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2010年7月 8日 (木)

『最終消費支出』と『現実最終消費』(5)【「個別」と「集合」(続き)】

個別消費支出(Individual Consumption Expenditure

)と集合消費支出(Collective Consumption Expenditure

 非市場生産者の最終消費支出は、個々の家計の便益のために行った「個別消費支出」と社会全体のために行った「集合消費支出」に区分される。

 具体的には、「個別消費支出」は、医療保険及び介護保険によるもののうち社会保障基金からの給付分である「現物社会給付」、及び教科書購入費、教育、保健衛生などの個別的サービス活動に要する消費支出である「個別的非市場財・サービスの移転」の和となっており、「現物社会移転」の額と等しい

 一方、「集合消費支出」は、外交、防衛、警察等の社会全体に対するサービス活動に要する消費支出である。

 なお、この移転のうち、一般政府から家計への移転額は一般政府の個別消費支出に計上される。

 また対家計民間非営利団体から家計への移転額は対家計民間非営利団体最終消費支出に等しい。

3パラ目の集合消費支出については説明済みです。また、4パラ目も、現物社会移転が個別最終消費支出に等しく、それは民間現実最終消費に含まれるといっているだけです。

最後のパラがまた、うそではないものの分かりにくい表現です。非営利団体から家計への移転額は、非営利の最終消費支出に等しいと書いてあるのですが、これが言わんとしていることは、『対家計民間非営利最終消費支出は、すべて個別消費支出である』ということなのです。

非営利というのは、もともと、「ある特定のグループの人たちに対して、営利を目的としないでサービスを提供するのが目的であろう」という考えがもともとのSNAの考えにあるようで、そうなると、その非営利の最終消費支出も、「特定の個人に享受されるためのものであろう」、という考えのようなのです。

ですので、非営利については、「現実最終消費」は存在しません。だから、

最終消費支出()と現実最終消費(

 (中略)

 ・家計の現実最終消費は、家計の最終消費支出、対家計民間非営利団体の最終消費支出及び政府の個別消費支出の和。

 ・政府の現実最終消費は、政府の集合消費支出。

ということになるわけです。

最後に、何で、こんなように、「現実最終消費」と「最終消費支出」の二元表示をするかというと、医療、介護、教育などの分野については、各国で自己負担割合やお金の流れなどの制度が異なっており、「最終消費支出」だけでは国際比較が困難となるからなのです。その点、「現実最終消費」であれば、すべて享受者の最終消費に計上されますから、国際比較がしやすくなります。

さらにいうと、現実最終消費の概念を導入した結果、可処分所得も新たなものが加わります。すなわち、調整可処分所得でして、

 調整可処分所得 = 可処分所得 +現物社会移転の受取 - 現物社会移転の支払

となります。

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