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2010年8月 8日 (日)

在外事業所との取引

ちょっと連鎖の話は一休みして、この前あったちょっと面白い問い合わせについて書いてみます。

質問は、

「①日本企業が海外の生産拠点(倉庫等)などで製品を生産し、日本で商品を販売した場合

 ②日本企業が海外の生産拠点(倉庫等)などで製品を生産し、海外で販売した場合

 上記2点は、日本のGDPとしてカウントされるのでしょうか?」

というものでした。

ぱっと見たところ、何が面白いのか、と思ってしまうかと思いますが、その話は追々させていただくとして、とりあえず、恐らく一番馴染みのあるご説明から。。。

GDPの構成項目は、支出面からみると、

 民間最終消費支出+民間住宅投資+民間設備投資+民間在庫品増加

 +政府最終消費支出+公的固定資本形成+公的在庫品増加+輸出-輸入

ですから、①、②の取引がどこに入るかを見ればよいことになります。

まず、考えるべきは、日本企業の海外の生産拠点が、「日本の居住者」と見られるか、「外国の居住者」と見られるか、という点です。

93SNAマニュアルでは

14.22.法人企業および準法人企業は、そこで財貨ないしサービスのかなりの量の生産に従事しているか、あるいはそこに所在する土地または建物を所有しているとき、その国(経済領域)に経済的利害の中心を持ち、その国の居住者単位であるといわれる。それらは、段落14.23で取り扱われるその他の条件と併せて、無期限にまたは長期間――1年もしくはそれより長期という指針が示されるが、柔軟に適用される――にわたり操業することを計画する、少なくとも一つの生産事業所をそこに維持しなければならない。(以下略)

14.23.経済領域の外部で居住者単位の人員(及び工場、機械設備)によりなされた生産は、受入国の生産の一部として取り扱われるべきであり、その単位は、もしそれらが上で言及した条件(段落14.22を参照)を満足するならば、当該国の居住者単位(支店ないし子会社)として取り扱われるべきである。(以下略)

となっています。相変わらず分かりにくいのですが、要は、海外の生産拠点については

 ○そこでかなりの量の生産をしている

 かつ

 ○少なくとも1年以上にわたり操業することを計画している

というような事業所は、外国の居住者と見なされる、と書いているようです。

ここで、この在外事業所は、上記を満たす海外の生産拠点のことであるとして話を進めると、①、②ともに、まず、この海外の生産拠点の生産は、我が国ではなく、他国が生産したことになります。

ここで、①のように、他国が生産したものを我が国にもってきて販売した場合はどうなるでしょうか?

ご想像の通り、「輸入」になります。

そうすると、

GDP = 民間最終消費支出+民間住宅投資+民間設備投資+民間在庫品増加

      +政府最終消費支出+公的固定資本形成+公的在庫品増加+輸出『-輸入』

ですから、GDPを減額させるという形になる、これをカウントと言うのか分かりませんが、マイナスのカウントとでも言う形になります。

では、②はどうなるかと考えると、もともと海外の生産が、国内にも入らずそのまま海外で売られているだけですから、我が国のGDPには影響しません。

(この結果、我が国からの輸出が減るなどの間接的な影響はあるかもしれませんが。。。)

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