのに、消費が前年と比べて減ったので、貯蓄率が高まったという感じです。

ところで、前回、雇用者報酬は前年度比▲3.6%と書いたのに、可処分所得が横ばいなのはなぜかと思うかもしれません。これは、社会給付(年金や失業給付など)の政府から家計への現金の移転が増え、また、給与が減っていることから、税金(所得税)や社会負担(医療や年金の雇用者負担)が減っているためです。また、雇用保険の保険料率も下がっているので、これも社会負担の減に響いてきます。これに加え、エコポイントや自動車補助金などの家計への移転が増えていますので、これで雇用者報酬の減を穴埋めして、可処分所得は横ばいという形になっています。

続いて生産なのですが、こちらはあっさりと。これだけ落ち込んでますので、21年度は生産は全体として落ち込んでいますが、それでも、サービス業のウェートが着実に増えているというのが見て取れます。

2010年12月24日 (金)

21年度確報

SNAでは確報(年報)というものも出しています。(QEに比べあまり注目されませんが。。。)

そして、本日、その21年度確報が公表されています。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#kakuho

ただ、簡単に「21年度確報が公表」というと不正確で、GDPなどの「支出系列」といわれる系列は、今月9日の7-9月期2次QEで公表済みですし、ストック部分の公表は年明けです。ですので、今回は、「21年度確報のうち、フロー編が公表」(ただし、支出系列は公表済み)ということになります。

内容に入ってみると、まず、支出系列は既にお伝えしたとおり、21年度は実質で前年度比▲2.4%と、20年度の▲4.1%の次の、歴代ワースト2位のマイナスでした。これが、マイナスのゲタの影響というのもお伝えしたとおりです。

次に、所得なのですが、国民所得は339.2兆円で、前年度比▲3.6%でした。20年度が▲7.1%でして、それに続いてのマイナスですから、相当落ちてきていますね。水準としては、平成元年度が320.8兆円ですから、それくらいの水準です。20年前に戻ってしまったという感じです。。。

内訳をみると、雇用者報酬が前年度比▲3.6%、財産所得が▲3.2%、企業所得が▲3.7%でした。財産所得と企業所得は、それぞれ20年度は前年度比▲12.9%、▲22.5%でしたから、それよりは下げ止まっているとみるのか、まだ下がっていると見るのか。。。という感じです。雇用者報酬は、20年度が前年度比▲0.9%ですから、やっぱり増えてないということでしょうか。

なお、国民所得とは、国民総所得(GNI)から、減耗と生輸税・補助金を除いたものなのですが、所得面の説明で、なぜこちらを使うのか、私にはいまいち不明なんです。。。

(GNIというのは、昔使われていたGNPの所得概念です。)

2010年12月22日 (水)

連鎖デフレーター【パーシェ効果】(4)

前回の場合とは別に一つの場合が考えられます。それは、価格と数量があまりリンクしない項目について、価格と数量が定常的に同じ方向に動く場合です。(SNAでは、帰属計算をしている項目などありますから、こういったものは、市場価格と連動しない可能性があります。)

例として、価格が変化しても、数量がまったく変化しない場合を考えて見ましょう。

この場合、容易に想像がつくように、

6

ですから

 7

となります。つまり、8 となるわけです。

ですから、この場合、連鎖デフレーターと固定デフレーターで前期比に違いが無いことになります。

この場合は、一時的な伸び率だけではなく、水準としても、固定デフレーターと連鎖デフレーターが異ならないことになります。

2010年12月21日 (火)

連鎖デフレーター【パーシェ効果】(3)

前回書きました、固定と連鎖の関係性をもう少し考えて見ます。

連鎖デフレーターと固定デフレーターの前期比の大小関係は、

が1より大きいか否かで決まることが分かりました。

このとき価格要因の比較は、基準年0とt-1年の間で行われているのに対し、数量要因の比較は、t-1年とt年の間で行われていることが特徴的です。

これについて考えると、例えば、i=1財について、t-1年まで一貫して価格が低下していたにも関わらず、t年になっていきなり上昇したとします。すると、購入数量がt-1年よりもt年の方が少なくなったと考えられるかと思います。

この場合、

2  かつ 3

が成立することとなります。つまり、タイミングのズレで、価格と数量の変化方向が同方向になってしまっているわけです。

この場合にXの大小関係を考えて見ましょう。この場合、

となると考えられますから、すなわち、5 となります。つまり、連鎖デフレーターの方が固定デフレーターよりも前期比が小さくなります。

これは、価格変動が激しく、かつ、商品の購入が即座に価格変化に連動する場合に発生することだと思います。しかし、あくまで、価格変動の転換点に一時的に発生するだけだと思います。

4

1

2010年12月19日 (日)

連鎖デフレーター【パーシェ効果】(2)

前回は、連鎖デフレーターと固定デフレーターの前期比の関係について書きました。その結果、

1

が1より大きいか小さいかで、連鎖デフレーターと固定デフレーターの前期比の大小関係が異なることが分かりました。

それでは、このXが何を意味しているか、これから考えてみようと思います。

まずは、一番基本的なケースから。

i=1財についてだけ考えます。それ以外の財については、価格も数量も動かないと考えておきましょう。

ここで、1財について、価格が基準年から常に低下していると考えます。この場合、『普通であれば』、価格が下がるわけですから、数量は常に増加していると考えられます。

つまり、

2

かつ

3

です。

このとき、数量はt年の方が大きく、そのウェートとなる価格は基準年の方が大きいわけですから、直感的には、

4

となることが考えられます。つまり5 となります。したがって、この場合、固定の伸び率の方が連鎖の伸び率より小さくなります。

これは、まさしく、パーシェ効果といわれるものそのものです。

(価格がずっと上昇する場合でも同じことが言えます。)

つまり、

 ○常に、価格の変化と逆方向に財が変化する場合は、連鎖デフレーターよりも固定デフレーターの前期比が小さくなる

ということが、両者の計算式の関係からも分かるわけです。

2010年12月18日 (土)

連鎖デフレーター【パーシェ効果】

以前、パーシェ型のデフレーターでは、連鎖デフレーターよりも固定デフレーターの方が低めに出るということを書きました。

ただ、説明がいまいち分かりにくくて、自分の中でも消化不良でした。

最近、ふとしたことから、連鎖デフレーターと固定デフレーターの関係について、面白いアイディアが浮かんだので、少し書いてみます。

はじめに、ちょっとばかり数式が並びますが、ご容赦ください。

パーシェ型固定デフレーターを1 とします。このとき、

  2

となります。(t年の名目値を実質値で割っているだけです。)

一方、パーシェ型連鎖デフレーターを3 とします。このとき、定義上

4

となります。

ここで、固定デフレーターと連鎖デフレーターの関係を考えてみたいと思います。定義から、

5

ですから、

6

となります。ここで、それぞれのデフレーターの前期比に着目しますと、

7

ですから

8

と変形できます。ここで、右辺の第2項の式について、

9

とおきます。すると、

10

ですから、Xが1より大きいか否かで、連鎖デフレーターの前期比と固定デフレーターの前期比の大小関係が異なることが分かります。

すなわち、

① X>1 ⇒ 連鎖の前期比よりも固定の前期比の方が小さい

② X=1 ⇒ 連鎖と固定の前期比が同じ

③ X<1 ⇒ 連鎖の前期比の方が固定の前期比よりも小さい

ということになります。

2010年12月15日 (水)

21年度確報(2)

個別項目を見てみると、消費が0.0%というのは、この年を象徴していると思います。というのは、年度で消費がマイナスと言うのは、2008年度(過去最低のGDP伸び率だった年)と1997年度だけです。1997年度は、多分、消費税が5%になった年なので、その影響でしょう。

そうすると、0.0%というのは、これら2つに次ぐくらいの数字ということになります。しかも、2008年度と2年連続ですから、やっぱり、世界同時不況の影響はすごかったということだと思います。

一方で、これに対する対策の影響でしょうか、公需は伸びていました。公的固定資本形成がプラスで、しかも14.2%なんて、ここしばらく無かったような気がします。

最後に、一応、確報がでましたので、確報の数字でも、ドルベースを出してみます。中国との比較などが話題になるので、こちらは名目暦年です。すると、ドルベースは、5兆420億ドルでした。

中国は、4兆9090億ドルですから、21暦年ではまだ日本のほうが上だったということになります。

2010年12月14日 (火)

21年度確報(1)

今回のQEでは、20年度確々報と21年度確報も同時に公表しています。

21年度のGDPは▲2.4%となり、20年度の▲4.1%に続き、大きなマイナスとなりました。なお、20年度は過去最低のマイナスですので、やはり、世界同時不況の影響は大きかったという感じです。

世界同時不況は。21年の1-3月期までなので、なんで、21年度(4月から)がマイナスなのか疑問に思われるかもしれませんが、これは、ゲタの影響です。前回も書きましたが、前年度の1-3月期が、前年度平均より大きく下がると、「マイナスのゲタ」が発生してしまいます。20年度の後半は、それこそ「100年に一度」といわれるような状況でしたので、21年度中は相当伸びているのですが、それだけでは埋められなかったということです。

21年度の個別項目を見ると、

民間最終消費支出 0.0

民間住宅 ▲18.2%

民間企業設備 ▲13.6%

民間在庫品増加(寄与度) ▲1.1%

政府最終消費支出 3.5%

公的固定資本形成 14.2%

公的在庫品増加(寄与度) ▲0.0%

純輸出(寄与度) 0.2%

輸出 ▲9.6%

輸入 ▲11.0%

となりました。なお、すべて、実質です。

これをみると、公的固定資本形成や政府最終消費支出などの公的部門は相当伸ばしていますが、民需が大きくマイナスで、内需はマイナス。外需はわずかにプラスですが、これは、輸出もマイナスでしたが、輸入のほうがマイナス幅が大きかったので、純輸出ではプラスになったという感じでしょうか。。。

もう既に、QE期間でも21年度は出ていましたが、そのときは、GDPは▲1.8%でしたから、確報となってみたら、もう少し実際には落ちていた、ということが分かったわけです。ただ、個別項目を見ても、結果をみても、印象として「ゲタのせいでマイナスだった」という印象は変わらなかったということなのではないかと思います。

7-9月期2次QE(4)

QEの最後についてですが、22年度のゲタについて書いておきます。

22年度へのゲタは、1.6%から1.9(1.85)%に上方改定となりました。これは、21年度の水準がやや下方改定になったということもあるのですが、21年度の後半、つまり、21年10-12月期や22年1-3月期への傾きが急になったことの影響です。

季節調整済の実質で見てみますと、10-12月期は、1.0%から1.4%へ上方改定、1-3月期は1.6%から1.7%へと上方改定になっています。ただ、年度前半も4-6月期が2.4%から2.7%に、7-9月期が▲0.4%から▲0.3%に上方改定になっていまして、何でこれで傾きが急になったのかと疑問に思うかもしれません。

これは、実は、『21年』の1-3月期が下方改定になった影響で、いわゆる、「21年度のゲタ」が下がったので、21年度中の傾きが急になり、「22年度のゲタ」が高くなったという感じです。

一部、21年度の年度値にも立ち入ってしまいましたが、21年度以前の年度値については、次回以降に、確報についての説明をさせていただければと。。。

2010年12月11日 (土)

7-9月期2次QE(3)

今回は、21年度確報と20年度確々報を反映しています。確報の内容については、また後で書いてみたいのですが、確報の反映と同時に、季節調整モデルの変更を行います。

季節調整モデルの変更は、原則として、確々報の期間までを反映して検討しています。今回、20年は、リーマンショックで大きな影響があるので、モデルも大きく変わるかと思って恐れていたのですが、思ったほどは大きなことにはなりませんでした。

ただ、いくつかの系列について、2008年のQ4から2009年のQ1にかけて、大きな動きが出ていまして、そういった系列については、例外的にもう一年延ばし、確報期間であっても21年度まで期間を延ばし、ダミーの検索もしてみました。

結果として、いくつかの系列にダミーをくわえています。

今までは、財の輸出入にだけ、Rampというダミーが入っていましたが、耐久財と形態別総固定資本形成のうち輸送用機械にもRampを入れております。

季節調整モデルを検討するにあたって、時系列の専門の先生にも意見を伺ったのですが、今回の2008年秋以降の変動は、「1時点のみに発生した」というものではないので、1時点だけの異常として説明するダミーでは表現できないのではないか、というようなことで、いろいろ比較して、といっても、基本的にAICが最小となるモデルを選んだだけなので、手間はかかるもののシステマティックなのですが、それをやって、Rampを導入しました。

(ただし、在庫については、もともとがプラスやマイナスを行ったり来たりする系列ですから、影響が1時点のみに出てしまっていたことから、AICもAOやTCの方が低くなってしまっています。)

このダミー導入の効果はてきめんでして、耐久財などでは、2008年や2010年のQ1などに出ていた、奇妙な尖りがスムーズになっています。

X12では、原則として移動平均ですから、端っこの時点ではなかなかダミーが検出されないのですが、もう一年経てば、もっと多くの系列でダミー検出がされるのでしょうか。。。

というわけで、今回のQEでは、こういったことも対応しています。

2010年12月10日 (金)

7-9月期2次QE(2)

詳細項目を見ていきましょう。

まずは、上方改定になった項目から。

民間最終消費支出は、あまり2次で何が反映されるか知られていない印象があるのですが(笑)、供給側ですと生産動態統計の3ヶ月目が入り、需要側ですと、家計消費状況調査の3ヶ月目の『確報』が入ります。

今回は、消費については、需要側の家計消費状況調査の3ヶ月目の『確報』が上方改定し、一方で、供給側はほぼ変わらず(わずかに下方改定)でした。その結果、わずかな上方改定となりました。

品目としては、耐久財のうち、「家庭用器具」(エアコン等)、「ラジオ・テレビ受信機及びビデオ機器」が上方改定となり、一方で、「自動車」は下方改定でした。

次は、民間企業設備ですが、これは、法人企業統計を反映した影響です。1次QEの仮置き値よりも、法人企業統計の前期比の方が少し高かったので、上方改定となってしまいました。そして、民間在庫品増加についてもそうですが、2次QEでは、仕掛品と原材料在庫について、法人企業統計を使うのですが、これが、1次QEのARIAM予測よりは高かったので、上方改定となりました。

一方で、公的固定資本形成は、3ヶ月目の建設総合統計が思ったよりも弱かったので、下方改定になりました。実際には、公的固定資本形成は、「住宅」と「住宅以外」に分かれるのですが、住宅はわずかに上方改定でしたが、住宅のウェートはすごく小さいですから、「住宅以外」の結果がそのまま影響してきます。

今回の大所はこんな感じです。

7-9月期2次QE(1)

本日2次QEを公表しました。

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/toukei.html#qe

7-9月期の実質季節調整済前期比は1.1%とプラスになりました。1次QEが0.9%でしたから、わずかに上方改定です。4四半期連続のプラスということには変わりありません。

内外需は、内需1.1%、外需▲0.0%と、内需が引っ張っている形には変わりがありません。

上方改定となった主な項目は、民間在庫品増加、民間企業設備、民間最終消費支出でして、下方改定となった主な項目は、公的固定資本形成です。

まずは、全ての項目を見てみますと、

GDP 1.1% (1次 0.9%)

民間最終消費支出 1.2% (1次 1.1%)

民間住宅 1.2% (1次 1.3%)

民間企業設備 1.3% (1次 0.8%)

民間在庫品増加(寄与度) (0.2) (1次 (0.1)

政府最終消費支出 0.2% (1次 0.1%)

公的固定資本形成 ▲1.0% (1次 ▲0.6%)

公的在庫品増加(寄与度) (0.0) (1次 (0.0)

輸出 2.5% (1次 2.4%)

輸入 3.0% (1次 2.7%)

という形です。

概略を言うと、前述のとおり、上方改定は、民間在庫品増加、民間企業設備、民間最終消費支出です。

民間在庫品増加、民間企業設備は、法人企業統計を反映した結果上方改定となり、民間最終消費支出については、3ヶ月目の家計消費状況調査の『確報』などを反映した結果、上方改定となりました。

一方で、公的固定資本形成は、建設総合統計の3ヶ月目を反映した結果、下方改定になりました。

また、今回のQEでは、20年確々報、21年確報を反映しています。そして、それに併せて、季節調整のモデルも変更しています。

昨年は、7-9月期の2次QEでは、改定幅が大きかったことから、反響がすごかったのですが、やはり、確報を反映するときには、いろいろ変化があり、読めないところがあります。今回はどうだったのでしょうか???(この辺の感覚は、民間エコノミストに人に聞いてみたいです。)

2010年12月 5日 (日)

海外勘定(6)

では、最後に、デリバティブの計上方法を、もし、財産所得に変えたら、結果として、どのように数字が変わるのか見てみましょう。

例として、保有している貯金を元手として、海外の居住者(外資系の投資銀行など)からデリバティブを購入している場合を例として考えてみます。

まず、現状では、デリバティブの購入分、金融資産のうち、その他の金融資産が増えますが、一方で、その分、現金・預金が減りますから、資産の変動はありませんし、「純貸出(+)/純借入(-)(資金過不足)」も動きません。

一方で、このデリバティブが財産所得に入るとした場合を考えてみましょう。

この場合、経常取引の「財産所得(受取)」が増えることとなりますので、経常対外収支は増えることとなります。資本取引は関係がありませんから、このデリバティブ分だけ、「経常対外収支・資本移転による正味試算の変動」も増えることとなります。

ここで、金融取引を考えると、デリバティブの購入分、現金・預金だけが減りますから、資産の変動はマイナスとなります。したがって、負債の欄に立っている「純貸出(+)/純借入(-)(資金過不足)」も同額だけ減少することとなります。

ここで、「経常対外収支・資本移転による正味試算の変動」と「純貸出(+)/純借入(-)(資金過不足)」がデリバティブの支払分だけ同額減少し、それでも、両者が一致することには変わりは無いことがお分かりいただけるかと思います。

2010年12月 3日 (金)

海外勘定(5)

さて、話を元に戻すと、デリバティブの話でした。

93SNA導入時から、SNAでは、デリバティブは、今まで説明してきました「金融取引」として計上されてきました。

では、何でこんなことが質問になるかというと、その基礎統計である「国際収支統計」では、2001年までは、このデリバティブが経常取引のうち、所得収支(利子など)に入っていたからなのです。ですので、過去は、SNAの推計でも、「組み換え」の一環として、このデリバティブを財産収支からはがして使っていたのです。「なので、今はどこに入っているんですか?」という質問が出てくるわけです。

現在、デリバティブについて、金融取引として、貸出や株式などと一緒に扱われていることに違和感はないと思います。では、過去、なぜ財産所得(利子など)に入れていたのかと考えると、デリバティブも、昔は、たとえば商社などが一年先の穀物の取引のために、為替変動をヘッジしておくために使われるなど、どちらかと言うと、実際に取引が行われることに対する派生商品ということが多かったのではないかと思います。それであれば、との実際の取引の金利等ということで、所得収支に入るという整理も自然だと思うのです。

ただ、最近のデリバティブは、実際の取引の派生というより、それそのものが完全な投資対象となってしまっている面が強くなっています。ですので、この取り扱いが変わったのではないかと思います。

日本銀行のHPでもこの取り扱いの変更についてのアナウンスがありますが、このタイミングでIMFの国際収支統計マニュアルが変更となったようです。変更となったのには、このような背景があったのではないかと思います。

(日本銀行のHPのリンクです。)

http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji/nt_cr/kako02/ntbop01b.htm

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