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2010年8月15日 (日)

連鎖デフレーター(10)

ここまで、パーシェ型連鎖指数の特徴を説明してきましたが、まとめるとこんな感じになります。

 ○加法バイアスが解消される。したがって、基準改定で基準年を変えた場合の、改定幅は、固定よりは小さくなる。

 ○加法整合性が成立しない。

 ○ある年の価格変化の異常値が、後年のデフレーターにも影響を及ぼす。(ドリフトの問題)

これに加えて、実は、あまり語られてないのですが、もうひとつ問題があります。それは、

○連鎖指数の場合、実額にほとんど意味はない。

ということです。連鎖方式は、それぞれの項目の伸び率(前年比、前期比)のみにしか意味は無く、実額そのものにはもはや意味はありません。

あまりイメージがわかないかと思いますので、具体的な数字を用いて説明してみましょう。

次のような例を挙げてみます。全部で、4つの項目があるとします。そのうち、3つのみを足したものと、4つ足したもので、大小関係を比べて見ます。

まず、連鎖統合値は、

1  

で計算されますから、3項目の連鎖統合値と4項目の連鎖統合値は、それぞれ、

2

3

となります。ここで、第4番目の項目の価格と数量が

4

5  

となる、すなわち、価格が常に約7%(=1/1.07倍)づつ減って行き、数量は7%づつ増えていくような項目であると仮定します。それ以外の項目については

6

7

と一定とします。また

8

9 

とします。

このとき、3項目の合計は、

10_2 

4項目の合計は、0年が、

11

ですから、

12

13 

となります。ここで、

14

ですから

15

となります。この場合では、t≧18となると、

16

となります。

長々と計算しましたが、つまり、基準年から18年離れると、『4項目合計したものより、3項目合計したものの方が大きくなる』ということです。もちろん、それぞれの個別項目は『マイナスではない』のにです。

これが、「連鎖統合の実額にほとんど意味はない」ということの理由になります。

つまりまとめると、

〈メリット〉

 ○加法バイアスが解消される。したがって、基準改定で基準年を変えた場合の、改定幅は、固定よりは小さくなる。

〈デメリット〉

 ○加法整合性が成立しない。

 ○ある年の価格変化の異常値が、後年のデフレーターにも影響を及ぼす。(ドリフトの問題)

○連鎖指数の場合、実額にほとんど意味はない。

といったところでしょうか。

連鎖についてはこんなところです。

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