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2010年10月22日 (金)

PFI(6)―リースの扱い―

少し番外編として、PFIの事例として、施設を建設した民間事業者が、政府に施設をリースする場合があります。

そこで、少し深入りして、SNA上のリースの取り扱いについて考えて見ます。

リースには、「オペレーティング・リース」と「ファイナンシャル・リース」の2種類があります。そして、この2つは、SNA上の扱いが異なります。

はじめに結論を言ってしまうと、「オペレーティング・リース」はサービスであると取り扱われ、「ファイナンシャル・リース」は設備の購入資金の融資方法の一種類として、貸付などと同列に扱われます。

ですので、「オペレーティング・リース」ではそのリース代金は、サービスへの支払いとして、企業の購入であれば中間消費に入りますが、「ファイナンシャル・リース」は、利子や賃貸料として、所得支出勘定のところで出てくることになります。

「オペレーティング・リース」と「ファイナンシャル・リース」の違いについては、93SNAの記述をそのまま見てみるのがいいと思います。

ちょっと長いですが、まずは、オペレーティング・リースから。

6.115. その機械あるいは設備の全予想耐用年数よりも短い特定期間について、機械や設備を賃貸する活動をオペレーティング・リースという。それは、所有者あるいは賃貸者(レッサー)が使用者あるいは賃借者(レッシー)にあるサービスを提供するという生産の一形態であり、その産出は賃借者が賃貸者に支払う賃貸サービス料によって評価される。(後略)

6.116.  オペレーティング・リースは、次のような特徴によって識別される。

(a) 賃貸者、あるいは、機械や設備の所有者は、使用者による請求があり次第あるいは短い期間の事前通知で貸し出すことができるように設備のストックを良好な作動状態に維持している。

(b) 設備は様々な期間に対して賃貸される。賃借者は期間が満期になると賃貸サービス料を更新し、使用者は何回かにわたって同じ種類の設備を賃借することができる。しかし、使用者は、その設備の予想耐用年数の全体にわたってその設備を賃借しようとはしない。

(c) 賃貸者は彼が賃借者に提供するサービスの一部としてしばしば設備の維持と修理の責任を負う。賃貸者は一般にその設備の操作の専門家でなければならず、このような要素はコンピュータのような極めて複雑な設備の場合には重要である。このような場合には、賃借者やその雇用者はその設備を自らで適切に保守していくために必要な専門的知識や手段をもっていない。賃貸者は重大なあるいは長期の故障の際には設備を全面的に入れ替える責任を負っている場合もある。

続いて、ファイナンシャル・リースについてです。

6.118.  オペレーティング・リースに対して、ファイナンシャル・リースはそれ自身としては生産過程ではない。それは機械や設備の購入の融資方法として、貸付に代わる1つの方法である。(中略)賃借者は賃貸者が契約期間を通じて利子を含むその費用のすべてあるいは事実上すべてをカバーすることができるような賃借料(レンタル)を支払う。ファイナンシャル・リースは、所有のリスクと報酬とがその財貨の法的所有者、すなわち、賃貸者からその財貨の使用者、すなわち、賃借者に事実上すべて移転されるという点で識別することができるであろう。そのような取り決めの経済的現実を捉えるためには、法的にはリースの対象となる財貨は賃貸者の財産でありつづけるわけではあるが、少なくとも、リース期間の終了時点(通常、法的所有権が賃借者へ移動する)まで、賃貸者から賃借者へ所有権の移転があったとみなす。賃貸者は賃借者に対する貸付を行っているように取り扱い、賃借者はそれによって当該設備をファイナンスすることができるものとみなす。そして、賃貸借料は借入金の返済と利払いをカバーするものとして扱う。

ここで書いてあるとおり、「所有のリスクと報酬」が誰に帰属するかという点で、いずれのリースに分類されるかが決まります。難しい言い方をしていますが、誤解を恐れず簡単にいうと、そのリース資産を「誰が保有しているか」が重要で、貸し手が保有していれば「オペレーティング・リース」、借り手が保有していれば「ファイナンシャル・リース」と言うことになります。

ですので、オペレーショナル・リースの場合は、貸し手が保有しているわけですから「予想耐用年数の全体にわたってその設備を賃借しようとはしない」ということになります。ずっと借りているのであれば、それはもはや借り手が保有しているのと変わりませんから。。。

そして、重要なのが、「少なくとも、リース期間の終了時点(通常、法的所有権が賃借者へ移動する)まで、賃貸者から賃借者へ所有権の移転があったとみなす」の部分です。つまり、法的に所有権が賃貸者にあったとしても、SNA上では、賃借者に所有権が移ったかのように擬制して、固定資本の所有権の移転を計上するのです。つまり、ここでも、以前ご説明した「マイナスの総固定資本形成」が登場するわけです。

最後に、「賃貸者は賃借者に対する貸付を行っているように取り扱い」とあるように、完全に金融業として、お金を貸しているというように扱うわけです。

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