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2010年8月22日 (日)

4-6月期1次QE(5)

授業料無償化の影響です。考え方は(http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-6c51.html)の通りですが、大雑把に言って、民間最終消費支出から政府最終消費支出に、無償化分が移ることになります。

※なお、この話のときは「支出」は落とさない方が良いと思います。というのは、高校授業サービスのうち、授業料など家計が支払う部分以外については、「個別的非市場財・サービスの移転」というものになるのですが、これは「現実最終消費」と言う概念で見たときには、民間の「現実最終消費」に入ってしまうので、ここは一番区別しなければいけないところになります。この、「現実」と「支出」の区別は、93SNAの大きな特徴の一つです。(詳細は、http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-39b9.html あたりで。。。)

文科省の資料を見ると、

・公立高等学校授業料不徴収交付金 238,677,009千円

・高等学校等就学支援金交付金   154,186,064千円

となっていますから、大まかにいって、このうち公立の部分が民間最終消費支出から政府最終消費支出に移ったと考えていただいてよいかと思います。

なお、「高等学校等就学支援金交付金」の部分は、主に私立高等学校の部分ですが、こちらは、同じ民間最終消費支出の中の、家計最終消費支出から対家計民間非営利団体最終消費支出に移るだけですので、民間最終消費支出には影響はありません。

続いてデフレーターなのですが、まず、GDPデフレーターは、民間最終消費支出(CP)、政府最終消費支出(CG)とすると、

5

ですから、CPとCGの間で名目値、実質値が動こうが動くまいが、GDPデフレーターは変わりません。

さて、一番誤解があるのが、民間最終消費支出デフレーターと政府最終消費支出デフレーターに影響があるかという点です。

ここで、一番誤解されていると思われる点は、

『公立高校授業料のデフレーターは、SNAでは変わらない』

と言う点です。CPIは家計の支出しか見てませんから下がるのですが、SNAでは、高校授業サービスは、もともと、家計と政府が両方で分担して対価を支払っていて、今回の場合は、その負担割合が変わるだけですから、両者が支払う額の合計は変わりません。ということは、デフレーターはSNAでは変わりません。

これを前提として言うと、

2   

だったのが、

1_3

になるわけですから、CPのデフレーターと公立高等学校のデフレーターの大小関係によって、影響は出てくるわけです。といっても、前も言いましたが、公立高校授業料は民間最終消費支出の0.1%未満ですから、その程度のウェートが動いても、デフレーターへの影響は微々たるものです。(実際、0.01%とか0.02%とかその程度です。。。)

同じくCGについては、

3  

だったのが、

4

となるわけですから、CGのデフレーターと公立高等学校のデフレーターの大小関係によって、影響は出てくるわけです。これも、公立高校授業料の割合は、民間最終消費支出より政府最終消費支出の方が小さいとはいえ、0.3%未満ですから、同じく、デフレーターへの影響は微々たるものです。(こちらは、0.03%とか0.04%とかその程度です。。。)

方向性だけはお伝えすると、公立高校授業料の個別デフレーターの方が、CP、CGのデフレーターのいずれよりも大きいので、マイナスになるCPは下がり、プラスになるCGは上がります、といっても、コンマ2桁の%という単位ですが。。。

というわけで、基本的に、授業料無償化については、SNA上は、デフレーターにもGDPにも直接的には影響はしてきません。

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