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2010年7月 4日 (日)

『最終消費支出』と『現実最終消費』

消費の話です。

今のSNAは、93年に国連によって勧告された93SNAに基づいて推計しているのですが、93SNAの特徴のひとつとして、消費の概念を徹底して二元化していることがあげられます。(ちなみに、93SNAの前は68年に勧告されたので、68SNAと言います。ここで、93SNAの特徴というのは、その68SNAと比べての特徴ということになります。)

以前、少しこの話も触れたことがあるのですが、少し「最終消費支出」と「現実最終消費」の違いの話に触れてみたいと思います。

5月12日に、このブログで、政府最終消費支出(Final Consumption Expenditure of Government)解説として次のように書きました。

政府は、国内の家計とかのために、多くのサービスを生み出しています。具体的には、全国的なものだと警察とか法律を作ったりとか、地域的なものでも街灯を設置したりとか、窓口で住民票を発行したりとか、そんなものです。ただ、政府は儲けようとしていないので、生み出したサービスについて、一部しか料金という形でお金は徴収していません。政府が生み出したサービスから、家計とかに販売した額を引いたものについては、『政府が自分で消費しているものと見なす』ってことが、ここで言っていることなのです。もちろん、その『政府が自分で消費していると見なす』部分については、税金などでまかなわれています。

(正確には、これに医療・介護の保険給付分を足したものになります。これについては、「最終消費支出」と「現実最終消費」の違いにつながってくるので、また別の機会に。)

さて、何を言っているのか少し細かく考えながら書いて見ます。具体例として挙げられている「医療・介護の保険給付分」とはどういうものかと考えてみましょう。

例えば、私が病気をして、病院に行くとします。そのとき、お医者さんに診察してもらい、診察代金を支払います。そして、薬が出るときは、その薬代も支払います。でも、ご存知のとおり、実際の診察代金や薬代は、私が直接払う部分だけじゃなくて、国民健康保険などの医療保険からも支払われています。今のわが国の制度だと、私が自分で払う自己負担の部分は3割で、保険は7割出しています。

これを、SNAではどのように記録するかというと、

 ○ 医療機関が医療サービスを産出

 ○ 医療サービスを一般政府(社会保障基金)が購入

 ○ 医療サービスのうち、自己負担部分(3割)は商品・非商品販売として、家計最終消費支出に計上

 ○ 一般政府(社会保障基金)が購入した医療サービスから自己負担部分を控除した7割部分について、政府最終消費支出に計上

となります。

ここで、ひとつ疑問がわいてきます。というのは、ここでいう医療サービスは、完全に「家計」のためにサービスされています。それなのに、保険給付部分の7割は「政府最終消費支出」になってしまいます。サービスの享受を受けているのは「家計」なのに、「家計最終消費支出」でなく、「政府最終消費支出」なのはなんだかおかしくないだろうか、と。。。

これに対する93SNAの整理が、「最終消費支出」と「現実最終消費」の区別なのです。

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