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2010年7月 9日 (金)

デフレーターのバイアス

私の所属している部局の職員から、デフレーターについて質問を受けました。その内容としては、パーシェ型デフレーターに下方バイアスがあるのはなぜか?というものでした。

そのときは、

 ①パーシェ型デフレーターは、(当期名目値)/(基準年価格指数×当期数量)で定義

 ②ある財の価格が下がったら、普通は、その財の消費が増えるはず

 ③パーシェ型デフレーターは、その増えた財の「数量」を、基準年の価格でもって評価してしまう

 ④そのため、分母が過大評価となるので、下方バイアスがある

と説明しました。

基本的にはそういうことなのですが、これだとやはり説明が舌足らずのような気もしますので、もう少し細かく説明してみます。

まず、デフレーターとは何かを考えて見ましょう。デフレーターは、名目値から実質値を求めるためのものです。実質値とは、本来、名目値から価格変化の影響を除いたものですから、理想的には、「デフレーターは、基準年から当該年度の価格変化の影響を図るもの」と言えそうです。

さて、ここでで、パーシェ型デフレーターは、

で定義されます。

8_2

このパーシェ型デフレーターの分母にあたる、

9_2

は何を意味しているのでしょうか?価格が基準年で、数量がt年のものですから、「基準年の価格で、t年の数量を測ったもの」といえます。これが分母で、分子はt年の名目値ですから、一応は、価格変化の影響を除去するものと言えそうです。

ただ、ここで考えてよく考えてみると、

10_2

すなわち、「基準年の価格で、t年の数量を測ったもの」というのは、本当に、価格の変化の影響をすべて反映しているといえるでしょうか?というのは、ある財の価格が下がったら、一国全体ではみんなその財を購入しようとするのではないでしょうか?でも、このパーシェ型デフレーターの分母は、数量についてはt年の数量ですから、多く購入した数量とまだ価格が高かった基準年の価格を乗じています。つまり、この値は、「価格の変化によって発生する数量の変化」は入っていないといえそうです。

それでは、「価格の変化によって発生する数量の変化」も反映した場合の分母はどうなるかというと、価格が下がった財の数量は増え、価格が上がった財の数量は減るでしょう。そうすると、パーシェ型デフレーターの分母は、数量の変化が反映されない分、「過大」となっていることが分かります。

分母が過大なわけですから、指数自体は当然、「過小」すなわち「下方バイアスがある」ということになります。

****************

この記事については、平成22年9月17日付けで訂正記事を書いています。

http://taro-sna.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-99f7.html

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コメント

突然済みません。ある民間のエコノミストです。昨日たまたまこのブログに遭遇し、「いいもの見つけた!」と勉強させて頂いているところです。
厚かましくて恐縮ですが、よろしければお教えください。
このエントリのパーシェ型デフレーターの分母にあたる部分が過大であるとのご説明に関して、「つまり、この値は、「価格の変化によって発生する数量の変化」は入っていないといえそうです。」と書いておられますが、t期の数量であるQitは既に価格低下したことによって増加した後の数量ではないのでしょうか?分母の部分が過大になっている要因は、数量ではなく、t期には下がっているはずの価格が、まだ下がっていないPi0で計算されているからではないのでしょうか?
見も知らぬ、しかも物価等について詳しく理解していない素人からの厚かましい質問で、答えるに値しない質問かも知れず、その場合は無視してください。

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